あせも(汗疹)

あせもは、汗が皮膚の外に出られず、皮膚の中に溜まって炎症を起こしたものです。医学的には汗疹(かんしん)といいます。

「子どもの病気」と思われがちですが、大人にも起こります。 そして、大人のあせもは気づかれにくく、背中や腰でかゆみが続いているという形で現れます。

このページで、まずお伝えしたいのは次のことです。

あせもの対策は、「汗をかかないようにすること」ではありません。

「かいた汗を、皮膚の上に残さないこと」です。

方向がまったく違います。この違いが、対策の成否を分けます。

なぜできるのか

汗は、皮膚の中にある汗腺でつくられ、細い管を通って皮膚の表面に出てきます。

ところが、この管が詰まることがあります。

  • 汗をかいたまま放置して、皮膚がふやける
  • 汚れや皮脂で出口がふさがる
  • 服やおむつでこすれる
  • 通気の悪い環境が続く

管が詰まると、行き場を失った汗が皮膚の中に漏れ出します。 汗には塩分などが含まれているため、周囲の組織を刺激し、炎症が起こります。

これがあせもです。

つまり、問題は「汗をかいたこと」ではなく、「汗が出口で詰まったこと」です。

症状と種類

白いあせも(水晶様汗疹)

  • 透明〜白っぽい、小さな水ぶくれ
  • かゆみも赤みもありません
  • 高熱のあと、日焼けのあとなどに出ます
  • 数日で自然に消えます

心配のないもので、治療は必要ありません。

赤いあせも(紅色汗疹)

最も多いタイプです。

  • 小さな赤いブツブツが、まとまって多数
  • かゆみ、チクチクする感じ
  • 汗をかくと、かゆみが強くなります

掻いてしまい、湿疹になったり、細菌感染を起こしたりするのが問題です。

深いあせも(深在性汗疹)

日本では多くありません。繰り返し汗疹を起こした皮膚に生じます。

出やすい場所

お子さん

額、首、わきの下、ひじの内側、ひざの裏、背中、おむつの中

汗腺の数は大人と同じでも、体の表面積が小さいため、汗腺の密度が高いのがお子さんの特徴です。大人の2〜3倍汗をかくとも言われ、あせもができやすい理由になっています。

大人

背中、腰、胸の下、わき、そけい部

共通しているのは、「服が張りつく場所」「こすれる場所」「蒸れる場所」です。

大人のあせもは、気づかれにくい

大人のあせもについて、いくつかお伝えしておきたいことがあります。

① 背中と腰は、自分で見えません

「背中がかゆい」だけで、何が起きているか分からないまま過ごされる方が多くいらっしゃいます。

② デスクワークの方に多くみられます

椅子の背もたれに接している背中と腰は、蒸れやすく、こすれます。冷房の効いた室内にいても、接触面では汗が乾きません。

③ 「汗をあまりかかない」方にも起こります

むしろ、汗をかき慣れていない方のほうが、汗腺の働きが十分でなく、詰まりやすいとされています。

「私は汗かきではないから」という方こそ、急に暑い環境に置かれたときに出やすいのです。

④ 寝ている間が盲点です

寝汗は、想像以上の量です。寝具が汗を吸ったまま、背中に張りついている状態が数時間続きます。

⑤ ボディスーツ、補正下着、腹巻き

締めつけと通気の悪さが重なります。

予防——「流す」が基本です

やること

① 汗をかいたら、流す・拭く
シャワーがいちばん確実です。難しければ、濡れタオルで押さえるように拭く。乾いたタオルでこするのは逆効果です。

② 拭いたあと、乾かす
濡れたまま服を着ると、同じことの繰り返しになります。

③ 通気のよい服を選ぶ
綿、麻など。汗を吸って、乾きやすいもの。化学繊維でも、速乾性のあるものは有効です。

④ 締めつけを減らす
下着のゴム、ウエスト、襟。

⑤ 汗をかいたら着替える
濡れた服を着続けないこと。 替えを1枚持っておくだけで変わります。

⑥ 寝具を清潔に、乾いた状態に
汗を吸うシーツ、通気性のよい寝具。除湿や冷房を適切に使う。

⑦ 保湿する
乾燥した皮膚は、バリアが弱くなります。べたつかないものを薄く。

やらないこと

  • こする:ナイロンタオル、ゴシゴシ洗い
  • ベビーパウダーを厚く塗る:汗と混ざって、かえって出口をふさぐことがあります
  • 汗を我慢する:体温調節に必要なものです
  • 制汗剤を患部に:炎症のある皮膚には刺激になります

あせもを放置すると、次が起こります

夏の皮膚のトラブルには、つながりがあります。

あせも → かゆくて掻く → 皮膚が壊れる → とびひ(細菌感染)

虫刺され → 掻く → 同じ道筋

つまり、あせもの段階で止めることが、夏のトラブル全体を減らすことにつながります。

とくにお子さんの場合、この連鎖が起こりやすくなります。 「あせもくらい」と様子を見ているうちに、掻き壊してとびひになり、保育園を休むことになる——実際によくある経過です。

とびひについてはとびひ(伝染性膿痂疹)をご覧ください。

こんなときはご相談ください

  • かゆみが強く、掻き壊している
  • じくじくしてきた、黄色いかさぶたができた(とびひの可能性)
  • 赤みが強い、範囲が広がっている
  • 痛みがある、熱をもっている
  • 発熱を伴う
  • 1週間程度のケアで良くならない
  • おむつの中が真っ赤で、お子さんが泣く
  • 繰り返している
  • 市販薬で悪化した

診断と治療

診察では、皮疹の形(水ぶくれか、赤いブツブツか)、分布、細菌感染の有無を確認します。見た目と経過で診断がつきます。

治療

  • 白いあせも:治療は不要です。環境を整えれば自然に消えます
  • 赤いあせも:かゆみと炎症が強い場合、ステロイド外用薬を短期間使います
  • かゆみ止めの内服:かゆみが強い場合
  • 細菌感染がある場合:抗菌薬

ただし、薬より環境の改善が先です。 同じ環境が続けば、薬でいったん良くなっても繰り返します。

似ているけれど、別のもの

あせもだと思っていたものが、違うことがあります。

マラセチア毛包炎
大きさのそろった小さなブツブツが、胸、背中、二の腕に。あせもより一つひとつが大きく、そろっているのが特徴。汗をかく季節に多く、あせもの薬では良くなりません。

カンジダ症
わき、そけい部、おむつの中などの、湿った部分に。赤みが強く、周囲に小さな粒が散るのが特徴です。

接触皮膚炎(かぶれ)
制汗剤、日焼け止め、衣類の素材によるもの。触れた範囲に一致します。

とびひ
じくじく、黄色いかさぶた、次々に広がる。

おむつかぶれ
おむつの当たる範囲に一致し、しわの奥は避けられていることが多いのが特徴です。

「あせもの薬を塗っているのに良くならない」場合は、別のものかもしれません。

よくあるご質問

Q. ベビーパウダーは使ってよいですか?
厚く塗るのは避けてください。 汗と混ざって、かえって汗の出口をふさぐことがあります。使う場合は、乾いた皮膚に、ごく薄く。

Q. 冷房を使うのは甘やかしになりませんか?
そんなことはありません。 汗をかいたまま蒸れた状態が続くことのほうが、皮膚には負担です。適切に使ってください。

Q. 汗をかかせないほうがよいですか?
いいえ。 汗は体温を下げるために必要です。かいた汗を残さないことが対策です。

Q. 市販薬を使ってもよいですか?
軽いものは落ち着くこともあります。ただし、とびひやカンジダ症では、ステロイドが入った薬は悪化させます。 じくじくしている、良くならない場合はご相談ください。

Q. 毎年繰り返します。
環境と習慣によるものですので、繰り返すのは自然です。汗を流す・着替える・通気をよくするを習慣にすると、程度が変わります。

Q. 赤ちゃんのあせもが心配です。
お子さんはあせもができやすく、心配のないものも多くあります。ただし、掻き壊している、じくじくしている、範囲が広い場合はご相談ください。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談いただけます。じくじくして広がっている場合は、早めにお越しください。

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