関節注射と再生医療

「ヒアルロン酸の注射を続けているが、だんだん効かなくなってきた」

膝の痛みで通院されている方から、最もよくうかがう言葉です。

このページでは、関節への注射でできることと、その先にどんな選択肢があるのかを、順序立ててご説明します。

まず、順序があります

関節の痛みに対する治療には、おおまかな順番があります。

① 生活の見直し・リハビリテーション・外用薬や内服薬

まず、ここからです。

体重、歩き方、筋力、靴。注射より先に手をつけるべきことが、実はたくさんあります。

② 関節への注射

①で十分でない場合に、ヒアルロン酸などの注射を行います。

③ それでも改善が乏しい場合

  • 手術
  • 再生医療(自費)

④ 手術

この順序を飛ばさないことが、当院の考え方です。

いきなり再生医療をおすすめすることは、ありません。

関節への注射について

ヒアルロン酸注射

関節の動きをなめらかにし、炎症をやわらげることを目的とした注射です。

  • 保険診療です
  • 週1回×5回を1クールとして行い、その後は状態をみて間隔をあけていくのが一般的です
  • 1回で劇的に変わるものではありません。 数回続けて、徐々に変化をみます

ステロイド注射

炎症が強いときに、短期的に用いることがあります。

ただし、繰り返し打つ薬ではありません。 回数を重ねると、組織への影響が懸念されるためです。当院では、使う場面と回数を絞っています。

関節に水がたまっている場合

抜くこともあります。 ただし、抜けば終わりではありません。 なぜたまるのかを考えないと、繰り返します。

「効かなくなってきた」と感じたら

これが、このページで最もお伝えしたいことです。

注射の効きが弱くなってきた——このとき、次の3つのどれかを考えます。

① まだ、やれることが残っている

意外に多いのが、これです。

  • リハビリを十分にやっていない
  • 体重・靴・歩き方に手をつけていない
  • 注射の間隔や種類が、合っていない

「注射しか受けていない」という方は、まだ選択肢が残っています。

② 関節の状態が進んでいる

画像で確認します。変形が進んでいれば、注射だけでは支えきれません。

③ 別の原因が隠れている

膝の痛みが、実は腰から来ているということがあります。半月板、靭帯、あるいは関節以外の問題のこともあります。

「効かない」を、そのまま次の治療へ進む理由にしない。 まず、なぜ効かないのかを確かめます。

再生医療という選択肢について

注射を十分に行っても改善が乏しく、かつ手術は避けたい——という場合に、再生医療をご説明することがあります。

ただし、次の点をご理解ください。

  • 自由診療(自費)です。 公的医療保険は適用されません
  • すべての方に適しているわけではありません。 状態によっては、おすすめしないこともあります
  • 手術の代わりになるとは限りません
  • 効果には個人差があります

当院では、次の順序を守っています。

保険診療での治療を十分に行ったうえで、それでも難しい場合の選択肢として、ご説明する。

「せっかく来られたのだから」という理由で、自費治療をおすすめすることはありません。

費用、回数、リスクを先にお伝えし、その場で決めていただく必要もありません。

持ち帰ってご検討ください。

治療の内容・費用・リスクについては、再生医療(総合)および料金一覧・治療の流れをご覧ください。

手術についても、率直にお話しします

「手術は避けたい」というお気持ちは、よく分かります。

ただ、手術のほうが適している状態というのは、確かにあります。

  • 変形がかなり進んでいる
  • 日常生活に大きな支障が出ている
  • 痛みで眠れない
  • 他の方法では、支えきれない段階にある

そうした場合は、そうお伝えします。 そして、適切な医療機関へご紹介します。

「手術を避けるために再生医療を」という発想が、いつも正しいわけではありません。

どの段階で、どの選択肢が合っているか——そこを一緒に考えるのが、診察の役割だと考えています。

注射を受けるにあたって

痛みについて

注射そのものに痛みは伴います。 ただし、細い針を使い、必要に応じて超音波(エコー)で位置を確かめながら行います。

超音波を使うと、狙った場所に確実に入れられます。

注射後について

  • 当日の入浴は、通常どおり可能です(部位により異なる場合があります)
  • 一時的に、だるさや痛みが出ることがあります
  • 激しい運動は、当日は控えてください

まれに起こること

  • 注射部位の腫れ、内出血
  • 感染(まれですが、赤み・熱感・強い痛みが出た場合はご連絡ください)
  • アレルギー反応

注射だけに頼らないために

注射は、痛みを下げる手段のひとつです。関節そのものを元に戻すものではありません。

だからこそ、注射と並行してやっておきたいことがあります。

① 筋力を保つ

膝を支えているのは、関節だけではありません。 太ももの筋肉が落ちると、関節への負担が増えます。

痛いと動かさなくなり、動かさないと筋力が落ち、さらに負担が増える——この流れを止めることが、いちばん大切です。

② 体重

膝には、歩くだけで体重の数倍の力がかかります。 わずかな減量でも、負担の差は小さくありません。

ただし、痛い状態で無理に運動して減らそうとすると、悪化します。 順番があります。

③ 靴と歩き方

すり減った靴、合わない靴。 意外に見落とされます。

④ 動きの癖

痛みをかばうと、左右差が出ます。 そして、その差が別の場所を痛めます。

当院のリハビリテーションでは、ここを扱います。

「注射だけ受けに来ている」という方は、まだ手をつけていない部分があるかもしれません。

どのくらいで判断するか

「いつまで注射を続ければよいのか」というご質問をよくいただきます。

目安としては、次のように考えます。

1クール(週1回×5回)を終えた時点
効き方を確認します。まったく変化がなければ、注射以外の要因を考えます。

効いた場合
間隔をあけながら継続します。 どのくらいあけられるかは、方によって違います。

間隔が、だんだん短くなってきたとき
これが、次を考えるサインです。「前は3か月もったのに、今は1か月」——こうした変化があれば、診察でお伝えください。

画像を撮り直すこともあります
時間が経てば、関節の状態も変わります。 数年前の画像で判断し続けることはしません。

よくあるご質問

Q. ヒアルロン酸注射は、何回受ければよいですか?
週1回×5回を1クールとし、その後は状態をみて間隔をあけていくのが一般的です。状態によって変わります。

Q. 注射を続けると、癖になりませんか?
ヒアルロン酸注射に、そうした性質はありません。 ただし、注射だけに頼ると、根本の要因が残ります。

Q. ステロイド注射は、体に悪いのですか?
繰り返し打つ薬ではありません。 炎症が強い時期に、回数を絞って使います。使う場面は診察で判断します。

Q. 水を抜くと癖になると聞きました。
抜いたからたまるのではありません。 たまる原因があるから、たまります。その原因を考えることが大切です。

Q. 注射が効かなくなったら、次は再生医療ですか?
そうとは限りません。 まず、なぜ効かないのかを確かめます。まだやれることが残っている場合が、少なくありません。

Q. 再生医療は保険が使えますか?
使えません。自由診療です。 費用・リスクを先にご説明します。

Q. 手術を勧められましたが、迷っています。
ご相談ください。今の治療を否定するためではなく、選択肢を整理していただくためです。セカンドオピニオンもご覧ください。

この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)

このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。

  • PRP療法:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回(計3回が標準)、高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円/回(いずれも税込)。料金は1部位ごとに発生します(例:両膝にPRGFを3回で660,000円)。別途、MRI評価・血液検査の費用がかかります。主なリスクは注射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血で、感染等のリスクは低いとされますがゼロではありません。治療効果には個人差があります。用いるPRP調製システムはいずれも国内で承認・認証を受けた医療機器です(Angel™ cPRP System 承認番号 30500BZX00054000/PRGF-Endoret® 認証番号 30500BZI00007000)。
  • 幹細胞治療(MFAT・培養幹細胞):自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、MFAT 600,000円(1部位)/990,000円(2部位)、培養幹細胞治療 総額 2,200,000円(いずれも税込)。培養幹細胞治療は上記が総額で、MFATは別途、診察・検査の費用がかかります。症例によって追加の検査費用が必要となる場合がございます。主なリスクは脂肪採取部位の痛み・腫れ・皮下出血、関節投与後の腫れ・熱感、麻酔によるアレルギー(まれ)、培養工程での資材に伴うアレルギー(まれ)です。治療効果には個人差があります。MFATの調製には国内で承認を受けた高度管理医療機器「LIPOGEMS O キット」(承認番号 30400BZX00092000)を用います。なお、培養に用いる資材には国内承認を受けていないものを使用する場合があります。
  • 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。

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