かかと・土踏まずが痛い

「朝、ベッドから降りて床に足をついた一歩目が、ズキッと痛い」「歩き出すとだんだん楽になるが、長く立っているとまた痛くなる」——このパターンに心当たりがあれば、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の可能性が高いと考えられます。

足の裏の痛みは、命に関わるものではないぶん我慢されがちですが、歩くたびに負担がかかる場所なので、放っておくと数か月から年単位で続くことがあります。 このページでは、痛む場所ごとの見分け方と、なぜ長引くのかをご説明します。

「朝の一歩目」がなぜいちばん痛いのですか

足の裏には、かかとの骨から足指の付け根まで、足底腱膜という丈夫な膜が張っています。この膜は、土踏まずのアーチを支え、歩くときのバネの役割を果たしています。

かかと・足の痛み

歩いたり立ったりを繰り返すうちに、この膜のかかと側の付着部に細かい傷や炎症が生じます。すると、休んでいる間に体は傷ついた部分を修復しようとしますが、その状態のまま朝いきなり体重をかけると、修復途中の組織が引き伸ばされて痛みが走ります。

歩いているうちに膜がほぐれてくるため、痛みは軽くなります。ところが、長く立っていたり歩いたりすると、今度は疲労で再び痛みが出てきます。「朝いちばん痛い」「動くと楽」「長く使うとまた痛い」という三拍子が、足底腱膜炎の典型的な経過です。

痛む場所で原因が分かれます

かかとの「底」が痛む

もっとも多いのが足底腱膜炎です。かかとの骨の前寄り、少し内側を押すと痛むのが典型的です。土踏まずに沿って痛みが広がることもあります。詳しくは足底腱膜炎のページをご覧ください。

かかとの「後ろ」が痛む

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎が考えられます。かかとの上、アキレス腱のあたりを押すと痛み、つま先立ちや階段の上りで強まります。ランニングを始めた方、量を増やした方に多くみられます。詳しくはアキレス腱炎のページをご覧ください。

かかとの後ろの出っぱりが赤く腫れる

靴のかかとが当たる部分の骨が出っぱり、こすれて炎症を起こしているもの(滑液包炎)が考えられます。靴の見直しで改善することがあります。

足の裏がしびれる・ピリピリする

痛みよりしびれが主体の場合、足の神経が圧迫されている可能性があります(足根管症候群など)。また、糖尿病による神経障害でも足裏の感覚異常が起こります。

成長期のお子さんのかかとの痛み

10歳前後のお子さんでは、かかとの骨の成長軟骨に負担がかかって痛むことがあります(セーバー病)。スポーツをしているお子さんに多くみられます。詳しくは成長期の子どもの関節の痛みのページをご覧ください。

なぜ長引くのですか

足底腱膜炎が長引きやすいのには、はっきりした理由があります。

歩かない生活はできないからです。 腱や靭帯の炎症は、その部分を休めることで落ち着いていきますが、足の裏は立つ・歩くたびに必ず体重がかかります。完全に休ませることが難しいため、治りかけては負担がかかる、を繰り返しやすいのです。

だからこそ、次の2つが大切になります。

  1. 負担そのものを減らす工夫(靴、インソール、体重、歩き方、立ち仕事の合間の休憩)
  2. 足底腱膜とふくらはぎの柔軟性を保つこと(ふくらはぎが硬いと、足底腱膜が引っ張られやすくなります)

これらは自宅で取り組めるものが中心です。裏を返せば、続けるかどうかで経過が変わりやすい症状ともいえます。

こんなときは早めに受診してください

  • 痛みが2週間以上続いている
  • かかとをつけて歩けない、かばって歩いている
  • かかとが腫れて熱をもっている
  • しびれを伴う
  • 転倒やジャンプの着地のあとから急に痛くなった(骨折の可能性があります)
  • 両側のかかとが痛む
  • 糖尿病を指摘されており、足の症状が出てきた
  • ふくらはぎに急な激痛が走り、つま先立ちができない(アキレス腱断裂の可能性があります。早めにご相談ください)

ご自宅でできること

  • ふくらはぎを伸ばす:壁に手をつき、片脚を後ろに引いて膝を伸ばしたまま体重を前へ。20〜30秒を左右2〜3回、1日数回。足底腱膜炎ではふくらはぎの柔軟性がとても重要です。
  • 足の裏をほぐす:ゴルフボールやテニスボールを足裏で転がす。1回1〜2分、痛気持ちいい程度で。
  • 朝、起き上がる前にほぐす:布団の中で足首を上下に動かし、足指を反らしてから床に降りると、一歩目の痛みが軽くなることがあります。
  • 靴を見直す:かかとにクッション性があり、土踏まずを支えるもの。裸足やスリッパでの硬い床の生活は負担が大きいため、室内でもクッション性のある履物をおすすめします。
  • インソールを使う:土踏まずを支えるインソールは、負担の分散に有効なことがあります。
  • 体重の管理:足裏には体重がそのままかかります。
  • 痛みが強いときは冷やす:使ったあとに熱っぽさがあるときは、保冷剤をタオルで包んで15分程度。

ストレッチは、痛みの出ない範囲で、続けることが大切です。数日でやめてしまうと効果が出にくいので、少なくとも数週間は続けてみてください。

靴とインソールの選び方

足裏の痛みは、日々履くものの影響を強く受けます。治療と並行して見直していただく価値があります。

選ぶときに見るポイント

  • かかとのクッション性:着地の衝撃を受け止める部分です。手で押してみて、ある程度沈むものを。
  • 土踏まずのサポート:アーチを下から支える形状があるかどうか。中敷きを取り出して、土踏まず部分が盛り上がっているか確かめてください。
  • かかとのホールド:かかとを包む部分(ヒールカウンター)が柔らかすぎると、足がぐらついて負担が増えます。指でつまんで、簡単につぶれないものを。
  • 靴底の硬さ:足指の付け根で自然に曲がり、それ以外は簡単にねじれないもの。全体が柔らかすぎる靴は、かえって足裏の負担を増やします。
  • サイズ:大きすぎる靴は中で足が動き、余計な力がかかります。

避けたいもの

  • 裸足・スリッパでの硬い床の生活:フローリングの上を裸足で歩くのは、足裏にとってかなりの負担です。症状のある時期は、室内でもクッション性のある履物をおすすめします。
  • かかとがぺたんこで薄い靴:バレエシューズ型、薄いサンダル、ビーチサンダルなど。
  • すり減った靴:かかとの外側が大きく削れている靴は、足の傾きを助長します。

インソールについて

土踏まずを支えるインソールは、足底腱膜にかかる引っ張りを減らす助けになります。市販品でも、アーチを支える構造がしっかりしたものであれば十分に役立ちます。効果が乏しい場合や、足のかたちに合わないと感じる場合は、診察の際にご相談ください。

当院での診察の流れ

いつから・どこが・どんなときに痛むか、朝の一歩目の症状、立ち仕事やスポーツの状況、履いている靴についてうかがいます。そのうえで、押して痛む場所を確かめ、足のアーチのかたち、足首の動く範囲、ふくらはぎの硬さ、歩き方を確認します。

レントゲンでは、かかとの骨の状態や骨棘(骨のとげ)の有無、疲労骨折が疑われる場合はその所見を確認します。当院では超音波(エコー)検査を院内で行えますので、足底腱膜の厚みや炎症の程度をその場で観察することができます。

対応としては、まず負担を減らす工夫(靴・インソール・生活動作)と、ストレッチを含むリハビリテーション、炎症を抑える外用・内服を組み合わせます。当院には理学療法士が常勤しており、足首・ふくらはぎの柔軟性や歩き方の評価と指導を、保険診療の範囲で受けていただけます。

これらを続けても改善が乏しい場合には、他の選択肢についてもご説明します。詳しくは診察の際にご相談ください。

よくあるご質問

Q. かかとの骨にとげ(骨棘)があると言われました。これが痛みの原因ですか?
かかとの骨棘は、痛みのない方にも見つかることがあります。骨棘そのものが痛みの直接の原因とは限らないため、症状と診察所見をあわせて判断します。

Q. どのくらいで治りますか?
数週間で落ち着く方もいれば、数か月かかる方もいます。負担を減らす工夫とストレッチを続けられるかどうかで、経過が変わりやすい症状です。

Q. 歩かないほうがよいですか?
まったく歩かないことは難しく、動かないと足首やふくらはぎが硬くなってかえって長引くことがあります。長時間の立ち仕事や急な運動量の増加を避けながら、日常の歩行は続けていただいて構いません。

Q. インソールは市販のもので大丈夫ですか?
市販品でも土踏まずを支える構造のものであれば助けになります。足のかたちに合わない場合や、効果が乏しい場合は、診察の際にご相談ください。

Q. 何科を受診すればよいですか?
かかと・足裏の痛みは整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、痛む場所から原因を確かめたうえで対応をご提案します。

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