水ぶくれと帯状の痛みが出た

体の片側に、ピリピリ・ズキズキする痛みが出て、数日後にその同じ場所に赤みと水ぶくれが出てきた——

この経過は、帯状疱疹に特徴的なものです。

そして、この病気について、まずお伝えしたいことがあります。

帯状疱疹は、受診の早さが結果を大きく左右します。

発疹が出てからできるだけ早く——目安として72時間以内に治療を始めることで、症状の程度や、そのあとに残る痛みの可能性が変わってきます。

「様子を見よう」と数日過ごしてしまうと、その窓は閉じてしまいます。皮膚の症状に気づいた時点で、その日か翌日にはご相談ください。

痛みが先に出ます。この時間差が落とし穴です

帯状疱疹でもっとも多い「見逃し」は、発疹が出る前の段階で起こります。

多くの場合、痛みや違和感が数日先行してから、皮膚の症状が出ます。

この先行する痛みは、出た場所によって、まったく違う病気に間違われます。

  • 胸・背中に出た → 「肋間神経痛」「心臓かもしれない」
  • 腰に出た → 「ぎっくり腰」「腎臓の病気かもしれない」
  • お腹に出た → 「胃腸の具合が悪い」「盲腸かも」
  • 頭・顔に出た → 「頭痛」「歯が痛い」「三叉神経痛」
  • 首・肩に出た → 「寝違え」「肩こり」

実際に、別の科を受診したあとで、数日後に発疹が出て帯状疱疹と分かるということが、しばしばあります。

ですから、こう覚えておいてください

「体の片側だけに、原因の分からない痛みが数日続いている」——これは帯状疱疹の可能性があります。

「片側だけ」というのが重要な手がかりです。腰痛も肩こりも、多くは両側か、はっきりしません。片側にきれいに限られている痛みは、神経に沿った痛みを疑う理由になります。

まだ発疹がなくても、思い当たる方は、そのことを診察でお伝えください。「帯状疱疹ではないか心配です」とおっしゃっていただいて構いません。

帯状疱疹の見分け方

  • 体の片側だけに出る(正中線を越えない)
  • 帯状に、細長く広がる
  • 赤みの上に、小さな水ぶくれが集まってできる
  • ピリピリ、ズキズキ、焼けるような痛みを伴う
  • 服がこすれるだけで痛い、風が当たるだけで痛い
  • 痛みが先に出て、あとから発疹が出ることが多い
  • 疲れているとき、体調を崩したあとに出やすい

「片側」「帯状」「痛みを伴う」——この3つがそろえば、帯状疱疹の可能性が高くなります。

単純ヘルペスとの違い

同じ水ぶくれでも、単純ヘルペスは狭い範囲に出て、同じ場所に何度も繰り返します。帯状疱疹は通常一度で、範囲が広く、痛みが強いのが特徴です。詳しくは唇や皮膚に水ぶくれを繰り返すをご覧ください。

なぜ起こるのか

帯状疱疹の原因は、子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスです。

水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは神経の根もとに潜んだまま、体の中に残り続けます。 普段は免疫の力で抑え込まれていますが、次のようなときに再び活動を始めます。

  • 加齢:50歳を過ぎると増えていきます
  • 疲労・睡眠不足
  • 強いストレス
  • 病気やけが、手術のあと
  • 免疫を抑える治療を受けているとき

再び動き出したウイルスが神経を伝って皮膚に達し、その神経が担当する範囲——つまり体の片側の帯状の範囲——に症状を出します。 これが「片側」「帯状」の理由です。

人からうつってなるものではありません。 自分の中にいたウイルスが再び動き出したものです。

とくに急ぐ場合

次の場合は、当日中にご相談ください。

  • 顔、とくに目の周囲やまぶたに症状がある → 視力に関わることがあります
  • 耳、耳のまわりに症状がある → 難聴、めまい、顔の動かしにくさにつながることがあります
  • 鼻の先に水ぶくれがある → 目に及ぶ前触れのことがあります
  • 顔の片側が動かしにくい、口が閉じにくい
  • 排尿・排便がしにくい
  • 痛みが非常に強く、眠れない
  • 範囲が広い、両側に出ている
  • 免疫を抑えるお薬を使っている、治療中の病気がある

顔と耳は、とくに注意が必要です。 これらの部位は、皮膚だけでなく目や聴こえに影響することがあるため、様子を見ずにご相談ください。

あとに残る痛みを防ぐために

帯状疱疹でもっとも避けたいのは、皮膚が治ったあとも痛みが続く状態(帯状疱疹後神経痛)です。

皮膚の症状は数週間で治まりますが、神経が受けたダメージが残ると、その後も痛みが続くことがあります。数か月から、長い場合はさらに続くこともあります。

この可能性は、年齢が高いほど、また最初の痛みが強いほど高くなることが知られています。

そして、早く治療を始めることが、この可能性を下げる方法として重要とされています。

「痛いけれど我慢できるから」「そのうち治るだろうから」と待つことの代償が、あとに残る痛みという形で来ることがある——これが、早期受診をおすすめする最大の理由です。

また、痛みを我慢しないことも大切です。痛みが強い場合には、痛みそのものへの対応も並行して行います。遠慮なくお伝えください。

受診までの間に

  • 患部を清潔に保つ。水ぶくれはつぶさないでください
  • こすらない、掻かない
  • 温めると痛みが和らぐことがあります(冷やすと痛みが強くなる方が多いため、蜂窩織炎とは逆になります)
  • ゆったりした服を着る。こすれると痛みます
  • 無理をしない。体を休めることが治りに影響します
  • 水ぼうそうにかかっていない小さなお子さん、妊婦さんとの接触は、水ぶくれがある間は避けてください

当院での診察の流れ

いつから、どこに、どのような痛みが出たか、痛みと発疹のどちらが先だったか、範囲、持病とお薬をうかがいます。

診察では、発疹の分布(片側性か、神経の走行に沿っているか)、水ぶくれの状態、痛みの程度を確認します。多くの場合、見た目と経過で診断がつきます。

治療は抗ウイルス薬の内服が中心で、痛みに対する対応を併せて行います。目や耳に関わる場合、症状が重い場合には、専門的な医療機関へご紹介します。

帯状疱疹の詳しい経過、治療、予防のためのワクチンについては、帯状疱疹のページでご説明しています。

出る場所によって、気をつけたい点が変わります

帯状疱疹は、体のどの神経が影響を受けたかによって、出る場所と注意点が変わります。

胸・背中・わき腹
最も多い部位です。肋骨に沿って、帯のように広がります。服がこすれるだけで痛むため、ゆったりした衣類をおすすめします。

顔・額・目のまわり
最も注意が必要な部位です。 目に及ぶと、角膜や視力に関わることがあります。額から鼻にかけて、あるいはまぶたに症状が出た場合は、当日中にご相談ください。 とくに鼻の先に水ぶくれがある場合は、目に及ぶ前触れとして知られています。

耳・耳のまわり・口の中
耳の中や耳のまわりに症状が出た場合、難聴、耳鳴り、めまい、顔の片側が動かしにくいといった症状を伴うことがあります。この場合も急ぎます。

腰・おしり・下腹部
下腹部から仙骨のあたりに出た場合、まれに排尿・排便がしにくくなることがあります。この症状があれば、お伝えください。

腕・脚
神経に沿って、細長く帯状に出ます。関節の痛みや肩こりと間違われることがあります。

「顔と耳は急ぐ」——これだけは覚えておいてください。

痛みの経過について

帯状疱疹の痛みは、時期によって性質が変わります。

急性期(発疹が出ている時期)
ズキズキ、焼けるような痛み。服がこすれる、風が当たるだけで痛むという状態になることもあります。この時期の痛みは、炎症によるものが主体です。

皮膚が治ったあと
多くの方は、皮膚の症状が治まるとともに痛みも引いていきます。

ただし一部の方では、皮膚がきれいになったあとも痛みが続くことがあります。これは神経が受けたダメージによるもので、急性期とは性質が違います。「ピリピリ」「電気が走るよう」「触られると痛い」といった表現をされることが多くあります。

この痛みは、通常の痛み止めでは十分に効かないことがあります。 別の種類のお薬や、専門的な治療が必要になることもありますので、痛みが続く場合は我慢せずお伝えください。

「皮膚は治ったのだから、痛いと言ってはいけない」と思われる方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。 実際に痛みが残る病気ですので、遠慮なくご相談ください。

よくあるご質問

Q. 発疹が出て3日以上経ってしまいました。もう遅いですか?
遅くありません。受診してください。 早いほうがよいのは確かですが、時間が経っていても治療の意味はあります。とくに痛みへの対応は、いつからでも可能です。

Q. 人にうつりますか?
帯状疱疹そのものがうつることはありません。ただし、水ぼうそうにかかったことがない方(小さなお子さんなど)に、水ぼうそうとしてうつることがあります。水ぶくれがある間は接触を避けてください。

Q. お風呂に入ってもよいですか?
入っていただいて構いません。こすらないでください。 湯船を共有することで人にうつることは、通常ありません。

Q. 一度かかったら、もうかかりませんか?
多くの方は一度ですが、再発することもあります。 「前にかかったから違う」とは考えないでください。

Q. 予防できますか?
ワクチンがあります。 50歳以上の方が対象で、発症を減らす、あるいは発症しても軽く済むことが期待されています。詳しくは帯状疱疹のページをご覧ください。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚に症状が出ていれば皮膚科でご相談いただけます。目の周囲や耳に症状がある場合は、眼科・耳鼻科での確認が必要になることがあります。

関連ページ