おむつかぶれ

赤ちゃんのおむつまわりに赤みやぶつぶつ、ただれが出ると、多くの保護者の方が心配になるかと思います。おむつの中は蒸れや摩擦、おしっこ・うんちの刺激などが重なりやすく、赤ちゃんの肌トラブルの中でもとても多い症状のひとつです。多くは「おむつかぶれ」と呼ばれる刺激性の皮膚炎(接触皮膚炎)ですが、見た目がよく似た「カンジダ皮膚炎(カンジダ性のおむつ皮膚炎)」が隠れていることもあり、このふたつは対応の考え方が異なります。市販の塗り薬を使ってもよくならない、かえって広がってしまったというときは、自己判断を続けず、一度ご相談いただくことをおすすめします。このページでは、おむつまわりに起こりやすい皮膚トラブルの特徴と見分け方、ご家庭でできるケア、受診の目安についてご説明します。

おむつまわりの肌トラブルとは

赤ちゃんの肌は大人にくらべてうすく、バリア機能も未熟なため、外からの刺激をとても受けやすい状態です。とくにおむつの中は、おしっこやうんちによる湿気・蒸れ、こすれ、洗浄や拭き取りの摩擦などが重なりやすく、肌トラブルが起こりやすい部位といわれています。おしっこに含まれる成分やうんちの消化酵素が肌への刺激になること、蒸れによって肌のバリア機能がさらに低下しやすいことなどが、背景として知られています。

当院では、3人の子どもを育てる母親としての実感も踏まえながら、おむつまわりのちょっとした変化にも丁寧に向き合うようにしています。「よくあることだから」と様子を見すぎず、気になる変化があれば早めにご相談いただければと思います。

おむつかぶれ(接触皮膚炎)の特徴

おむつかぶれは、おしっこやうんちの刺激、蒸れ、こすれなどによって起こる刺激性の接触皮膚炎です。次のような特徴がみられることが多いといわれています。

  • おむつが直接あたる部分(おなか側・太ももの付け根、お尻の丸みのある部分など)を中心に赤みが出やすい
  • 皮膚のしわの奥(脚の付け根の深い部分など)は比較的赤みが少ない傾向がある
  • カサつき、軽い皮むけを伴うことがある
  • おむつ交換の間隔があいたときや、下痢が続いたときに悪化しやすい

おむつかぶれの多くは、こまめな交換とやさしいケアで改善が期待できます。ただし、赤みが強くなったり、範囲が広がったりするときは、次にご説明するカンジダ皮膚炎が関わっている可能性も考えられます。

カンジダ皮膚炎との見分け方

カンジダ皮膚炎は、誰の肌にも常在するカビの一種「カンジダ菌」が、おむつの中の蒸れた環境で増えやすくなることで起こる皮膚炎です。おむつかぶれが長引いているとき、下痢が続いているとき、抗生物質を使用したあとなどに起こりやすいといわれています。見た目が通常のおむつかぶれとよく似ているため、保護者の方だけで見分けるのは難しいこともありますが、次のような点が手がかりになります。

  • 赤みが皮膚のしわの奥(深い部分)にまで及んでいる(通常のおむつかぶれでは赤みが少ない部分)
  • 赤みの周囲に、ぽつぽつとした小さな発疹(周囲に飛び火したような発疹)がみられる
  • 赤みの範囲がはっきりしていて、比較的くっきりとしている
  • ふだんのおむつかぶれのケアを続けても、数日たっても改善しない、むしろ悪化する

おむつかぶれとカンジダ皮膚炎では、使う外用薬の考え方が異なります。おむつかぶれには保湿・保護を中心とした対応が基本となりますが、カンジダ皮膚炎には、原因となるカビに働きかける抗真菌薬が必要です。反対に、カンジダ皮膚炎にステロイド外用薬だけを使い続けると、症状がかえって長引いたり広がったりすることがあるといわれています。見た目だけで判断せず、皮膚の状態をきちんと確認したうえで、それぞれに合った治療を選ぶことが大切です。

自己判断で市販薬を使うことについて

おむつまわりの赤みに対して、市販の保湿剤やベビー用の塗り薬でまずは様子を見る、という対応自体は珍しくありません。ただし、数日使い続けても改善しない、かえって範囲が広がってきたという場合は、自己判断でのケアを続けるのはおすすめできません。理由のひとつは、先ほどご説明したように、おむつかぶれとカンジダ皮膚炎とでは必要な外用薬の方向性が異なるためです。見た目だけで判断して合わない塗り薬を使い続けてしまうと、治りが遅れたり、本来の状態が分かりにくくなったりすることがあります。

「たかがおむつかぶれ」と思わず、こまめなケアを続けても数日で改善のきざしが見えないときは、一度皮膚の状態を確認させていただくことをおすすめします。当院では、赤ちゃんの肌の状態を丁寧に確認したうえで、必要な場合に外用薬をご案内しています。

ご家庭でできること(セルフケア)

おむつまわりの肌トラブルは、日々のちょっとしたケアの積み重ねが予防にも改善にもつながります。無理のない範囲で、次のことを心がけてみてください。

  • こまめにおむつを交換する:おしっこやうんちが肌に触れている時間をできるだけ短くすることが、いちばんの基本です。とくにうんちのあとは、早めに交換しましょう。
  • やさしく洗う・こすらない:汚れを落とすときは、ゴシゴシこすらず、ぬるま湯やベビー用の洗浄料でやさしく洗い流すか、押さえるように拭き取りましょう。おしりふきで強くこすると、かえって肌のバリア機能を傷つけ、赤みや炎症の原因になります。
  • しっかり乾かす:洗ったあとや拭いたあとは、水分が残らないよう、やさしく押さえるようにして乾かしてから新しいおむつをつけましょう。蒸れを防ぐことが、おむつかぶれとカンジダ皮膚炎、どちらの予防にも役立ちます。
  • 保湿をする:赤ちゃんの肌はもともと乾燥しやすいため、刺激から肌を守る意味でも保湿は大切です。ワセリンなど刺激の少ない保護剤を薄く塗ることで、おしっこやうんちの刺激から肌を守る助けになります。
  • おむつのサイズや素材を見直す:サイズが合っていないと、こすれや蒸れの原因になることがあります。窮屈になっていないか、時々確認してみましょう。

おむつ替えやスキンケアをていねいに続けても赤みが引かない、ただれてきた、白いポツポツが混ざってきた——そうしたときは、カンジダなど別の原因が隠れていることもあります。早めにご相談ください。

おむつかぶれは何科を受診すればいいですか?

おむつまわりの肌トラブルは、皮膚科でご相談いただけます。小児科でも診てもらえることがありますが、おむつかぶれとカンジダ皮膚炎の見分けや、外用薬の選び方には皮膚の専門的な視点が役立つ場面も少なくありません。当院では、皮膚科専門医が赤ちゃんの肌の状態を確認したうえで、状態に合ったケアや治療をご案内しています。きょうだいで別の肌トラブルがある場合など、ご家族まとめてご相談いただくことも可能です。詳しくは家族で通える皮膚科のページもあわせてご覧ください。

どのくらいで良くなりますか?

一般的なおむつかぶれは、こまめな交換とやさしいケアを続けることで、数日のうちに改善が期待できるといわれています。一方で、カンジダ皮膚炎が関わっている場合は、抗真菌薬による治療が必要となり、改善までにもう少し時間がかかることがあります。効果の出方には個人差があり、赤ちゃんの肌の状態や生活環境によっても変わってきます。「いつまでも赤みが引かない」「良くなったと思ったらまた広がってきた」というときは、自己判断で様子を見続けず、あらためてご相談ください。

保険診療でできる治療

おむつまわりの肌トラブルの診療は、保険診療の範囲で対応しています。診察では、赤みの出ている場所や範囲、しわの奥の状態、発疹の広がり方などを確認したうえで、おむつかぶれなのか、カンジダ皮膚炎が関わっているのかを見極めます。

おむつかぶれに対しては、刺激からの保護を目的とした外用薬(保護剤)や、炎症が強い場合には短期間の弱いステロイド外用薬を用いることがあります。カンジダ皮膚炎が確認された場合には、原因となるカビに働きかける抗真菌薬の外用を行います。どちらの場合も、日々のおむつ交換やスキンケアと並行して治療を進めていくことが大切です。塗り薬の使い方や続ける期間については、赤ちゃんの肌の状態に合わせて診察のたびにご説明していますので、ご不安な点は遠慮なくおたずねください。

こんなときは早めにご相談ください(受診の目安)

おむつまわりの肌トラブルは、早めのご相談で悪化を防ぎやすくなります。次のようなときは、様子を見すぎずにご相談ください。

  • こまめなケアを続けても、数日たっても改善しない
  • 赤みが皮膚のしわの奥にまで広がっている、または周囲に小さな発疹が出てきた
  • じゅくじゅくする、皮がむける、ただれた状態になっている
  • 赤みの範囲がどんどん広がってきている
  • 触ると痛がる、機嫌が悪い、発熱を伴うなど、いつもと様子が違う

おむつの中は蒸れやすく、赤ちゃん自身は不快さを泣くことでしか伝えられません。おむつ替えのたびに赤みが目立つ、機嫌の悪い日が続くといったときは、どうぞお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q. おむつかぶれは自然に良くなりますか?
軽いおむつかぶれであれば、こまめな交換とやさしいケアを続けることで改善が期待できます。ただし、数日たっても変化がない、悪化してきたという場合は、カンジダ皮膚炎などほかの原因が関わっている可能性もあるため、自己判断で様子を見続けず、一度ご相談ください。

Q. 保湿剤やワセリンだけで対応してもよいですか?
軽度の赤みであれば、こまめな交換とワセリンなどによる保護で改善することもあります。ただし、赤みが強い、範囲が広い、しわの奥まで及んでいるといった場合は、保護剤だけでは不十分なことがあります。改善がみられないときは受診をおすすめします。

Q. カンジダ皮膚炎はうつりますか?
カンジダ菌はもともと多くの人の肌に常在しているカビの一種で、蒸れた環境などをきっかけに増えることで症状が出ます。人から人へうつるものというよりは、赤ちゃん自身の肌の状態が関わって起こることがほとんどです。過度に心配する必要はありませんが、症状が続く場合は治療が必要です。

Q. 布おむつと紙おむつ、どちらがよいですか?
どちらを使う場合でも、こまめな交換と、蒸れを防ぐことが基本になります。素材の向き・不向きには個人差があるため、お子さまの肌の状態に合わせて選んでいただければと思います。気になる場合は診察の際にご相談ください。

Q. きょうだいで一緒に受診できますか?
はい。おむつが外れたお子さまやご家族に同じような肌トラブルが見られることもあります。ごきょうだいやご家族での受診もご相談いただけます。詳しくは家族で通える皮膚科のページをご覧ください。

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