ニキビが治らない方へ
「薬を塗っているのに良くならない」「同じ場所に何度もできる」「もう何年も治らない気がする」——そんなふうにニキビが治らないと感じ、悩んでいる方は少なくありません。ニキビが「治らない」と感じるとき、その背景にはいくつかの共通した理由があります。自己流のケアを続けてしまっている、治療を途中でやめてしまっている、生活習慣の影響を受けている、あるいは実はニキビだと思っていたものが別の皮膚の病気だった、というケースもあります。このページでは、ニキビが治らないと感じる主な理由と、受診の目安、保険診療と美容診療の使い分けについてご説明します。今あるニキビの治療についてはニキビ(尋常性ざ瘡)のページ、跡が気になる方はニキビ・ニキビ跡が気になる方へのページで詳しくご案内しています。
ニキビが「治らない」と感じる、よくある理由
「治らないニキビ」とひとことで言っても、実際にはいくつかの異なる理由が重なっていることがほとんどです。まずは、どこに当てはまりそうか振り返ってみてください。
自己流のケアを続けている
気になって指で触ったり、潰したりしてしまう。洗顔のときにゴシゴシこすって皮脂を落とそうとする。こうした自己流のケアは、良かれと思って行っていても、実際には炎症を悪化させたり、治りを遅らせたりする原因になることがあります。とくに「こする」刺激は、赤みや色素沈着を長引かせる大きな要因です。
治療を短期間でやめてしまっている
ニキビ治療でとても多いのが、「効かなかった」と感じて外用薬を早めにやめてしまうケースです。ニキビ治療は、数日でぱっと結果が出るものではなく、新しいニキビができにくい肌に整えていくまでに、少なくとも数か月、場合によっては半年、1年といった期間、根気よく続けることが重要とされています。使い始めに一時的な赤みやかさつきが出ることもありますが、多くは使い続けるうちに落ち着いてきます。途中でやめてしまうと、せっかくの治療の効果を実感する前に「治らない」という判断になってしまいがちです。
生活習慣の影響を受けている
睡眠不足や偏った食事、ストレス、ホルモンバランスの変化などは、肌の状態に影響することがあると考えられています。治療を行っていても、こうした要因が重なると、改善のペースが緩やかになることがあります。
そもそも「ニキビ」ではない可能性がある
繰り返す・治らないと感じている症状が、実はニキビではなく、酒さ(しゅさ)や脂漏性皮膚炎など、見た目がよく似た別の皮膚の病気であることもあります。この場合、ニキビ用のケアや市販薬を続けていても、期待するような改善は得られにくく、かえって長引いてしまうことがあります。
そのニキビ、本当にニキビですか?——似た症状との見分け
顔にできる赤み・ぷつぷつとした症状のすべてが、いわゆる「ニキビ(尋常性ざ瘡)」とは限りません。とくに頬や鼻を中心とした赤み・ほてりに、ニキビのようなぷつぷつを伴う場合は、「酒さ」という別の慢性の皮膚疾患であることがあります。酒さはニキビと見た目が似ているため、自己判断でニキビ用のスキンケアや市販薬を使い続けてしまい、症状が長引いてしまうケースも見られます。ニキビの治療で使う薬剤の中には、酒さの症状を悪化させてしまうものもあるため、治療の方向性を誤らないことが大切です。
このほかにも、脂漏性皮膚炎や毛穴のトラブル、ニキビ跡の赤みなど、顔の赤み・ぷつぷつにはいくつかの原因が考えられます。ご自身でどのタイプかを判断するのは難しいため、繰り返す・治らないと感じている場合は、まず皮膚科専門医による診察を受け、いま起きている症状が何によるものかを確認することをおすすめします。顔の赤みについて詳しくは赤ら顔・酒さのページもあわせてご覧ください。
まずは保険診療でしっかり治療することが基本です
診察の結果、ニキビ(尋常性ざ瘡)と診断された場合、治療の基本となるのは保険診療です。毛穴の詰まりや炎症、アクネ菌といった、ニキビができる仕組みに働きかける外用薬(塗り薬)を中心に、症状に応じて内服薬や面皰圧出(毛穴の内容物を安全に取り除く処置)を組み合わせていきます。「今あるニキビを治す」だけでなく、「新しいニキビをできにくくする」ことを目標に、根気よく治療を続けることが、跡を残さないための近道です。治療の内容や段階については、ニキビ(尋常性ざ瘡)のページで詳しくご説明しています。
保険診療を続けても改善が不十分なとき
保険診療の外用薬・内服薬をしっかり続けても、繰り返す中等度〜重度のニキビが改善しにくいことがあります。そうした難治例に対しては、自由診療の選択肢として「イソトレチノイン」という内服薬による治療もあります。皮脂の分泌や毛穴の詰まりに働きかけるお薬ですが、日本では現時点で保険が適用されず、国内で承認された医薬品もありません。妊娠中・妊娠の可能性のある方・授乳中の方は使用できないなど、副作用の管理が欠かせない治療でもあります。
※イソトレチノインによる治療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。適応やリスクの詳しい内容はニキビ(尋常性ざ瘡)のページでご確認ください。
まずは保険診療での治療を十分に行い、それでも改善が不十分な場合に検討する選択肢として位置づけています。
治療しても残ってしまった跡は、美容診療という選択肢も
保険診療で治療できるのは、今あるニキビ・新しくできるニキビです。一方で、炎症が治まった後に残ってしまった赤み・色素沈着・へこみといった「ニキビ跡」は、保険診療のお薬では改善がむずかしく、自由診療(美容診療)の対象となります。つまり、まずは保険診療でニキビ自体をしっかり治し、跡を残さないようにすること。そのうえで、すでに残ってしまった跡が気になる場合に、美容診療を検討するという流れが基本です。
※ニキビ跡に対する美容診療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。
ニキビ跡のタイプ別の見通しや、当院で選択肢としてご案内しているメニューについては、ニキビ・ニキビ跡が気になる方へのページで詳しくご説明しています。
受診の目安(こんなときはご相談ください)
- 市販薬やセルフケアを数か月続けても改善しない
- 同じ場所に何度も繰り返しできる
- 赤く腫れたニキビや、膿をもったニキビがある
- 治療を続けているつもりでも、跡が増えている気がする
- ニキビだと思っていたが、赤み・ほてりが強く、ぷつぷつを繰り返している
こうした場合は、自己判断でケアを続ける前に、一度皮膚科でのご相談をおすすめします。いま起きている症状が何によるものかを確認したうえで、必要な治療をご案内します。
ご自宅でできること(セルフケア)
治療とあわせて、日々のケアの見直しも、ニキビが治らないと感じる状態から抜け出すための助けになります。
- 潰さない・触らない:気になっても、指で触ったり潰したりしないようにしましょう。手の刺激や雑菌が、悪化や跡の原因になります。
- こすらない:洗顔のときにゴシゴシこするのは逆効果です。よく泡立てた洗顔料でやさしく洗い、こすらずに落とすことを心がけてください。こする刺激は、赤みや色素沈着を長引かせる原因になります。
- 洗いすぎない:皮脂を落とそうと1日に何度も洗うと、かえって乾燥し、肌のバリア機能が乱れます。洗顔は基本的に朝晩の2回で十分です。
- 保湿をする:ニキビ肌でも保湿は大切です。刺激の少ない保湿剤を選び、肌の状態を整えましょう。
- 生活習慣を見直す:睡眠不足や偏った食事は、肌の状態に影響することがあります。できる範囲で整えていきましょう。
- 治療を自己判断でやめない:外用薬の刺激が気になる場合も、自己判断で中止せず、量や使い方の調整について相談してください。
洗顔やスキンケアを見直しても新しいニキビができ続ける、同じ場所を繰り返す、跡が残り始めた——そうしたときは、自己流を続けるより一度診察を受けるほうが近道です。
よくあるご質問
Q. 何年も治らないニキビでも、治療できますか?
はい。長期間治らないと感じている場合こそ、これまでの治療内容や期間、生活習慣などを一度整理し、いま何が原因になっているのかを確認することが大切です。自己流のケアが続いていた、治療期間が足りていなかった、あるいは別の皮膚の病気だったなど、理由がわかれば適した治療につなげることができます。
Q. 大人になってからのニキビも、思春期のニキビと同じ治療でよいですか?
大人のニキビ(大人ニキビ)も、思春期のニキビと同じく治療の対象となる皮膚の状態です。あごや口まわり、フェイスラインに繰り返しできることが多く、生活習慣やスキンケア、肌の乾燥などが関わることもあります。肌の状態に合わせて治療方針をご提案します。
Q. 市販薬を試してから受診したほうがよいですか?
市販薬でしばらく様子を見ても改善しない、繰り返す、赤く腫れている、跡になりそうといった場合は、時間を空けずに皮膚科での相談をおすすめします。医療機関では、市販薬にはない外用薬・内服薬や、面皰圧出などの処置を用いることができます。
Q. ニキビだと思っていたのですが、実は違う病気だったということはありますか?
あります。頬や鼻を中心とした赤み・ほてりにぷつぷつを伴う場合は、酒さなど別の皮膚疾患であることがあります。見た目が似ているため自己判断が難しく、市販のニキビ用ケアを続けてしまうと、かえって長引くことがあります。気になる場合は診察で確認することをおすすめします。
Q. ニキビ跡になってしまったら、もう治療できませんか?
ニキビ跡は、赤み・色素沈着・へこみなど、タイプによって見通しが異なります。保険診療のお薬での改善はむずかしいものの、美容診療での選択肢があります。詳しくはニキビ・ニキビ跡が気になる方へのページでご案内しています。