骨折したかもしれない
「転んで手をついたが、動かせるから折れてはいないはず」「腫れているだけだと思うが、念のため調べたほうがよいだろうか」——ケガをしたあと、多くの方がまず考えるのが「骨折かどうか」です。
最初にお伝えしておきたいことがあります。「動かせるから骨折ではない」とは限りません。 ひびが入った程度の骨折や、ずれの少ない骨折では、痛みを我慢すれば動かせてしまうことが少なくないのです。
このページでは、骨折を疑う手がかりと、受診の目安をご説明します。
まず確認:急いで受診すべき状態
次のいずれかに当てはまる場合は、救急対応が可能な医療機関へご相談ください。
- 見た目に明らかな変形がある(骨が異常な方向に曲がっている)
- 皮膚が破れていて、骨が見えている・傷が深い(開放骨折の可能性があります)
- 強い出血がある
- 手足の指先が青白い・冷たい・感覚がない(血流や神経が損なわれている可能性があります)
- 高いところから落ちた、強い衝撃を受けた
- 背中や腰を強打し、手足が動かしにくい・しびれる
- 頭を打って、意識がもうろうとする・繰り返し吐く
- 股関節を打って、立てない・歩けない(高齢の方ではとくに)
とくに、高齢の方が転倒して立てなくなった場合は、大腿骨の付け根の骨折の可能性があります。無理に動かさず、早めにご相談ください。
以下は、こうした緊急性のある状態ではない場合のお話です。
骨折を疑う手がかり
① 一点を押すと、強く痛む場所がある
打撲では、痛みは打った範囲に広がる傾向があります。これに対し骨折では、折れている骨の場所を押したときにだけ、鋭く強い痛みが走ることが多くなります(限局性圧痛といいます)。
指一本で、少しずつ場所をずらしながら軽く押してみてください。「ここだけ痛い」という一点があるかどうかが手がかりになります。
② 体重をかけられない・その部位が使えない
足であれば体重をかけられない、手であれば物を持てない。「痛くて使えない」という程度が強い場合は、骨折の可能性が高まります。
足首のケガについては、体重をかけて4歩以上歩けるかどうかが、ひとつの目安として知られています。歩けない場合は、骨折の可能性が高まります。
③ 腫れが急速に強い、内出血が広がる
受傷から短時間で強く腫れ、青紫色の内出血が広がってくる場合は、骨折や靭帯の断裂を考えます。
④ 動かすと、こすれるような感覚がある
骨折した部分が動くと、ゴリゴリ・ザラザラした感覚があることがあります。ただし、これを確かめようとして無理に動かさないでください。 ずれを大きくする危険があります。
⑤ ケガをしたときに音がした
「ボキッ」「バキッ」という音を聞いた、感じたという場合は、骨折や腱・靭帯の断裂の可能性があります。
それでも、自分では見分けきれません
上の手がかりは参考にはなりますが、これらだけで骨折の有無を判断することはできません。
実際の診療では、次のようなことがよく起こります。
- 腫れているだけに見えて、レントゲンで骨折が見つかる
- 強く痛むのに、骨には異常がない(靭帯や腱の損傷であることがあります)
- レントゲンでは分からず、後日あらためて撮ると骨折線が見えてくる(受傷直後には写りにくい骨折があります)
とくに次のような場合は、見分けが難しくなります。
- お子さんのケガ:成長期の骨には軟骨の部分があり、大人と折れ方が異なります。レントゲンで判断しにくいこともあります。痛がってその手足を使わない場合は、受診をおすすめします。
- 高齢の方のケガ:骨がもろくなっていると、軽い転倒や尻もちでも骨折することがあります。「そんなに強くぶつけていない」は、骨折を否定する理由になりません。
- 疲労骨折:はっきりしたケガの瞬間がないまま、繰り返しの負担で骨に亀裂が入るものです。スポーツをする方に多く、「なんとなく痛い」が続くのが特徴です。
- 背骨の圧迫骨折:重いものを持った、くしゃみをした、といったきっかけで起こることがあり、痛みが軽いこともあります。
「調べてみないと分からない」というのが正直なところです。確かめて何もなければ、それが安心につながります。
受診までの間、どう過ごせばよいですか
- 動かさない:痛む部位を安静に保ってください。「確かめるために動かす」ことはしないでください。
- 冷やす:保冷剤をタオルで包み、15〜20分を目安に。直接肌に当てないでください。
- 心臓より高い位置に保つ:腫れの広がりを抑えられます。
- 添え木で支える:手近な物(雑誌、段ボール、傘など)を添えて、包帯やタオルで軽く固定すると、移動のときに楽になります。きつく巻きすぎないでください。
- 温めない・揉まない・お酒を飲まない:いずれも腫れを強めます。
- 指輪・腕時計は早めに外す:腫れてくると外せなくなり、血流を妨げることがあります。
応急処置の詳しい方法は突き指・打撲・ねんざのページでご説明しています。
当院での診察の流れ
いつ・どのような状況で・どこをどうしたのかをうかがいます。どの方向から力がかかったかは、どの骨がどう折れやすいかを推測するうえで重要な情報です。
そのうえで、腫れ・変形・内出血の範囲を確認し、押して痛む場所を一点ずつ特定します。動かせる範囲、関節のぐらつき、指先の血流や感覚もあわせて確かめます。
レントゲンで骨の状態を確認します。骨折が疑われるものの、レントゲンではっきりしない場合には、超音波(エコー)検査を院内で行い、骨の表面の段差や周囲の状態を観察することがあります。それでも判断がつかない場合には、日をあらためて撮り直す、あるいはMRI検査をご案内することがあります。MRIは連携医療機関での撮影となります。
骨折が確認された場合、ずれが少なく固定で対応できるものについては、当院でギプスやシーネによる固定を行い、その後の経過を診ていきます。ずれが大きいもの、関節の中に及ぶもの、手術が必要と判断されるものについては、専門的な治療を行う医療機関へご紹介します。
治療のあと、動きが硬くなったり筋力が落ちたりした場合には、リハビリテーションで回復を図ります。当院には理学療法士が常勤しており、他院で手術を受けられたあとのリハビリテーションも受け入れています。
よくあるご質問
Q. 動かせるので骨折ではないですよね?
そうとは限りません。ひびや、ずれの少ない骨折では、痛みを我慢すれば動かせることがあります。動かせるかどうかは、骨折を否定する根拠にはなりません。
Q. レントゲンで異常なしと言われましたが、まだ痛みます。
受傷直後にはレントゲンに写りにくい骨折があります。痛みが続く場合は、日をあらためて撮り直すことで見えてくることがありますので、遠慮なく再度ご相談ください。
Q. 湿布を貼って様子を見てもよいですか?
上に挙げた手がかりに当てはまるものがなく、痛みが軽ければ、数日様子を見ていただくのは差し支えありません。ただし、痛みが引かない・強くなる場合は受診してください。
Q. 子どもが転んで痛がっています。すぐ連れて行くべきですか?
その手足を使わない・かばっている場合は、受診をおすすめします。お子さんは痛みをうまく言葉にできないことがあり、「使わない」という行動が重要なサインになります。
Q. 骨折していたら、必ず手術になりますか?
いいえ。ずれの少ない骨折の多くは、固定と経過観察で治ります。手術が必要かどうかは、折れた場所とずれの程度によります。
Q. 何科を受診すればよいですか?
骨折が疑われる場合は整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、必要に応じて専門的な治療を行う医療機関へご紹介します。
お仕事中・通勤中のけがの場合は、労災保険での治療になります。くわしくは労災(お仕事中・通勤中のけが)をご覧ください。