保険診療のリハビリ

整形外科で診断した疾患・症状に対して、理学療法士が保険診療のリハビリ(運動療法・物理療法)を行います。医師の診療と連携し、痛みの軽減と機能の回復を目指します。

「リハビリ」というと、手術後の訓練を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際には、腰痛・膝の痛み・肩こりや五十肩など、日常の中の痛みや動かしにくさの多くが、保険診療のリハビリの対象になります。このページでは、どんなときに保険でリハビリを受けられるのか、症状ごとにどんなことを行うのかをご紹介します。

保険診療でリハビリを受けられるのはどんなとき?

医療機関で行うリハビリは、医師の診察・診断にもとづいて行われる医療行為です。整形外科で診察を受け、レントゲンなどの検査で症状の原因を確認したうえで、医師が「リハビリが必要」と判断した場合に、保険診療でリハビリを受けることができます。

つまり、「なんとなく体をほぐしてもらう」ものではなく、診断名と治療方針にもとづいて、国家資格を持つ理学療法士が行う治療である、という点が特徴です。当院では、整形外科専門医の診断・治療方針にもとづき、医師と理学療法士が情報を共有しながらリハビリの計画を立てます。

対象となる主な症状・疾患

  • 腰の痛み(腰痛・腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など)
  • 膝の痛み(変形性膝関節症など)
  • 肩の痛み(五十肩・腱板損傷など)
  • 首の痛み・肩こり・むちうち
  • 手・肘の痛み(腱鞘炎・テニス肘など)
  • 骨折・捻挫・肉離れなど、ケガのあとの機能回復
  • 手術後の機能回復(→ 詳しくは術後リハビリ)
  • 加齢による筋力低下・転倒予防(ロコモティブシンドローム・骨粗鬆症にともなうもの)

※ 保険診療のリハビリには、国の制度上、疾患の種類ごとに標準的な期間(運動器リハビリテーションでは発症・手術日から150日)の定めがあります。どのくらいの期間・頻度で行うかは、診察のうえでご案内します。

リハビリで行うこと

運動療法(理学療法士によるリハビリの中心)

ストレッチ・筋力トレーニング・関節の動きを広げる訓練・動作の練習などを、一人ひとりの状態に合わせて行います。当院では、痛い場所だけを見るのではなく、立ち方・歩き方・仕事中の姿勢などの動作分析を重視し、痛みの原因となっている体の使い方から見直していきます。

物理療法(機器を用いた治療)

温熱・電気・超音波・ラジオ波などの機器を用いて、痛みの軽減や血流の改善をはかります。運動療法と組み合わせることで、動かしやすい状態をつくってからトレーニングに取り組めます。

超音波治療器 PHYSIO SONO

生活・姿勢の指導

デスクワークの姿勢、物の持ち上げ方、家事や仕事での体の使い方など、日常生活の中で痛みを繰り返さないための工夫をお伝えします。体組成分析(InBody)による筋肉量・バランスの測定で、体の変化を数値で確認しながら進めることもできます。

症状・疾患別のリハビリの内容

同じ「痛み」でも、部位や原因によってリハビリの中身は異なります。代表的な例をご紹介します(実際のプログラムは、診察・評価のうえで一人ひとりに合わせて組み立てます)。

腰の痛み(腰痛・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など)

腰を支えるおなか・背中の筋肉(体幹)のトレーニング、股関節や太ももの裏側の柔軟性の改善を中心に行います。あわせて、前かがみ・中腰・物の持ち上げ方など、腰に負担のかかりやすい動作の見直しや、デスクワーク中の姿勢の指導を行い、繰り返す腰痛の予防を目指します。

首の痛み・肩こり

長時間のデスクワークなどで同じ姿勢が続くと、首や肩甲骨まわりの筋肉がこわばり、痛みやこりにつながります。肩甲骨まわりのストレッチ、胸を開く運動、頭の位置を支える筋肉のトレーニングなどを行い、あわせて仕事中の姿勢や環境づくりのアドバイスをします。

膝の痛み(変形性膝関節症など)

膝を守る太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)のトレーニングが中心になります。股関節や足首の柔軟性、歩き方の改善も、膝への負担を減らすうえで大切です。医師が行うヒアルロン酸の関節注射と並行して、リハビリで筋力と動きをととのえていきます。

肩の痛み(五十肩・腱板損傷など)

肩は、時期によってリハビリの進め方が変わる代表的な部位です。痛みの強い時期は、無理に動かさず痛みをやわらげることを優先し、痛みが落ち着いてきたら、振り子運動や棒を使った体操などで少しずつ動く範囲を広げ、最後に肩を支える筋肉のトレーニングへと段階的に進めます。

骨折・捻挫などケガのあと

ギプスなどで固定していた期間が長いと、関節がかたくなり、筋力も低下します。関節の動きを取り戻す訓練、筋力の回復、体重のかけ方の練習などを、回復の段階に応じて進め、日常生活への復帰を目指します。スポーツへの復帰を目指す場合は、競技動作までを見すえた段階的なプログラムを行います。→ スポーツ復帰サポート

高齢の方の転倒・骨折予防

加齢により筋力やバランス能力が低下すると、転倒・骨折のリスクが高まります。下肢の筋力トレーニング・バランス訓練・歩行の指導などを通じて、安全に動ける体づくりをサポートします。骨粗鬆症の治療と組み合わせることで、「転ばない体づくり」と「骨を強く保つこと」の両面から骨折予防に取り組めます。→ 骨粗鬆症外来

リハビリの流れ

  1. 医師の診察・診断:症状をお伺いし、レントゲンなどの検査で原因を確認したうえで、リハビリの方針を決めます。
  2. 理学療法士による評価:体の動き・筋力・柔軟性・日常の動作などを確認し、痛みの背景にある要因を探します。
  3. プログラムの作成・実施:評価にもとづき、一人ひとりに合わせた運動療法・物理療法を行います。
  4. 定期的な見直し:医師の再診とあわせて経過を確認し、回復の段階に応じてプログラムを調整していきます。

ご自宅での運動と組み合わせる意味

リハビリは、通院した日だけで完結するものではありません。通院時に理学療法士と行う運動に加えて、ご自宅でできる簡単な運動(自主トレーニング)を続けていただくことが、回復への近道になります。

近年は、ケガや痛みに対して「安静にしすぎず、痛みのない範囲で適切に動かしながら治す」考え方が国際的に推奨されています。ただし、自己流の運動はかえって症状を悪化させることもあるため、当院では「いま、どの運動を、どのくらい行ってよいか」を理学療法士が具体的にお伝えし、通院のたびに内容を更新していきます。

どのくらいの頻度・期間、通うことになりますか?

症状や時期によって異なります。一般的に、痛みの強い時期はある程度間隔を詰めて通っていただき、回復が進むにつれて間隔をあけ、自主トレーニング中心に移行していきます。骨折後など回復に時間のかかるものもあれば、数回の通院と自宅での運動で落ち着くものもあります。

当院では、週1回・1回40分、または週2回・1回20分を目安としてご案内しています。無理なく続けられる形が一番効果につながりますので、通院のご都合にあわせて調整します。

なお、保険診療のリハビリには疾患ごとに標準的な期間の定めがあり、運動器リハビリテーションでは発症日または手術日から150日が目安となります。この期間の考え方についても、診察の際に見通しとあわせてご説明します。お仕事のご都合など、通院できる頻度に不安がある場合も、続けやすい形を一緒に考えますのでご相談ください。

リハビリでは痛いことをされますか?

「リハビリはつらい・痛いもの」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、痛みを我慢させて行うことが目的ではありません。基本は「痛みのない範囲で動かす」ことです。

五十肩のように、かたくなった関節を広げる訓練では、伸ばされるような感覚をともなうことはあります。その場合も、どの程度の感覚までなら大丈夫かをお伝えし、様子を確認しながら進めますので、痛みや不安があるときは遠慮なくお声かけください。

よくあるご質問

Q. 医師の診察を受けずに、リハビリだけ受けられますか?
A. 保険診療のリハビリは、医師の診察・診断にもとづいて行う決まりになっています。まずは整形外科の診察を受けていただき、そのうえでリハビリを開始します。開始後も、定期的に医師の診察で経過を確認しながら進めます。

Q. マッサージや整体とは何が違うのですか?
A. 医療機関のリハビリは、医師の診断のもと、国家資格を持つ理学療法士が行う治療です。その場で体をほぐして楽になることだけでなく、検査・動作分析にもとづいて痛みの原因にアプローチし、再発しにくい体づくりまでを目指す点が特徴です。

Q. 高齢ですが、リハビリはできますか?
A. 年齢の上限はありません。お一人おひとりの体力・症状に合わせて、無理のない内容から始めます。高齢の方では、痛みの治療とあわせて、転倒予防のための筋力・バランスの訓練も大切になります。

Q. どんな服装で行けばよいですか?
A. 体を動かしますので、動きやすい服装がおすすめです。お仕事帰りなどでご不明な点があれば、ご予約の際にお問い合わせください。

Q. 他院で治療中ですが、リハビリをお願いできますか?
A. まずは当院の医師の診察を受けていただき、症状と経過を確認したうえで対応をご案内します。これまでの検査結果や紹介状をお持ちいただけると、よりスムーズです。手術を受けたあとの継続リハビリについては、術後リハビリをご覧ください。

受診の目安(こんなときはご相談ください)

  • 腰・膝・肩・首などの痛みが2週間以上続いている、または何度も繰り返している
  • 痛みで仕事・家事・趣味に支障が出ている
  • ケガや骨折のあと、関節が動かしにくい・力が入らない状態が残っている
  • 湿布や痛み止めでその場をしのぐことを繰り返している
  • 最近つまずきやすくなった、歩くのが不安になってきた

痛みをかばう期間が長くなるほど、筋力が落ち、別の場所にも負担がかかりやすくなります。「この程度で受診していいのだろうか」という段階でのご相談が、結果的に回復への近道になります。

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