TCAクロス|クレーター状のニキビ跡への点状ピーリング

「ニキビは落ち着いたのに、頬にクレーターのような小さなへこみが残ってしまった」——そうしたお悩みに用いられる施術のひとつに、TCAクロスがあります。TCAクロスは、高濃度のTCA(トリクロロ酢酸)を、へこんだ部分だけに点状に塗布する手技で、とくに深く狭いクレーター状のニキビ跡(アイスピック型など)に用いられます。赤みや茶色い色素沈着タイプのニキビ跡は、このページで扱うへこみとは性質が異なり、別の対応が向いていることが多いため、まずは診察でニキビ跡のタイプを確認したうえでご提案します。このページでは、TCAクロスのしくみ、施術の流れ、ダウンタイムや経過、受けられない方についてご説明します。なお、TCAクロスは自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。

TCAクロスとは(しくみ)

TCAクロスの「クロス(CROSS)」は、Chemical Reconstruction of Skin Scars(皮膚瘢痕の化学的再構築)の略とされる手技名で、高濃度に調整したTCA(トリクロロ酢酸)を、爪楊枝状の細い道具の先などに少量つけ、へこんだ部分の底にだけ、ごく狭い範囲に点状に塗布していく施術です。

ボックスカー型のニキビ跡

TCAは、濃度によって使われ方が異なる薬剤です。低〜中濃度で顔全体に塗布する一般的なケミカルピーリングとは異なり、TCAクロスでは高濃度のTCAを、へこみの底というごく限られた点にだけ集中して作用させます。これにより、その部分に軽いやけどに似た反応(フロスティングと呼ばれる、白くなる変化)を起こし、皮膚が修復していく過程でコラーゲンなどの組織が新しくつくられることで、へこみの底が持ち上がり、周囲の皮膚との段差が目立ちにくくなることが期待されています。

ただし、これは皮膚の反応を利用した施術であり、へこみが完全に元どおりの平らな肌に戻るわけではありません。あくまで「段差が目立ちにくくなることを目指す」施術であるとご理解のうえでご検討ください。効果には個人差があります。

こんなお悩みに(クレーター状のニキビ跡が中心です)

TCAクロスは、次のようなお悩みに向いている施術です。

アイスピック型のニキビ跡
  • クレーター状に深くへこんだニキビ跡:とくに、範囲が狭く、底が深いタイプのへこみ(アイスピック型と呼ばれるような、毛穴のようにポツポツと点在するへこみ)。
  • 一部にだけ集中してへこみが残っている:顔全体ではなく、限られた範囲に深いへこみが点在している状態。

一方で、次のようなタイプのニキビ跡には、TCAクロス以外の対応のほうが向いていることがあります。

  • 赤み(炎症後紅斑)・茶色い色素沈着(炎症後色素沈着):TCAクロスの主な対象ではありません。
  • 範囲が広く、なだらかなへこみ(ローリング型やボックスカー型と呼ばれる、境界がなだらか、または面で広がるタイプの瘢痕):狭い点に集中して作用させるTCAクロスの特性上、向き不向きがあります。

ニキビ跡は、赤み・色素沈着・へこみが混在していることも多く、見た目だけで自己判断するのはむずかしい場合があります。ニキビ跡全般のタイプ別の考え方については、ニキビ・ニキビ跡が気になる方へのページもあわせてご覧ください。当院では、皮膚科専門医による診察でへこみのタイプを確認したうえで、TCAクロスが向いているかどうかをご提案します。

保険診療との使い分け ― TCAクロスは「跡になった後」の選択肢です

TCAクロスの対象となるのは、炎症が治まった後に残ってしまった、へこみとしての跡です。今もニキビができている、赤く腫れている、膿をもっているといった段階では、まず保険診療でニキビそのものの治療を優先することが基本です。炎症が長引くほど、深いへこみとして跡が残りやすくなるため、跡を残さないためには、今あるニキビへの治療をできるだけ早く始めることが大切です。今あるニキビの治療については、ニキビ治療(保険診療)のページをご覧ください。

すでにへこみとして残ってしまった跡に対して、TCAクロスは自由診療(保険適用外)の選択肢のひとつとしてご案内しています。保険診療と自由診療を同時に併用することはできません。今の状態がどちらの対象になるかは、診察のうえでご説明します。

施術の流れ

  1. カウンセリング・診察:皮膚科専門医が肌の状態を確認し、へこみのタイプ・深さ・範囲を診察します。TCAクロスが向いているか、他の選択肢のほうが適しているかをご説明します。
  2. 洗浄・準備:施術部位の皮脂や汚れを落とし、肌を清潔な状態に整えます。
  3. 点状の塗布:へこみの底に、高濃度TCAを一点ずつ、ごく狭い範囲にだけ塗布していきます。塗布した部分は、一時的に白くなる反応(フロスティング)がみられます。
  4. アフターケア:施術後の肌の保護や、日常生活で気をつけていただきたい点(とくに紫外線対策)をご説明します。

施術そのものにかかる時間は、へこみの数や範囲によって異なります。周囲の健康な皮膚にはできるだけ影響を与えないよう、へこみの底にだけ集中して作用させることを大切にしています。

※TCAクロスは自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は 10か所まで 1回 14,300円、20か所まで 1回 22,000円(いずれも税込)。そのほかのメニューは美容皮膚科の料金一覧をご覧ください。効果には個人差があります。

ダウンタイム・経過(かさぶたができるまで)

TCAクロスは、皮膚に反応を起こさせることで組織の修復を促す施術のため、施術後に次のような経過をたどります。

  • 施術直後:塗布した点が一時的に白くなり(フロスティング)、その後赤みが出てきます。
  • 施術後数日:塗布した点にかさぶたのような反応ができることがあります。範囲はごく小さな点状にとどまります。
  • かさぶたが自然にはがれるまで:数日から1週間程度で、かさぶたは自然にはがれていきます。無理にはがしたり、触ったりせず、自然に取れるのを待つことが大切です。無理にはがすと、かえって跡が残りやすくなることがあります。
  • 赤みが落ち着くまで:かさぶたがはがれた後も、しばらく赤みが残ることがあります。赤みが落ち着き、へこみの変化を実感できるようになるまでには、一定の期間がかかります。

施術後は、肌が紫外線の影響を受けやすい状態になります。日焼け止めなどの紫外線対策を続けていただくことが、経過を安定させるうえでも大切です。気になる反応が続く場合は、我慢せずご相談ください。

複数回の施術が前提です

TCAクロスは、一度の施術で完結するものではなく、複数回にわたって経過をみながら進めることが前提の施術です。へこみの底に段階的に働きかけていくため、1回で大きな変化を求めるのではなく、施術と回復の経過を重ねながら、少しずつ目立ちにくくしていくことを目指します。

施術の間隔や回数は、へこみの深さ・範囲、肌の状態によって一人ひとり異なります。診察の際に、見通しの目安をご説明しますので、回数や費用だけで判断せず、まずはご相談ください。また、TCAクロスだけでなく、へこみのタイプによっては他の施術との組み合わせが検討されることもあります。

受けられない方・ご注意いただく方(禁忌)

安全に施術を受けていただくため、次のような方は施術をお受けいただけない、または慎重な判断が必要になることがあります。

  • 施術部位に、現在も炎症の強いニキビ(赤く腫れた状態・膿をもった状態)がある方
  • 施術部位に、傷・湿疹・感染症など皮膚トラブルがある方
  • ケロイド体質の方、傷が治りにくい体質の方
  • TCA(トリクロロ酢酸)に対してアレルギーの既往がある方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • そのほか、肌の状態やご病気によって医師が適さないと判断した場合

ご不安な点や、現在治療中のお薬がある場合は、カウンセリングの際に医師にお伝えください。

よくあるご質問

Q. へこみは完全になくなりますか?
TCAクロスは、へこみの底に働きかけることで段差を目立ちにくくすることを目指す施術です。周囲の皮膚と完全に同じ平らな状態に戻るわけではなく、目立ちにくくなる度合いには個人差があります。診察でへこみの状態を確認したうえで、現実的な見通しをご説明します。

Q. 何回くらい受ければよいですか?
一度で完結するものではなく、複数回にわたり経過をみながら進めることが前提の施術です。回数や間隔は、へこみの深さや範囲によって異なりますので、診察の際に目安をご説明します。

Q. 痛みはありますか?
高濃度のTCAを塗布する際、ピリッとした刺激や熱感を感じることがあります。感じ方には個人差があります。心配な方は、事前にご相談ください。

Q. かさぶたはメイクで隠してもよいですか?
かさぶたが自然にはがれるまでは、施術部位への刺激を避けることをおすすめします。メイクの可否や、はがれるまでの過ごし方については、施術後の説明でご案内します。

Q. 赤みや色素沈着のタイプのニキビ跡にも使えますか?
TCAクロスは、主にクレーター状の深いへこみを対象とした施術です。赤みや色素沈着タイプのニキビ跡には、別の選択肢のほうが向いていることが多く、診察のうえでご提案します。ニキビ跡のタイプ別の考え方は、ニキビ・ニキビ跡が気になる方へのページもご参照ください。

料金(税込)

メニュー区分料金(税込)
TCAクロス(10か所まで)1回14,300円
TCAクロス(20か所まで)1回22,000円

すべて税込・自由診療(保険適用外)です。ほかのメニューを含む一覧は美容皮膚科の料金一覧をご覧ください。日本国外にお住まいの方は料金が異なります。くわしくはお問い合わせください。

この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)

  • 自由診療である旨:TCAクロスは自由診療(保険適用外)です。費用は美容皮膚科の料金一覧をご覧ください。
  • 主なリスク・副作用:施術部位の一時的な赤み・ヒリつき・かさぶた様の反応が生じます。まれに、色素沈着(色が濃くなる)・色素脱失(色が抜ける)、感染、瘢痕の悪化などが生じることがあります。施術後は紫外線の影響を受けやすくなるため、紫外線対策が必要です。効果には個人差があり、へこみが完全に元どおりの状態に戻るわけではありません。
  • 薬剤の位置づけについて:TCA(トリクロロ酢酸)は、国内外の医療機関で化学的なピーリング剤として広く使われている薬剤です。ただし、ニキビ跡のへこみに対する治療という用途に限定した医薬品としての国内承認を取得した製品ではなく、医療機関が薬剤として取り扱い、医師の判断のもとで使用しています。
  • 入手経路:トリクロロ酢酸の原液を、薬剤卸から購入しています。医師の個人輸入ではありません。
  • 国内の承認品の有無:ニキビ跡のへこみに対する治療という用途で、国内承認を受けた医薬品はありません。
  • 医師の判断のもとで行います:施術の可否は、皮膚科専門医が肌の状態を診察したうえで判断します。現在炎症の強いニキビがある方、ケロイド体質の方、妊娠中・授乳中の方などはお受けいただけない場合があります。

適応の可否やご不明な点は、診察時におたずねください。

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