爪の変色・変形(白い・厚い・黒い)

「足の親指の爪が白く濁って厚くなった」「爪に黒い線が入っている」「爪が浮いてきた」——爪の見た目が変わると、まず思い浮かぶのは爪水虫(爪白癬)かもしれません。

実際、爪の変化で受診される方の多くは爪白癬です。ただ、見た目が似ていても、まったく別の原因のことがあります。 市販の水虫薬を続けても変化がない場合、そもそも白癬菌がいないという可能性もあります。また、黒い線状の変化のなかには、確かめておいたほうがよいものが含まれます。 このページでは、爪の変化から考えられる原因と、検査で確かめる意義をご説明します。

爪の変化から考えられること

白く濁る・厚くなる・ボロボロと崩れる

もっとも多いのは爪白癬(爪水虫)です。足の親指から始まることが多く、痛みやかゆみがないため、見た目の変化だけで進んでいきます。

ただし、同じような見た目になる別の病気もあります。

  • 爪乾癬:爪に小さなくぼみ(点状陥凹)ができたり、厚くなったりします。皮膚に乾癬の症状がある方に多くみられます。
  • 爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう):爪が厚く硬く、曲がって伸びる状態です。合わない靴による長年の圧迫などが背景にあります。
  • 外傷のあと:ぶつけたあとに爪の伸び方が変わり、白く濁ることがあります。

白い部分が浮いてくる(爪と皮膚が離れる)

爪甲剥離症といい、爪の先のほうから皮膚と離れていく状態です。洗剤や水仕事、マニキュアの除光液、外傷、甲状腺の病気などが関わることがあります。

緑色になる

緑色爪といい、爪と皮膚のすき間で緑膿菌という細菌が増えている状態です。爪甲剥離があるところに起こりやすく、爪白癬とは対応が異なります。

黒い・茶色い線が縦に入る

多くは色素細胞が増えたことによるもので、心配のいらないことがほとんどです。ただし、次のような特徴がある場合は、確かめておくことをおすすめします。

  • 線の幅が広い、だんだん幅が広がってきた
  • 色の濃さにムラがある、境界がはっきりしない
  • 爪のまわりの皮膚にまで色がにじんでいる
  • 大人になってから、ひとつの爪だけに現れた
  • 爪が割れる・変形をともなう

これらは「悪性だから」という意味ではありません。まれに悪性のものが含まれるため、確かめておく価値があるという位置づけです。

爪全体が黒い・紫色

ぶつけたあとであれば、爪の下の内出血(爪下血腫)のことが多く、時間とともに爪の伸びに合わせて先へ移動していきます。 移動しない黒色が続く場合は、一度ご相談ください。

靴と爪の関係

足の爪の変化には、靴が関わっていることが少なくありません。

つま先が狭い靴、サイズの合わない靴を長く履いていると、爪が繰り返し圧迫されます。その刺激で爪が厚くなったり、曲がって伸びたりすることがあります。スポーツで足先に負担がかかる方、立ち仕事の方にもみられます。

また、圧迫された爪のまわりは蒸れやすく、白癬菌にとって好都合な環境になります。爪白癬と靴による変形が重なっていることもあり、その場合は治療とあわせて履物の見直しが必要になります。

  • つま先に1cm程度のゆとりがあるか
  • 甲の部分で足が固定され、靴のなかで足が前に滑らないか
  • 夕方は足がむくむため、靴選びは夕方に

「爪だけ」を見るのではなく、履いている靴と歩き方まで含めて考えると、繰り返しを防ぎやすくなります。

「爪水虫だと思っていたら違った」ということがあります

爪の変化で市販薬を続けている方は少なくありません。しかし、白癬菌がいなければ、抗真菌薬を塗っても変化はありません。

爪白癬かどうかは、顕微鏡で白癬菌そのものを確認する検査(KOH直接鏡検)で確かめられます。爪の一部をごく少量削って調べるもので、痛みはなく、その場で結果を確認できます。

確かめてから始めるほうが、遠回りに見えて近道です。 とくに爪白癬の内服治療は一定期間続けるものなので、そもそも白癬菌がいるのかを先に確認しておく意味は大きくなります。

→ 爪白癬の治療(外用・内服)については水虫・爪水虫でくわしくご説明しています。

当院での診察の流れ

  1. 問診:いつからか、変化の広がり方、思い当たるきっかけ(外傷・水仕事・靴)、通院中の病気とお薬をうかがいます。
  2. 診察:爪と、まわりの皮膚の状態を確認します。必要に応じて拡大して観察します。
  3. 検査:爪白癬が疑われる場合は、顕微鏡検査(KOH直接鏡検)で白癬菌の有無を確認します。
  4. 方針のご提案:原因に応じた治療をご説明します。爪白癬であれば外用・内服から、状態に合わせて選びます。
  5. 経過の確認:爪は伸びるのに時間がかかるため、変化が見えるまでには期間が必要です。 経過をみながら進めます。

ご自宅でできること

  • 爪は短くしすぎず、まっすぐに切る。 深爪は巻き爪や炎症のもとになります。
  • 足をよく乾かす。 入浴後は指のあいだまで水分を拭き取ってください。
  • 同じ靴を毎日履かない。 靴の中の湿気は白癬菌にとって好都合です。
  • 水仕事では手袋を。 爪甲剥離がある方は、洗剤と水の刺激を減らすことが大切です。
  • 気になる爪をいじらない。 はがしたり削ったりすると、もとの状態が分からなくなります。

よくあるご質問

Q. 市販の水虫薬を使ってもよいですか?
爪白癬であれば無効ではありませんが、爪の内部までは薬が届きにくいという特徴があります。また、そもそも白癬菌がいない場合は変化がありません。改善しないまま続けるより、一度検査で確かめることをおすすめします。

Q. 痛くないのですが、治療は必要ですか?
爪白癬は痛みがないまま進み、足の皮膚の水虫を繰り返す原因になることがあります。ご家族へうつることもあるため、状態によっては治療をおすすめします。

Q. 爪の黒い線は放っておいてよいですか?
多くは心配のいらないものですが、幅が広がる・色にムラがある・まわりの皮膚に色がにじむといった特徴があれば、確かめておくことをおすすめします。

Q. 治るまでどのくらいかかりますか?
爪は伸びるのがゆっくりで、とくに足の爪は生え変わるまでに時間がかかります。治療の効果は、伸びてきた部分の見た目で判断します。 途中でやめると元に戻ることがあるため、経過をみながら進めます。

Q. 何科を受診すればよいですか?
爪の病気は皮膚科が専門です。当院では皮膚科専門医が診察し、必要に応じて顕微鏡検査を行います。

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