足がかゆい・皮がむける
「足の指のあいだがかゆくて皮がむける」「市販の水虫薬を使っているのに変わらない」「かゆくないのに、かかとがガサガサする」——足のかゆみや皮むけで、まず思い浮かぶのは水虫(足白癬)だと思います。
実際、足の皮むけで受診される方の多くは水虫です。ただ、知っておいていただきたいことが2つあります。
ひとつは、かゆくない水虫があること。 かかとが硬くなるタイプは、かゆみがほとんどなく、「乾燥」「年のせい」と思われたまま進むことがあります。
もうひとつは、水虫に見えて水虫ではないものがあること。 見た目がよく似た湿疹や汗の病気があり、これらに水虫薬を塗ると、かえって悪化します。
「かゆい=水虫」とは限りません
足のかゆみ・皮むけを起こすものには、次のようなものがあります。
水虫(足白癬)
白癬菌というカビの一種が皮膚に感染して起こります。3つのタイプがあります。
- 指のあいだ:白くふやける、皮がむける、赤くなる。もっとも多く、かゆみを伴いやすい
- 土踏まず・足の側面:小さな水ぶくれが多発する。強いかゆみが出ることがある
- かかと:皮膚が厚く硬くなり、粉をふく。かゆみがないことが多く、冬に悪化しやすい
3つ目のタイプは「乾燥」と思われがちです。 保湿剤を塗っても変わらない場合は、確かめる価値があります。
汗疱・異汗性湿疹
手のひらや足の裏に、小さな水ぶくれが左右対称に出ます。かゆみを伴い、皮がむけます。春から夏に悪化しやすい傾向があります。水虫の小水疱型とよく似ていますが、白癬菌はいません。
接触皮膚炎(かぶれ)
新しい靴、サンダルの素材、消毒薬、靴下の染料などが原因になります。接触した形に一致して赤み・かゆみが出るのが手がかりです。
皮脂欠乏性湿疹(乾燥による湿疹)
かかとや足の甲が乾燥して粉をふき、かゆみが出ます。高齢の方、冬に多くみられます。
掌蹠膿疱症
足の裏に、膿をもった小さな水ぶくれが繰り返しできます。かゆみを伴うことがあります。水虫と間違われやすい病気のひとつです。
→ 掌蹠膿疱症
そのほか
乾癬、糖尿病に伴う皮膚の変化、細菌の感染が重なっていることもあります。
市販薬で治らないときに考えること
市販の水虫薬を使っても改善しない場合、次の3つが考えられます。
- そもそも白癬菌がいない(湿疹・かぶれなど別の病気)
- 爪に白癬菌が残っている(足の皮膚だけ治しても、爪から繰り返す)
- 塗る範囲・期間が足りない(症状のある場所だけでは足りません)
とくに①の場合、水虫薬が刺激になって悪化することがあります。「効かないから」と別の水虫薬に替えても変わりません。
そして市販薬を使っている状態では、検査で白癬菌を見つけにくくなります。 受診を考えている方は、数日間、薬を塗らずに来ていただくと診断がつきやすくなります。
検査で確かめられます
水虫かどうかは、顕微鏡で白癬菌そのものを確認する検査(KOH直接鏡検)で確かめられます。
皮膚の表面をごく少量削って調べるもので、痛みはなく、その場で結果を確認できます。
- 白癬菌がいた → 水虫として治療を進めます
- 白癬菌がいなかった → 別の原因を考えて治療方針を見直します
「たぶん水虫」で薬を続けるより、確かめてから始めるほうが近道です。
→ 水虫と診断された場合の治療は水虫・爪水虫でくわしくご説明しています。
早めに受診したほうがよいとき
- 赤みが足の甲や足首まで広がってきた、熱をもっている(細菌の感染が重なっていることがあります)
- 発熱をともなう
- 傷ができて治らない
- 糖尿病がある
- 左右差がなく、手のひらにも同じ症状がある
糖尿病のある方は、足の傷が治りにくく、感染が広がりやすいことがあります。小さな皮むけでも、早めにご相談ください。
家族にうつさないために
足白癬は、はがれ落ちた皮膚のかけらを介して広がります。感染している方の足から落ちた角質を、他の家族が素足で踏むことでうつります。
ただ、踏んだ瞬間にうつるわけではありません。 白癬菌が皮膚の角質に入り込むには、ある程度の時間がかかると考えられています。その日のうちに足を洗って乾かせば、多くは防げます。
家庭でできることは次のとおりです。
- バスマットを共用しない、こまめに洗って乾かす
- スリッパを共用しない
- 床(とくに脱衣所・寝室)をこまめに掃除する
- 入浴は順番を気にしなくてよい。 湯船からうつることはほとんどありません
- 家族に同じ症状があれば、一緒に受診する。 一人だけ治しても、家庭内で戻ることがあります
神経質になりすぎる必要はありません。 タオルを分ける、毎日足を洗って乾かす——この2つで十分なことがほとんどです。
ご自宅でできること
- 足をよく乾かす。 入浴後は指のあいだまで水分を拭き取ってください。
- 同じ靴を毎日履かない。 靴の中の湿気は白癬菌にとって好都合です。1日履いたら乾かしてください。
- バスマット・スリッパを共用しない。 家庭内でうつることがあります。
- 強くこすらない・皮をむかない。 傷ができると細菌が入りやすくなります。
- 保湿は「かかとのガサガサ」に有効なことがありますが、水虫であれば保湿だけでは改善しません。
よくあるご質問
Q. かゆくないのですが、水虫のことはありますか?
あります。かかとが厚く硬くなるタイプは、かゆみがほとんどありません。 「乾燥」「年のせい」と思われたまま、冬に悪化することがあります。保湿しても変わらない場合はご相談ください。
Q. 家族にうつりますか?
うつることがあります。バスマット・スリッパ・床を介して広がります。ただし付着してすぐ感染するわけではないため、毎日足を洗って乾かしていれば、過度に神経質になる必要はありません。
Q. 受診前に市販薬をやめたほうがよいですか?
やめてから受診いただくほうが、検査で見つけやすくなります。 数日でかまいません。すでに塗っている場合も、そのままお越しいただいて差し支えありません。診察時にお伝えください。
Q. プールや温泉は避けたほうがよいですか?
避ける必要はありませんが、利用後は足を洗って乾かしてください。 共用のマットを素足で使ったあとは、とくに気をつけてください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
足のかゆみ・皮むけは皮膚科が専門です。当院では皮膚科専門医が診察し、顕微鏡検査で白癬菌の有無を確かめたうえで方針をご提案します。