皮膚が乾燥して粉をふく・かゆい

「すねが粉をふいて、白い線が入っている」「背中や腰がかゆくて、寝ているうちに掻いてしまう」「冬になると毎年これの繰り返し」——

乾燥によるかゆみは、とくに秋から冬にかけて、年齢を重ねるほど起こりやすくなる症状です。

「乾燥くらいで病院に行くのは大げさでは」と思われるかもしれません。ですが、掻き壊してしまうと、そこから湿疹に進み、治るまでに時間がかかります。 また、かゆみで眠れないというのは、生活の質に直結する問題です。

そして、多くの方にとって、改善の鍵は「入浴の仕方」にあります。 意外に思われるかもしれませんが、良かれと思って続けている習慣が、乾燥を強めていることが少なくありません。

なぜ乾燥するのか

皮膚の表面は、皮脂・汗・角質の間の保湿成分によって、水分が逃げないよう保たれています。この仕組みが弱まると、水分が蒸発して乾燥します。

加齢による変化

年齢とともに、皮脂と保湿成分の量は自然に減っていきます。 これは誰にでも起こる変化で、体質や不摂生のせいではありません。

とくにすね(下腿)は、もともと皮脂腺が少ないうえに、衣類でこすれやすい場所です。乾燥の症状が最初に出るのは、ほとんどの方がすねです。次いで、腰、背中、わき腹に広がります。

環境の影響

  • 冬の外気の乾燥
  • 暖房:エアコンは室内の湿度を大きく下げます
  • こたつ・電気毛布:長時間の使用は皮膚の水分を奪います

そして、入浴

これが最も見落とされている原因です。詳しくは次項でご説明します。

入浴の見直しが、いちばん効きます

乾燥によるかゆみでお困りの方に、まず見直していただきたいのが入浴です。次の5点を確認してみてください。

① お湯の温度は40度以下に

熱いお湯ほど、皮脂が溶け出します。 42度と40度では、皮膚から失われる皮脂の量がかなり違います。

「熱いお風呂が好き」という方には受け入れにくいかもしれませんが、かゆみの季節だけでも温度を下げてみてください。 入浴後のかゆみが軽くなることを実感される方が多くいらっしゃいます。

② 長湯を避ける

10〜15分程度を目安に。長く浸かるほど、皮膚のふやけと乾燥が進みます。

③ ナイロンタオル・ボディブラシを使わない

これが最大の落とし穴です。

「しっかり洗わないと汚れが落ちない」と思われがちですが、ナイロンタオルでこすると、皮膚を守る層まで削り取ってしまいます。 かゆいところをゴシゴシ洗うと一時的に気持ちよいのですが、そのあと必ず悪化します。

手のひらで、よく泡立てた石けんをなでるように洗う——これで十分です。とくに、すね・腰・背中はこすらないでください。

④ 石けんの量と回数を減らす

毎日、全身を石けんで洗う必要はありません。汗をかいた部位、皮脂の多い部位だけにとどめ、乾燥している部位はお湯で流すだけでも構いません。

⑤ 風呂上がり5分以内に保湿する

入浴直後は、皮膚に水分が入り、それが最も蒸発しやすいタイミングです。体を拭いたらすぐ、脱衣所で塗ってしまうのが理想です。

塗る量の目安は、塗ったあと少しべたつく程度。「さらっと」では足りていないことが多くあります。

そのほかにできること

  • 加湿:室内の湿度を50〜60%程度に
  • 衣類:肌に直接触れるものは木綿など柔らかい素材を。ウールや化学繊維が直接あたるとかゆみが出る方もいらっしゃいます
  • 暖房器具:こたつ・電気毛布の長時間使用を控える
  • 爪を短く:無意識に掻いたときの傷を最小限に
  • 掻かずに冷やす:かゆいときは、保冷剤をタオルで包んで軽く当てると和らぐことがあります
  • 飲酒・辛いもの:体が温まるとかゆみが強まることがあります

かゆみの裏に別の原因があることも

乾燥だけでは説明がつかない場合、次のような背景が隠れていることがあります。

皮膚に見た目の変化がないのに、強くかゆい——この場合はとくに注意が必要です。

  • 内臓の病気:腎臓・肝臓・甲状腺のはたらきの異常、糖尿病、血液の病気など
  • お薬の影響:新しく飲み始めた薬がある場合
  • 疥癬(かいせん):夜間に激しくかゆい、家族や施設内で同じ症状の方がいる、という場合。うつる病気であり、治療が必要です
  • アトピー性皮膚炎:子どもの頃から繰り返している場合

次のような場合は、診察でお伝えください。

  • かゆみが数週間以上続き、保湿しても改善しない
  • 全身がかゆいのに、皮膚に目立った変化がない
  • 夜間に激しくかゆい
  • 体重が減ってきた、だるさがある、黄疸がある
  • 家族や周囲に同じ症状の方がいる

必要に応じて血液検査で内科的な原因を確認します。

こんなときはご相談ください

  • 保湿しても、かゆみが改善しない
  • 掻き壊して、じくじくしている・出血している
  • かゆみで眠れない
  • 赤みや湿疹になってきた
  • 毎年繰り返している
  • 上に挙げた「別の原因」を思わせる症状がある

掻き壊して湿疹になった段階では、保湿だけでは治りません。 炎症を抑える塗り薬が必要になります。早い段階でご相談いただくほど、治療が短くて済みます。

当院での診察の流れ

いつから、どの部位が、どんなふうにかゆいか、入浴の習慣(温度・時間・洗い方)、使っている保湿剤、暖房器具、飲んでいるお薬をうかがいます。入浴の仕方は、ほぼ必ずお聞きします。 ここに改善の余地があることが多いためです。

診察では、皮膚の乾燥の程度、粉をふいている範囲、湿疹になっている部分、掻き傷の状態を確認します。皮膚に見た目の変化が乏しいのに強いかゆみがある場合や、経過が長い場合には、血液検査で内科的な原因を確認することがあります。

対応としては、乾燥に対しては保湿剤、湿疹になっている部分には炎症を抑える塗り薬、かゆみが強い場合は内服を組み合わせます。あわせて、入浴の仕方とスキンケアを具体的にご提案します。

湿疹に進んでいる場合の詳しい内容は皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)のページでご説明しています。

よくあるご質問

Q. 保湿剤は市販のもので大丈夫ですか?
乾燥が軽い段階であれば、市販のもので十分なこともあります。ただし、塗る量とタイミングが合っていないことが多いため、一度ご相談いただくと使い方が変わるかもしれません。保険で処方できる保湿剤もあります。

Q. どのくらいの頻度で塗ればよいですか?
最低でも1日2回(入浴後と朝)が目安です。乾燥が強い時期は、気づいたときに追加していただいて構いません。

Q. かゆいところを掻いてはいけないと言われますが、我慢できません。
掻くと一時的に楽になりますが、皮膚が傷ついてさらにかゆくなるという循環に入ります。冷やす、保湿剤を塗る、爪を短くする、といった代わりの手段を用意しておくと、掻く回数を減らせます。かゆみが強い場合は、内服でのコントロールもできますのでご相談ください。

Q. 石けんを使わないと不潔ではないですか?
汗や皮脂が多い部位(わき、股、足)は洗い、それ以外はお湯で流すだけでも清潔は保てます。こすらないことのほうが、皮膚にとっては大切です。

Q. 夏は何もしなくてよいですか?
症状が軽くなる時期でも、保湿を続けておくと冬の悪化を抑えられることがあります。毎年繰り返している方はとくにおすすめします。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚の乾燥とかゆみは皮膚科でご相談いただけます。当院では皮膚科専門医が診察のうえ、必要に応じて検査を行い、対応をご提案します。

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