痛風・偽痛風
「夜中に足の親指の付け根が急に痛み出した」「赤く腫れて、靴下が触れるだけでも痛い」「歩けないほど痛むのに、数日で治まった」——これは痛風発作の典型的な現れ方です。
ただ、関節が急に赤く腫れて激しく痛む病気は、痛風だけではありません。 よく似た症状を起こすものに偽痛風があり、さらに関節に細菌が入った状態(化膿性関節炎)は、見た目が似ていながら緊急の対応が必要です。
見分けるには、関節にたまった液を調べるのが確実です。「痛風だと思って市販薬で様子を見ていた」という経過が、実は別の病気だったということが起こりえます。
まず:こんなときは早めに受診してください
- 発熱をともなう(38℃前後以上)
- 関節が赤く腫れて熱をもち、少し動かすだけでも激しく痛む
- 膝・手首・肩など、親指の付け根以外の大きな関節に起きている
- 糖尿病がある、ステロイドを使っている、免疫を抑える治療を受けている
- 関節に注射や手術を受けたあとに起きた
- 発作が1週間以上続いている
とくに発熱をともなう場合は、化膿性関節炎の可能性を考える必要があります。この病気は、時間が経つほど関節の軟骨が壊れていきます。 様子を見ずにご相談ください。
痛風とは
血液中の尿酸が増えた状態が続くと、関節のなかで尿酸が結晶になって沈着します。何かのきっかけでこの結晶がはがれると、体がそれを異物と認識して強い炎症を起こします。これが痛風発作です。
現れ方の特徴
- 足の親指の付け根に起こることが多い(ほかに足の甲・足首・膝にも)
- 夜間から明け方に突然始まることが多い
- 1〜2日で痛みがピークになり、1〜2週間で自然に治まる
- 発作が治まると、まったく症状がなくなる
- 多くはひとつの関節に起こる
「自然に治まった=治った」ではありません。 尿酸が高い状態が続いていれば、発作は繰り返します。繰り返すうちに、関節の破壊や、尿酸のかたまり(痛風結節)ができることがあります。
偽痛風とは
名前は似ていますが、原因となる結晶が違います。 痛風が尿酸の結晶であるのに対し、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶によって炎症が起こります。
痛風との違い
| 痛風 | 偽痛風 | |
|---|---|---|
| 結晶 | 尿酸 | ピロリン酸カルシウム |
| 起こりやすい関節 | 足の親指の付け根 | 膝(ほかに手首・肩・足首) |
| 年齢 | 中年以降の男性に多い | 高齢の方に多い(男女差は小さい) |
| 食事・お酒との関係 | 関係する | 直接の関係は乏しい |
| レントゲン | 初期は変化が出にくい | 軟骨に石灰の沈着が写ることがある |
膝が急に腫れて痛む高齢の方では、偽痛風を考えます。 「痛風は足の親指」という印象が強いため、膝の発作が見過ごされることがあります。
診断
見た目と経過だけでは、痛風・偽痛風・感染を確実に区別できません。
- 問診:発作の始まり方、部位、これまでの回数、飲酒・食事、通院中の病気とお薬をうかがいます。
- 診察:腫れ・赤み・熱感の程度、動かせる範囲、他の関節の状態を確認します。
- 血液検査:炎症の程度と尿酸値を確認します。発作の最中は尿酸値が下がることがあり、「正常だから痛風ではない」とは言えません。
- レントゲン:関節の変形や、偽痛風で見られる石灰の沈着を確認します。
- 関節液の検査:関節に液がたまっている場合、抜いて調べることで結晶の有無と、細菌感染の可能性を確認できます。これが最も確実な方法です。
当院での対応
発作が起きているとき
炎症を抑える治療を行い、痛みを落ち着かせることが最優先です。関節に液がたまって強く腫れている場合、抜くこと自体が痛みの軽減につながります。
発作の最中に、尿酸を下げる薬を新たに始めたり量を変えたりすると、かえって発作が長引くことがあります。 現在すでに服用している方は、自己判断で中断せず、ご相談ください。
発作が治まったあと
痛風は、発作を抑えるだけでは終わりません。 尿酸が高い状態が続けば繰り返します。尿酸値の管理は、食事・飲酒・体重といった生活面と、必要に応じた内服で進めます。
尿酸値の継続的な管理は、内科での対応が基本になります。 当院では発作時の対応と診断を行い、継続管理はかかりつけの内科と連携して進めます。 かかりつけがない場合も、ご相談ください。
偽痛風の場合
尿酸とは関係がないため、尿酸を下げる薬は使いません。炎症を抑える治療と、関節液を抜くことが中心になります。繰り返す場合は、関節の状態をあわせて評価します。
生活のなかで気をつけること(痛風の場合)
- 水分をとる。 尿酸は尿から出ていきます。
- お酒を控える。 ビールに限らず、アルコールそのものが尿酸値を上げます。
- プリン体の多い食品を控えめに。 レバー・魚卵・干物・煮干しなど。ただし食事だけで尿酸値が決まるわけではありません。
- 急な減量は避ける。 体重を落とすことは有効ですが、急激だと発作の引き金になることがあります。
- 激しい運動の直後に注意。 脱水と代謝の変化が引き金になることがあります。
「食事に気をつけているのに発作が起きる」という方は少なくありません。 尿酸値は体質の影響も大きいため、生活だけで下げきれないことがあります。
よくあるご質問
Q. 痛風は何科ですか?
発作で強く腫れて痛む段階は整形外科で対応できます。尿酸値の継続的な管理は内科が基本です。当院では発作時の対応と診断を行い、必要に応じて内科と連携します。
Q. 尿酸値が高いと言われましたが、痛くありません。治療は必要ですか?
症状がなくても、尿酸が高い状態が続くと発作や腎臓への影響につながることがあります。値の高さと他の病気の有無によって方針が変わるため、内科でご相談ください。
Q. 発作のとき、市販の痛み止めを飲んでよいですか?
種類によっては使えるものもありますが、持病や他のお薬との組み合わせで適さない場合があります。 とくに腎臓の機能が下がっている方は注意が必要です。ご相談ください。
Q. 発作が自然に治まったので、受診しなくてよいですか?
発作が治まっても、原因は残っています。繰り返すうちに関節が傷んでいくため、一度は状態を確かめておくことをおすすめします。
Q. 偽痛風は予防できますか?
痛風のように、原因の物質を薬で下げる方法は確立していません。繰り返す場合は、関節の状態を評価しながら対応します。