手や指がしびれる
「夜中や明け方に手がしびれて目が覚める」「スマートフォンを持っていると指がジンジンする」「細かい作業がしにくくなった」——手のしびれは、多くの方が経験される一方で、原因が手首なのか、肘なのか、首なのかで対応がまったく変わる症状です。
そして幸いなことに、しびれる指の場所によって、ある程度の見当がつきます。 このページでは、ご自身で確認できる見分け方と、受診の目安をご説明します。
まず確認:急いで受診すべきしびれ
まれではありますが、次のような場合は、整形外科ではなくすぐに救急対応が可能な医療機関へご相談ください。

- 突然、片側の手足が同時にしびれた・動かしにくくなった
- しびれとあわせて、ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 顔の片側がゆがむ、口の端から飲み物がこぼれる
- 片方の目が見えない、視野が欠ける
- 今までに経験のない激しい頭痛を伴う
これらは脳の血管の問題を示唆することがあり、時間が経過に大きく影響します。ためらわずに救急要請をご検討ください。
以下は、そうした症状がない場合のお話です。
しびれる指で見当をつける
手の感覚は、3本の神経が分担しています。どの神経が影響を受けているかで、しびれる場所が変わります。
親指・人差し指・中指がしびれる(薬指の親指側まで)
正中神経の障害が考えられ、最も多いのは手根管症候群です。手首の中にあるトンネル(手根管)で神経が圧迫されるもので、次のような特徴があります。
- 夜中や明け方にしびれや痛みで目が覚める
- 手を振ったり、指を動かしたりすると一時的に楽になる
- 自転車のハンドル、スマートフォン、編み物など手首を使う動作で強まる
- 進行すると、親指の付け根のふくらみ(母指球)がやせてくる
- 妊娠中・産後・更年期の女性に多くみられます
詳しくは手根管症候群のページをご覧ください。
小指・薬指の小指側がしびれる
尺骨神経の障害が考えられ、多いのは肘部管症候群です。肘の内側で神経が圧迫されるもので、次のような特徴があります。
- 肘を曲げた姿勢を続けるとしびれが強まる(頬づえ、長電話、腕枕)
- 肘の内側を叩くと、小指に電気が走るような感覚がある
- 進行すると、指を開いたり閉じたりする力が落ち、小指と薬指が伸びにくくなる
詳しくは肘部管症候群のページをご覧ください。
手の甲側・親指の付け根あたりがしびれる
橈骨神経の障害が考えられます。腕枕をして眠ったあとなど、外から圧迫されて起こることがあります。
指ではなく、腕全体・肩から広がるようにしびれる
首(頚椎)が原因である可能性が高くなります。首を後ろに反らす、痛む側に傾けるといった動作でしびれが強まるのが特徴です。詳しくは首が痛い・回らないのページをご覧ください。
両手がしびれる・手の使いにくさを伴う
両側にしびれがあり、ボタンがかけにくい・箸が使いにくい・字が書きにくいといった手の使いにくさや、歩きにくさを伴う場合は、首の中の脊髄が圧迫されている可能性があります。この場合は早めの確認をおすすめします。
整形外科以外の原因もあります
しびれの原因は、神経の圧迫だけではありません。
- 糖尿病による末梢神経障害:足先から始まり、手にも及ぶことがあります。左右対称に、手袋・靴下をはめた範囲のようにしびれるのが特徴です。
- ビタミンB12などの不足
- 甲状腺の機能の異常
- 膠原病・関節リウマチ:しびれとあわせて、複数の関節の腫れや朝のこわばりがある場合。
- 血流の問題:冷たさや色の変化を伴う場合。
健康診断で血糖値を指摘されたことがある方、他の症状を伴う方は、診察の際にお伝えください。必要に応じて血液検査を行い、内科的な原因も含めて確認します。
こんなときは早めに受診してください
- しびれが2週間以上続いている
- 夜間に目が覚めるほどのしびれ・痛みがある
- 手に力が入りにくい、物を落とすようになった
- 親指の付け根や手の甲の筋肉がやせてきた
- 細かい作業(ボタン・箸・字)がしにくくなった
- 両手にしびれがある
- 糖尿病を指摘されており、しびれが出てきた
筋肉のやせや力の低下が出てきている場合は、神経の圧迫が長く続いているサインです。回復に時間がかかることがあるため、早めにご相談ください。
受診までの間、どう過ごせばよいですか
- 手首・肘を使いすぎない:しびれが強まる動作を減らしてください。
- 肘を深く曲げた姿勢を避ける:頬づえ、長時間のスマートフォン操作、腕枕は肘の神経を圧迫します。
- 寝るときの姿勢:手首を強く曲げて寝るとしびれが強まることがあります。
- 強く揉まない・叩かない:しびれている場所を刺激すると、かえって症状が強まることがあります。
- 冷やしすぎない:血流が悪くなるとしびれを感じやすくなります。
しびれ方の違いも手がかりになります
しびれる場所だけでなく、どんなしびれ方かも原因を考えるうえで参考になります。
- ジンジン・ピリピリする:神経が刺激されているときによくみられます。
- 正座のあとのような感覚:神経が圧迫されているときの典型的な感じ方です。
- 感覚が鈍い・触った感じがしない:圧迫が長く続いている可能性があります。
- 手袋をはめたように、手全体が均一にしびれる:神経の走行に沿わない範囲のしびれで、内科的な原因(糖尿病など)を考える手がかりになります。
- 冷たさや白くなることを伴う:血流の問題が関わっている可能性があります。
また、しびれが出るタイミングも大切な情報です。
- 夜間・明け方に強い:手根管症候群でよくみられます。
- 特定の姿勢で出る:肘を曲げる、首を反らすなど、その姿勢で圧迫が強まっている可能性があります。
- 一日中続く:圧迫が持続している、あるいは他の原因が背景にある可能性があります。
診察の際には、「いつ」「どんなふうに」しびれるかをお伝えください。ご自身では説明しにくい場合は、しびれる範囲を指でなぞって示していただくだけでも十分な手がかりになります。
当院での診察の流れ
どの指が・いつから・どんなときにしびれるか、夜間の症状の有無、力の入りにくさや細かい作業のしにくさをうかがいます。
そのうえで、しびれている範囲を実際に確かめ、筋力・感覚・反射を調べる神経学的な診察を行います。手首や肘の特定の場所を軽く叩いてしびれが誘発されるか、手首を曲げた姿勢を保つとしびれが強まるかといった徒手検査もあわせて行い、圧迫されている場所の見当をつけます。あわせて、母指球など筋肉のやせがないかも確認します。
レントゲンでは、頚椎や手・肘の骨の状態を確認します。当院では超音波(エコー)検査を院内で行えますので、手首や肘の神経のむくみ具合を、その場で観察することもできます。首が原因と考えられる場合や、詳しい評価が必要な場合には、MRI検査についてご案内します。必要に応じて血液検査で内科的な原因も確認します。
対応としては、まず神経への負担を減らす生活の工夫、装具(夜間に手首を固定するものなど)、内服による対応、リハビリテーションを組み合わせます。筋力の低下が進んでいる場合や、保存的な対応で改善しない場合は、手術も含めた検討が必要になるため、専門的な治療を行う医療機関へご紹介します。
よくあるご質問
Q. しびれは自然に治りますか?
一時的な圧迫によるものであれば、原因が取り除かれると回復します。ただし、圧迫が長く続いている場合は、神経の回復に時間がかかったり、完全には戻らないことがあります。続くしびれは早めに確かめることをおすすめします。
Q. 夜だけしびれるのですが、大したことないですか?
夜間や明け方のしびれは、手根管症候群でよくみられる典型的な症状です。「夜だけだから軽い」というわけではありませんので、一度ご相談ください。
Q. 血行が悪いだけではないですか?
血流の問題でしびれることもありますが、しびれる範囲が指ごとに分かれている場合は、神経の圧迫を考えます。診察で区別できますので、自己判断せずご相談ください。
Q. 揉んだりストレッチしたりしてよいですか?
しびれている神経の通り道を強く刺激すると、症状が強まることがあります。何が原因かを確かめてから、適した方法をご案内します。
Q. 何科を受診すればよいですか?
手や指のしびれは整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、首・肘・手首のどこが原因かを確かめます。内科的な原因が疑われる場合は、適切な診療科をご案内します。