じんましんが出る・繰り返す
「急に赤くふくらんで、猛烈にかゆい」「しばらくすると消えるのに、また別の場所に出る」「もう何週間も続いている」——
じんましんは、皮膚の一部が急にふくらみ、強いかゆみを伴い、そして跡を残さず消えるという、独特の経過をたどります。
このページでお伝えしたいのは、次の3点です。
① 見分け方は「消えるかどうか」です。 数時間で跡を残さず消えるなら、じんましんの可能性が高くなります。
② 原因が分からないことのほうが、実は多いのです。 そして、原因が分からなくても治療はできます。
③ 繰り返している方には、選べる治療があります。 「体質だから」とあきらめる必要はありません。
見分け方は「消えるかどうか」
じんましんかどうかを判断する、最も確実な手がかりです。
じんましんの特徴
- 数十分〜数時間で、その部分は消えます
- 消えたあとに、跡が残りません
- ただし、別の場所に新しく出ます
- 大きさ、形はさまざま。地図のようにつながることもあります
- 強いかゆみ(チクチク、ヒリヒリと表現される方も)
じんましんではない可能性が高いもの
- 同じ場所に、何日も出続けている
- 消えたあとに、色や跡が残る
- 皮がむける、ザラザラする
- 水ぶくれになる
「1日以上、同じ場所に残っている」場合は、湿疹など別のものを考えます。
写真を撮っておいてください
じんましんは、受診したときには消えていることがほとんどです。
出ているときに、スマートフォンで撮っておいてください。 これが診断の大きな助けになります。定規や指を一緒に写すと、大きさも分かります。
すぐに受診が必要な場合
次の症状があるときは、皮膚科の受診を待たず、救急対応が可能な医療機関へご相談ください。
- 息が苦しい、ゼーゼーする
- のどが締まる感じ、声がかすれる
- 飲み込みにくい
- 唇、まぶた、舌が大きく腫れる
- 激しい腹痛、吐き気、下痢
- めまい、ふらつき、意識がもうろうとする
- 顔色が悪い、冷や汗
これらは、皮膚だけでなく全身に反応が及んでいる状態です。ためらわず救急車を呼んでください。
とくに、食べ物・薬・ハチに刺されたあとに、急速に症状が出た場合は急を要します。
原因は、分からないほうが多いのです
じんましんで受診される方の多くが、「何が原因ですか」とお尋ねになります。
そして、「原因を特定できないことが多い」とお伝えすると、驚かれます。
しかし、これが実際のところです。
とくに、繰り返し出るタイプ(慢性じんましん)では、はっきりした原因が見つからないことのほうが一般的です。
原因が分かるタイプ
出るたびに、必ず同じことをしている——このパターンがあれば、原因が特定できます。
- 食べ物:食べて数分〜2時間以内に出る。毎回同じ食品
- 薬:飲み始めてから
- 物理的な刺激:こすれる、圧迫される、冷たい、温かい、日光、汗、運動
- 感染症:風邪などのあと、一時的に
- ハチ、虫
原因が分からないタイプ
繰り返し出ているのに、共通点が見つからない。 これが慢性じんましんです。
疲れ、睡眠不足、ストレス、体調の変化で出やすくなることはありますが、それは「悪化させる要因」であって、原因そのものではありません。
だからこそ、お伝えしたいこと
原因探しに時間とお金をかけすぎないでください。
アレルギー検査をすれば分かる、と思われる方が多いのですが、慢性じんましんでは、検査で原因が判明することはあまり多くありません。
そして、原因が分からなくても、治療はできます。 症状を抑えることで、日常生活に支障のない状態を保てます。
「原因が分からないから治せない」ということはありません。
6週間を境に、考え方が変わります
じんましんは、続いている期間で分けて考えます。
急性(6週間未満)
一時的なもので、多くは自然に治まります。 感染症のあとや、食べ物・薬によるものが含まれます。
慢性(6週間以上、繰り返す)
長く付き合う前提で考えます。ただし、これは悲観的な話ではありません。慢性と分かることで、治療の選択肢が広がります。
繰り返している方へ
「もう何か月も出ている」「薬を飲んでも、やめるとまた出る」——このような方に、お伝えしたいことがあります。
まず、薬でしっかり抑えることが先です
慢性じんましんの治療は、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)の内服が基本です。
そして、この薬の使い方に、ひとつ重要な点があります。
「出たときだけ飲む」のではなく、「出ない状態を保つために、毎日続けて飲む」という使い方をします。
出てから飲むのでは、後手に回ります。症状が出ない状態を維持し続けることで、じんましんが出にくい体の状態に近づいていきます。
「調子がいいから、今日は飲まない」を繰り返すと、なかなか抜け出せません。 減らしていくタイミングは、診察で相談しながら決めます。
それでも抑えきれない場合
通常の内服で十分に抑えられない場合、次の段階の治療があります。
当院では、慢性じんましんに対する注射の治療(ゾレア)を行っています。
- 既存の内服治療で効果が不十分な、慢性の特発性じんましんが対象です
- 一定の間隔で皮下注射を行い、症状に応じて継続します
- 保険診療の対象です(一定の条件を満たす場合)
- 導入にあたっては、検査と、適応の確認が必要です
「薬を飲み続けているのに、良くならない」という方は、この選択肢についてご相談ください。
詳しくはじんましん(蕁麻疹)のページでご説明しています。
悪化させないために
- 十分に眠る:睡眠不足は、最も多い悪化要因のひとつです
- 疲れをためない
- 体を強くこすらない:入浴時、タオルで強くこする方に多くみられます
- 締めつける服を避ける:ベルト、下着のゴム。圧迫で出るタイプがあります
- 急に体を温めすぎない:熱いお風呂、激しい運動で出る方がいます
- アルコールを控える:出やすくなることがあります
- かゆいときは冷やす:温めると悪化します
- 掻かない:掻いた線に沿って出るタイプがあります
「出るときの状況」を記録しておくと、パターンが見えることがあります。時間、食べたもの、していたこと、体調——簡単なメモで構いません。
よくあるご質問
Q. アレルギー検査を受けたほうがよいですか?
出るタイミングに規則性がある場合(特定の食べ物のあとなど)は、検査が役立ちます。ただし、繰り返すタイプでは、検査で原因が判明しないことが多いのが実際です。診察で必要性を判断します。
Q. 食べ物を制限したほうがよいですか?
明らかな原因が特定できていない段階で、自己判断で食事を制限しないでください。 栄養が偏り、生活の質が下がるわりに、効果は期待しにくいのが実際です。
Q. 薬を飲み続けても大丈夫ですか?
慢性じんましんでは、続けて飲むことが治療の基本です。減らすタイミングは診察で調整します。自己判断で中断すると、振り出しに戻ることがあります。
Q. ストレスが原因ですか?
悪化させる要因のひとつではありますが、それだけが原因ということはあまりありません。「気の持ちよう」で片づけないでください。
Q. 子どもがじんましんを出しました。
お子さんでは、感染症のあとに一時的に出ることがよくあります。多くは数日で治まります。息苦しさ、繰り返す嘔吐、ぐったりしている場合は、急いでご相談ください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談いただけます。息苦しさ、のどの締めつけ、意識がもうろうとするといった症状がある場合は、ためらわず救急車を呼んでください。