院長の研究実績|スタンフォード大学整形外科留学
再生医療を受けるかどうかを考えるとき、「どんな治療か」と同じくらい、「誰に任せるか」を気にされる方は少なくありません。
このページでは、当院院長 遠矢政和(とおや まさかず) がどのような道を歩み、なぜ再生医療に取り組んでいるのかをご紹介します。整形外科医として臨床に携わるかたわら、九州大学で関節の基礎研究に取り組んで医学博士を取得し、米国スタンフォード大学整形外科で慢性炎症と骨代謝の研究に従事してきました。
その歩みを通じて一貫しているのは、「痛みを『歳のせい』で片づけず、その背景にある病態を理解してアプローチする」という姿勢です。
※ このページでご紹介する研究・学術業績は、院長の経歴と専門性を示すものです。特定の治療の効果や有効性を保証するものではありません。治療効果には個人差があります。
なぜ整形外科医になったのか
院長は鹿児島県の出身です。中学生の頃には「医師ではなく、整形外科医になりたい」と考えるようになっていました。
幼い頃から競泳に打ち込み、痛みが出ると通っていたのが整形外科でした。そこで楽しそうに働く医師の姿に惹かれたことが原点だといいます。
「機能改善外科」に惹かれて
整形外科を選んだ理由を、院長はこう語ります。「小さなお子さんからご高齢の方まで、年齢や性別を問わず、あらゆる患者さんの悩みに向き合えるのが整形外科の魅力でした。整形外科は『機能改善外科』なので、痛みが目に見えてよくなっていく ― 結果が見えやすいところにもやりがいを感じています」。
将来は福岡で開業したいという思いから、地域を知る意味でも九州大学医学部へ進学。2012年に卒業し、整形外科医としてのキャリアを歩み始めました。
基礎研究の道 ― 「慢性炎症」という共通の病態
整形外科医として臨床経験を重ねながら、院長は九州大学大学院で基礎研究に取り組みました。
テーマは、軟骨や滑膜といった関節の構造に関わる研究です。ヒトの軟骨細胞や滑膜細胞を用いて、変形性関節症や関節リウマチに対する、手術以外の新しい治療法の手がかりを探る研究に取り組みました。
研究を続けるなかで院長がたどり着いたのが、「慢性炎症」が変形性関節症や関節リウマチに共通する重要な病態であるという視点でした。
博士論文 ―「炎症のスイッチ」を抑えるという発想
院長が医学博士を取得した研究(2021年・九州大学)は、患者さんの言葉に置き換えるとこういう内容です。
関節の中では、炎症を進める「スイッチ」のような分子(GRK5)がはたらいています。院長は、このスイッチのはたらきを抑えると、関節の炎症(滑膜炎)が和らぐことを、実験モデルで明らかにしました。「炎症そのものをコントロールできれば、関節の状態を守れるのではないか」 ― この発想は、現在の診療で「痛みの背景にある炎症に目を向ける」という姿勢につながっています。
※ これは関節の炎症の仕組みを調べた基礎研究(動物・細胞を用いた研究)であり、特定の治療薬や治療法の効果を示すものではありません。
スタンフォード大学整形外科への留学
大学院で「慢性炎症」というテーマに向き合っていた院長に、当時の教授からスタンフォード大学整形外科への留学の話が舞い込みます。
留学先の研究室(Stuart B. Goodman 教授の Goodman Lab)が掲げていたテーマは「慢性炎症と骨代謝」。それまで院長が積み重ねてきた研究を、さらに昇華できる場でした。
コロナ禍での渡米には家族とも相当に悩んだといいますが、「世界のトップレベルの環境で、治療法の開発に携わってみたい」という思いから、2021年10月、留学を決意します。
2年間で得たもの
院長はこの2年間(2021年10月〜2023年9月)について、こう振り返ります。「研究を自分でオーガナイズし、プレゼンし、予算を組み、研究資金を獲得していく ― 大学院時代は指導教官が導いてくれていたことを、すべて自分でやらなければならない、やりがいはあるけれど厳しい世界でした」。
この間、慢性炎症・骨代謝・幹細胞をテーマに、国際学会での発表や査読付き論文の執筆を重ねました。
留学で得た「医学的根拠」
院長がスタンフォードで得たものは、研究成果だけではありませんでした。
「幹細胞を使った研究を通して、細胞治療は正しく行えば十分な治療効果が期待できる治療であるという医学的根拠を、自分のなかに持つことができました」と院長は語ります。
「だからこそ、再生医療をビジネスライクに行うのではなく、しっかりと、正しく普及させたい」 ― この思いが、天神トオヤクリニックの開院につながっています。
「歳のせい」で終わらせない
院長が一貫して大切にしているのは、痛みを「歳のせい」で片づけないという姿勢です。
「年齢を重ねると関節の痛みが出やすくなりますが、その背景には慢性炎症があると考えられています。加齢にともなう弱い炎症は近年 inflammaging(インフラメイジング/炎症加齢) と呼ばれ、関節の不調にも関わるとされています。『歳のせい』で終わらせるのではなく、それぞれの病態をしっかり理解してアプローチすれば、できることがある ― それを知っていただきたいのです」。
そのアプローチのひとつが、PRP療法や幹細胞治療といった、手術以外の選択肢です。院長が大学院・スタンフォード留学を通じて向き合い続けてきた「慢性炎症と関節・骨」というテーマは、当院が再生医療に取り組む科学的な土台になっています。
※ inflammaging は加齢に関わる体の状態を説明する考え方であり、特定の治療によって「老化が止まる」「若返る」といった効果を意味するものではありません。
学術業績
院長 遠矢政和のこれまでの学術的な歩みを、事実として記載します。
経歴
- 2012年 九州大学医学部医学科 卒業
- 2012年 医師免許取得(第106回医師国家試験合格)
- 2012〜2017年 九州中央病院(初期臨床研修)、九州大学医学部附属病院 整形外科、国立病院機構九州がんセンター 整形外科、遠賀中間医師会おんが病院 整形外科 にて研鑽
- 2017年 九州大学 整形外科 臨床大学院
- 2019年 日本整形外科学会 整形外科専門医
- 2021年 医学博士(九州大学)
- 2021年10月〜2023年9月 米国スタンフォード大学医学部 整形外科 Postdoctoral Fellow(Goodman Lab)
- 2023〜2025年 国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 整形外科、国立病院機構 九州医療センター 整形外科
- 2025年7月 天神トオヤクリニック 開院(院長)
- 2025年9月 JAMST(日本体外衝撃波医学会)運動器体外衝撃波治療施術者 認定
研究テーマ
慢性炎症・inflammaging(炎症加齢)、NF-κB シグナル、CCL2(炎症と骨形成)、骨リモデリング・骨代謝、間葉系幹細胞(MSC)とマクロファージの相互作用 など、「関節・骨と炎症」を軸とした基礎研究に取り組んできました。
主な論文(筆頭著者)
- 関節炎モデルにおける GRK5 阻害と滑膜炎の抑制に関する研究(Scientific Reports, 2021/博士論文)
- 骨の慢性炎症に関連する骨粗鬆症と治療標的の性差に関する研究(Bone & Joint Research, 2024)
- 炎症の急性期における CCL2 とマクロファージ・骨形成に関する研究(Frontiers in Cell and Developmental Biology, 2023)
- そのほか、査読付き論文 20本以上に著者として参加。
学会発表・所属
- 国際学会発表 20回以上(Orthopaedic Research Society/AAOS/TERMIS/Society for Biomaterials/Association of Bone and Joint Surgeons ほか)
- 国内学会発表多数(日本整形外科学会/日本リウマチ学会/日本軟骨代謝学会/日本骨代謝学会 ほか)
- 所属学会:日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本軟骨代謝学会、Orthopaedic Research Society、日本炎症・再生医学会、日本水泳ドクター会議、日本抗加齢医学会、日本再生医療学会
- 受賞:緒方記念科学振興財団 助成事業助成金(2020年度)、ARCO 2022 Best Presentation Award(共著)
※ 上記は院長の経歴・研究実績を示す事実です。これらの業績は、当院で行う治療の効果・有効性を保証するものではありません。学術的な実績と、個々の治療の効果とは切り分けてお考えください。治療効果には個人差があります。 ※ 詳しい論文・学会発表の一覧は医師の業績一覧をご覧ください。
恩師・指導者への感謝
院長がここまで歩んでこられたのは、研究の機会を与え、導いてくださった指導者の存在があったからだといいます。
九州大学整形外科で直接指導にあたってくださった赤崎幸穂先生、研究の機会を与えてくださった中島康晴教授、そしてスタンフォード大学で2年間受け入れてくださったStuart B. Goodman 教授をはじめ、共同研究者の皆さまへの感謝を、院長はあらためて表しています。
診療を離れて
診療を離れた院長の趣味はゴルフです。学生時代から競泳に打ち込み、スポーツを「するのも観るのも大好き」だといいます。スポーツとの縁は、アスリートの早期復帰を支えるPRP療法や、長く運動を続けたい方の体づくりへの関心にもつながっています。
休日は、家族とできるだけ多くの時間を過ごし、子どもたちにさまざまな経験をさせてあげたいと考えてきました。留学時代に家族ぐるみで親しくなったご家族と、年に数回どこかで集まることもあるそうです。