膝が引っかかる・急に動かせない(ロッキング)
「膝を曲げたら、何かが挟まったように引っかかって伸ばせなくなった」「しばらくゆすっていたら、コクッと戻って動くようになった」——このように、膝が途中で止まって動かせなくなる症状を「ロッキング」といいます。
戻ったあとは普通に歩けることも多く、「治ったから大丈夫」と考えてしまいがちな症状です。しかし、ロッキングは関節の中で何かが物理的に挟まっているというサインであり、痛みの有無とは別に、確かめておいたほうがよい症状です。
ロッキングとは、どういう状態ですか
膝の関節の中で、組織の一部が骨と骨の間に挟まり込み、関節が動く軌道をふさいでしまう。これがロッキングです。
引っかかりが取れると動くようになるため、「一時的なもの」と受け取られやすいのですが、挟まる原因そのものは関節の中に残っています。 そのため、同じことが繰り返し起こったり、挟まるたびに軟骨が傷ついていったりすることがあります。
似た症状として、次のようなものもあります。
- キャッチング:完全には止まらないものの、動かす途中で引っかかる感じがする
- 膝くずれ(ギビングウェイ):歩いていて膝が急に力が抜けるように崩れる
- クリック音:曲げ伸ばしでコリッ、ポキッという音や感触がある
いずれも関節の中で何かが起きているサインですので、あわせて診察でお伝えください。
考えられる原因
- 半月板損傷:最も多い原因です。傷んだ半月板の一部がめくれ上がり、関節の間に挟まることでロッキングが起こります。スポーツによる急な受傷のほか、中高年では明らかなきっかけなく傷むこともあります。詳しくは半月板損傷のページをご覧ください。
- 関節内遊離体(関節ねずみ):軟骨や骨のかけらが関節の中ではがれて動き回り、挟まるものです。挟まる場所が毎回違うため、症状の出方が一定しないのが特徴です。
- 軟骨の損傷(離断性骨軟骨炎など):成長期のスポーツをする方や、若い方にみられることがあります。
- 靭帯損傷に伴うもの:前十字靭帯を傷めた際に半月板も同時に傷つき、ロッキングを起こすことがあります。詳しくは靭帯損傷のページをご覧ください。
- 滑膜のひだ(タナ障害):関節の中にあるひだが厚くなり、挟まって引っかかりを生じるものです。
原因によって対応が変わりますので、診察と画像で確かめる必要があります。
「戻ったから大丈夫」と考えないほうがよい理由
引っかかりが自然に取れると、痛みも引いて普通に歩けるようになります。そのため、受診せずに様子を見られる方が少なくありません。
ただ、次のことを知っておいていただきたいと思います。
挟まる状態が繰り返されると、そのたびに関節の軟骨が削られていきます。 半月板がめくれた状態のまま使い続けることで、本来なら守られるはずの軟骨が傷んでいき、結果として変形性膝関節症につながっていくことがあります。
また、ロッキングが長く続いたまま無理に伸ばそうとすると、かえって組織を傷めることもあります。
繰り返しになりますが、痛みが引いたかどうかと、関節の中の状態が落ち着いたかどうかは別のことです。一度でもロッキングを経験されたら、確かめておく価値があります。
こんなときは早めに受診してください
- 今まさに膝が伸びない・曲がらない状態が続いている(早めにご相談ください)
- ロッキングを繰り返している
- ロッキングのあとに膝が腫れた、水がたまった
- スポーツ中の受傷で、受傷直後に急速に腫れた
- 歩行中に膝が崩れることがある
- 引っかかりとあわせて、膝の内側や外側に押すと痛む場所がある
とくに、膝が伸びないまま戻らない状態が続いている場合は、無理に自分で伸ばそうとせず、ご相談ください。
受診までの間、どう過ごせばよいですか
- 無理に伸ばそうとしない:力ずくで動かすと、挟まっている組織や周囲の軟骨を傷めることがあります。
- 痛みの出る動作を避ける:深くしゃがむ、ひねる、急に方向を変えるといった動作は控えてください。
- 腫れているときは冷やす:保冷剤をタオルで包んで15分程度。
- スポーツは一旦中止する:引っかかりがある状態で競技を続けると、損傷が広がることがあります。
- 膝が崩れる場合は転倒に注意:階段や段差ではとくに気をつけてください。
年代によって、考えやすい原因が変わります
同じロッキングでも、年代によって背景が異なる傾向があります。
10代〜20代(スポーツをされる方)
ジャンプや切り返しの多い競技での受傷が多く、半月板の断裂や、離断性骨軟骨炎(軟骨と骨の一部がはがれるもの)が考えられます。成長期は骨が成熟していないため、大人とは異なる傷み方をすることがあります。競技を続けながら様子を見ると損傷が広がることがあるため、早めに確かめることをおすすめします。
30代〜40代
スポーツや仕事での受傷に加え、半月板に少しずつ負担が蓄積して傷むケースもみられます。前十字靭帯を過去に傷めた経験がある方では、半月板も同時に傷んでいることがあります。
50代以降
はっきりしたきっかけがないまま、半月板が変性して傷むこと(変性断裂)が多くなります。「何もしていないのに引っかかるようになった」というご相談は、この年代でよくうかがいます。変形性膝関節症が背景にあることも多く、半月板だけを見るのではなく、関節全体の状態をあわせて確認します。
いずれの年代でも、引っかかりがある状態のまま使い続けないことが共通して大切です。
当院での診察の流れ
いつ・どんな動作で引っかかったか、戻るまでにどうしたか、繰り返しているか、腫れを伴うかをうかがいます。そのうえで膝の状態を診察し、動かせる範囲、押して痛む場所、不安定さの有無を確認します。半月板の状態を調べるための徒手検査もあわせて行います。
レントゲンでは、関節の隙間や骨の変化、関節内の遊離体の有無を確認します。当院では超音波(エコー)検査も院内で行えます。ただし、半月板や靭帯、軟骨の状態を詳しく調べるにはMRI検査が必要になることが多く、その場合は連携医療機関での撮影をご案内します。
結果をふまえて、まずは炎症を抑える対応と、膝まわりの筋力を保つリハビリテーションから始めるのが一般的です。損傷の程度や生活・競技への影響によっては、手術という選択肢についてご説明し、専門的な治療を行う医療機関へご紹介します。当院では、手術を受けられたあとのリハビリテーションを継続して行うこともできます。
よくあるご質問
Q. 引っかかりが自然に取れたのですが、受診は必要ですか?
はい、一度ご相談いただくことをおすすめします。引っかかりが取れても、挟まる原因は関節の中に残っている可能性があります。繰り返すうちに軟骨が傷んでいくことがあるためです。
Q. すぐ手術になりますか?
必ずしもそうではありません。損傷の部位や程度、年齢、生活や競技の状況によって、まず保存的な対応から始める場合も多くあります。手術が選択肢になるかどうかは、画像所見と症状をあわせて判断します。
Q. MRIは当日撮れますか?
当院にMRIはありませんので、連携医療機関での撮影をご案内します。撮影のご予約が必要になりますので、診察の際にご相談ください。
Q. スポーツはいつから再開できますか?
原因と損傷の程度によって大きく異なります。引っかかりがある状態で続けると損傷が広がることがありますので、まず状態を確かめてから、段階的な復帰の計画をご相談ください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
膝の引っかかりは整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、必要に応じて専門的な治療を行う医療機関と連携します。