尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)

尋常性白斑は、皮膚の色をつくる細胞(メラノサイト)が失われ、その部分が白く抜けてしまう病気です。

最初に、はっきりお伝えしたいことが3つあります。

① 人にうつることはありません。 感染症ではありません。

② 痛みもかゆみもなく、体に害を及ぼすものでもありません。

③ そして、この病気でつらいのは、多くの場合「見た目」です。 それは、決して軽い問題ではありません。

医学的には「命に関わらない良性の病気」に分類されますが、顔や手にできれば、毎日、人の視線にさらされます。 服で隠せない場所であればなおさらです。

その負担を「気にしすぎ」とは、私たちは考えません。

誤解を解いておきたいこと

この病気は、誤解にさらされやすい病気です。実際に、患者さんが人から言われて傷つく言葉があります。

「うつるのではないか」
うつりません。 感染症ではなく、細胞が失われることで起こる病気です。握手も、入浴も、まったく問題ありません。

「不摂生が原因では」
違います。食生活や生活習慣が原因でできる病気ではありません。

「ストレスのせい」
ストレスがきっかけのひとつになることはありますが、それだけで説明できるものではありません。「気の持ちよう」で治るものでもありません。

「日焼けの失敗」
違います。ただし、白い部分は日焼けに非常に弱いため、日焼けによって目立ちやすくなることはあります。

もし周囲の方から心ない言葉を受けておられるなら、それは事実に基づかないものです。 診察の中で、ご家族や職場への説明の仕方についてもご相談いただけます。

どんな病気か

皮膚の色は、メラノサイトという細胞がつくる色素(メラニン)によって決まります。

尋常性白斑では、このメラノサイトが失われることで、その部分の色が抜けます。

なぜ失われるのかは、完全には分かっていません。 現在は、自分の免疫が、自分のメラノサイトを攻撃してしまうという仕組みが関わっていると考えられています。

症状

  • 境界のはっきりした、白い斑
  • 大きさ、形はさまざま
  • 痛み、かゆみは通常ありません
  • その部分の毛も、白くなることがあります
  • 日焼けすると、周囲との差が目立ちます

できやすい場所

顔、手、指、肘、膝、足、わきの下、性器の周囲、口や目の周り。

こすれる場所、圧迫される場所にできやすい傾向があります。また、傷ができた場所に新しく出ることがあります(この現象は、後述する日常の注意につながります)。

分けて考えます

① 体のあちこちに、左右対称に出るもの(汎発型)
最も多いタイプです。進行することがあります。

② 体の一部、片側だけに出るもの(分節型)
神経の走行に沿って、片側に出ます。若い方に多く、ある時期まで広がったあと、そこで止まることが多いとされています。

③ 限られた範囲だけのもの(限局型)

どのタイプかによって、経過の見通しが変わります。

関連することがある病気

尋常性白斑では、甲状腺の病気をはじめとした、免疫が関わる病気を合併することがあります。

必ずしも合併するわけではありませんが、だるさ、体重の変化、動悸、寒がり・暑がりといった症状がある場合は、お伝えください。必要に応じて血液検査で確認します。

白い部分は、日焼けに非常に弱いのです

これは、知っておいていただきたい重要な点です。

白斑の部分には、紫外線から皮膚を守る色素がありません。

そのため——

  • すぐに赤くなり、ひどい日焼けを起こします
  • 痛みを伴う炎症になることがあります
  • 周囲の皮膚が日焼けで濃くなると、白い部分との差がさらに目立ちます
  • 日焼けによる傷が、白斑を広げるきっかけになることがあります

つまり、日焼け止めは治療の一部です

「美容のため」ではなく、皮膚を守り、目立ちにくくし、悪化を防ぐためです。

  • 日焼け止めを毎日:曇りの日も、屋内でも窓際なら
  • 2〜3時間おきに塗り直す:とくに屋外での活動時
  • 帽子、日傘、長袖
  • 白斑の部分だけでなく、周囲にも:周囲が濃くならなければ、差が目立ちません

これを続けるかどうかで、見た目の印象がかなり変わります。

広げないために

白斑は、皮膚が傷ついた場所に新しく出ることがあります。 これを踏まえると、日常で気をつけられることがあります。

  • こすらない:ナイロンタオル、ゴシゴシ洗い
  • 締めつけない:きつい下着、ベルト、時計のバンド
  • 傷をつくらない:かき傷、すり傷、やけど
  • 日焼けをしない(前項のとおり)
  • 繰り返し圧迫される場所に注意:かばんのストラップ、靴のあたる部分

これらを完全に避けることはできませんが、意識するだけでも違います。

診断

問診では、いつから、どこに出たか、広がり方、ご家族に同じ病気の方がいるか、他の病気とお薬、症状の変化をうかがいます。

診察では、白斑の分布、境界、範囲、毛の色を確認します。ウッド灯という特殊な光を当てて観察すると、肉眼では見えにくい部分もはっきりします。 痛みはありません。

必要に応じて、血液検査で甲状腺などの状態を確認します。

他の白くなる病気(癜風、炎症のあとに一時的に白く見えるもの、生まれつきのものなど)との区別が必要な場合もあります。

治療について

正直にお伝えします。

尋常性白斑は、治療が難しい病気です。 色が完全に戻るとは限らず、時間もかかります。

しかし、「何もできない」わけではありません。

治療の考え方

① 進行を抑える
広がっている時期には、炎症を抑える塗り薬などで、進行を抑えることを目指します。

② 色を戻す
色素細胞のはたらきを促す治療があります。顔や首は比較的反応しやすく、手足の先や、毛が白くなっている部分は反応しにくい傾向があります。

③ 目立たなくする
これも立派な選択肢です。 後述します。

④ 日焼け対策
すべての方に共通する、基本の対応です。

時間がかかります

色が戻る場合でも、数か月から年単位を見込みます。部位によって反応が違い、まったく反応しない部分もあります。

期待を持ちすぎず、しかしあきらめない——この病気では、そのバランスが大切になります。

具体的にどの治療を選ぶかは、白斑のタイプ、範囲、部位、これまでの経過、生活の状況によって変わります。診察でご相談ください。

隠すことも、正当な選択です

治療で色を戻すことだけが、答えではありません。

カバー用の化粧品(カモフラージュメイク)という方法があります。

  • 汗や水に強く、通常のファンデーションより高い被覆力をもつ製品があります
  • 男性向けの製品もあります
  • 医療用として、専門的に開発されたものもあります

「化粧でごまかすなんて」と思われる必要はまったくありません。

明日、人前に出なければならない。写真を撮る予定がある。仕事で人と会う。 そうした場面で、今すぐ役に立つ方法は、治療と同じくらい価値があります。

治療を続けながら、隠す。 これは矛盾しません。

どんな製品があるか、どう使うかについても、診察でご相談ください。

よくあるご質問

Q. うつりますか?
うつりません。 感染症ではありません。

Q. 治りますか?
部位やタイプによって、反応が違います。 顔や首は比較的反応しやすく、手足の先は難しいことが多くあります。完全に元に戻るとは限りませんが、進行を抑える、目立たなくするといった対応はできます。

Q. 遺伝しますか?
ご家族に同じ病気の方がいることはありますが、必ず遺伝するというものではありません。

Q. 日焼けサロンで焼けば目立たなくなりますか?
避けてください。 白斑の部分は日焼けせず、周囲だけが濃くなるため、かえって差が目立ちます。 また、白い部分は炎症を起こしやすく、悪化のきっかけにもなります。

Q. 食事やサプリメントで良くなりますか?
食事で治る病気ではありません。 特定の食品やサプリメントを勧めることもしていません。

Q. 子どもにできました。
お子さんにも起こります。学校生活での心配もあると思います。 進行の様子をみながら、対応をご相談します。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談ください。「治らないから」と言われた経験がある方も、あらためてご相談いただければと思います。

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