円形に髪が抜けた
「美容室で指摘された」「家族に言われて気づいた」「自分で触ってみたら、そこだけつるつるしていた」——
丸く、境界のはっきりした脱毛が突然できていたら、円形脱毛症の可能性があります。
このページで、最初にお伝えしたいことが3つあります。
① 円形脱毛症は、保険診療で対応できる病気です。 自費の薄毛治療とは、まったく別のものです。
② 「ストレスが原因」とよく言われますが、それだけでは説明できません。 ご自身の生活を責める必要はありません。
③ 髪をつくる組織そのものは、多くの場合、失われていません。 だからこそ、生えてくる可能性があります。
保険診療と自由診療、どちらになりますか
この症状は、原因と目的によって保険診療になる場合と自由診療(保険適用外)になる場合があります。 まずは診察のうえで、どちらに当たるかをご説明します。
| どんなとき | ご案内するページ | |
|---|---|---|
| 保険診療 | 円形に抜けた部分の治療 | 円形脱毛症 |
| 自由診療 | 全体的な薄毛も気になる場合 | 薄毛・抜け毛が気になる方へ |
同じ日に保険診療と自由診療を組み合わせられない場合があります。くわしくは料金案内をご覧ください。
まず、薄毛(AGA)とは別の病気です
ここを混同されると、必要のない自費治療に進んでしまうことがあります。
| 円形脱毛症 | 薄毛(AGA・FAGA) | |
|---|---|---|
| 抜け方 | 境界のはっきりした円形・楕円形の脱毛斑 | 全体的に、少しずつ薄くなる |
| 始まり方 | 突然。ある日気づく | 年単位で、徐々に |
| 地肌 | つるつる。毛穴は残っている | 産毛のような細い毛が残る |
| 部位 | 頭のどこでも。眉毛、まつ毛、体毛にも | 前頭部、頭頂部、生え際 |
| 年齢 | 子どもから高齢者まで | 成人以降 |
| 診療の区分 | 保険診療 | 自費診療 |
「円形に、はっきりとした境界で抜けている」のであれば、円形脱毛症を考えます。
ご自身で判断が難しい場合も、まず診察にお越しください。 どちらであるかを確かめることが先で、そのうえで進め方が決まります。
なお、当院では「まず自費治療を」というご案内はいたしません。 保険診療で対応できるものは、保険診療で対応します。
そのほか、髪が抜ける原因
- 分娩後脱毛:出産後2〜3か月ごろから、全体的に抜けます。多くは自然に回復します
- 休止期脱毛:高熱、大きな手術、急激な体重減少、強い心身の負担などの2〜3か月後に、全体的に抜けます
- 抜毛症:無意識に髪を抜いてしまうもの。脱毛斑の中に、長さの違う毛が残るのが特徴です
- 脂漏性皮膚炎、頭部の白癬:地肌に赤み、フケ、かゆみを伴います
- 甲状腺の病気、鉄不足:全体的に薄くなります
- 薬の影響
「丸く抜けているかどうか」「地肌に赤みやフケがあるか」「全体か、一部か」——この3点が、区別の手がかりになります。
「ストレスのせい」と、自分を責めないでください
円形脱毛症について、最も広く信じられている説明が「ストレス」です。
そして、そう聞いた方の多くが、「自分の心が弱いからだ」「もっとうまくやれていれば」と考えてしまわれます。
ですが、これは正確ではありません。
現在、円形脱毛症は、自分の免疫が、自分の毛の根もと(毛包)を攻撃してしまうことで起こると考えられています。
ストレスは、きっかけのひとつになりうる要素であって、原因のすべてではありません。 実際、思い当たる出来事がまったくない方も、たくさんいらっしゃいます。
アトピー性皮膚炎などの体質が関わることもあり、ご家族に同じ病気の方がいることもあります。
ですから、生活を反省する必要はありません。 「ストレスをなくさないと治らない」と考えて、かえって追い込まれてしまう方がおられますが、そういうものではありません。
早めにご相談いただく意味
円形脱毛症は、自然に治ることも多い病気です。小さな脱毛斑がひとつであれば、数か月で回復することもよくあります。
それでも、早めに一度診ておくことをおすすめする理由があります。
① 別の病気との区別がつきます
頭部の白癬など、まったく違う治療が必要なものが混ざっていることがあります。
② 広がる時期を捉えられます
進行している時期は、境目の毛が抜けやすくなります。 診察でこれを確認することで、今どの段階かが分かります。
③ 早い段階で始めたほうがよい治療があります
④ 背景を確認できます
甲状腺の病気などが関わることがあり、必要に応じて血液検査で確認します。
⑤ 見通しが分かるだけでも、負担が減ります
「これからどうなるのか」が分からないことが、いちばんつらいという方は多くいらっしゃいます。
こんなときは、お早めに
- 脱毛斑が増えている、広がっている
- 短期間で急に進んだ
- 眉毛、まつ毛、体毛も抜けている
- 爪に小さなくぼみ(点状のへこみ)がある
- お子さんに起きた
- 地肌に赤み、フケ、かゆみ、痛みがある
- 繰り返している
- 6か月以上、変化がない
診察の流れ
問診では、いつ気づいたか、広がっているか、これまでに同じことがあったか、ご家族の状況、他の病気とお薬、体調の変化をうかがいます。
思い当たる出来事がなくても、まったく構いません。 「分かりません」で結構です。
診察では、脱毛斑の数・大きさ・境界、地肌の状態、毛の生え際の様子を確認します。ダーモスコピーという機器で拡大して観察することがあります。痛みはありません。
爪もあわせて確認させてください。 爪に小さなくぼみが出ることがあり、これも手がかりになります。
必要に応じて、血液検査で甲状腺などの状態を確認します。
治療について
保険診療の範囲で対応します。 塗り薬をはじめ、状態に応じた方法があります。
範囲、経過、年齢によって、進め方が変わります。 診察でご相談ください。
詳しくは円形脱毛症のページをご覧ください。
日常で気をつけること
- 触りすぎない、確認しすぎない:気になるのは当然ですが、毎日鏡で見るほど、不安が強くなります
- 無理に隠そうとして、強く結ばない:引っぱる力は髪に負担になります
- ウィッグ、帽子、髪型の工夫は、遠慮なく:隠すことは、後ろ向きな選択ではありません
- 眠る、休む:ストレスが原因のすべてではありませんが、体調は整えたほうが良いことに変わりありません
- 育毛剤を次々に試さない:円形脱毛症には、期待した効果が出ないことが多くあります
周りの人に、どう伝えるか
この病気で、治療と同じくらい負担になるのが、周囲への説明です。
診察でも、「職場でなんと言えばいいか」「子どもの学校にどう伝えるか」というご相談をよくいただきます。
伝えるときに、使える事実
- うつる病気ではありません
- 不潔にしていたからでも、生活が乱れているからでもありません
- 免疫のはたらきが関係していると考えられています
- 治療を受けており、経過をみています
この4つを伝えれば、たいていの場面では足ります。 細かく説明する義務はありません。
言いたくなければ、言わなくて構いません
「体調の関係で」「皮膚科で診てもらっています」——それだけでも十分です。
病名を明かすかどうかは、ご自身が決めることです。 職場でも、学校でも、親戚の集まりでも同じです。
お子さんの場合
学校への説明が必要になることがあります。必要であれば、診察の中でご相談ください。 どう伝えると先生方に理解されやすいか、一緒に考えます。
周囲の無理解に、ご本人やご家族が対応しなければならない——それがこの病気の負担のひとつです。抱え込まず、診察でお話しください。
経過の見通しについて
「どのくらいで治りますか」というご質問には、正直にお答えします。
この病気は、経過の幅が非常に大きく、初診の時点で見通しを断定することはできません。
一般的には、次のような傾向が知られています。
回復しやすい傾向
- 脱毛斑がひとつだけ
- 範囲が狭い
- 初めての発症
- 発症してからの期間が短い
時間がかかりやすい傾向
- 脱毛斑が複数、広い
- 繰り返している
- 眉毛・まつ毛・体毛にも及んでいる
- お子さんの頃から始まっている
ただし、これは傾向であって、決まりではありません。 広い範囲でも回復される方はいらっしゃいますし、逆もあります。
大切なのは、途中で通院をやめてしまわないことです。
変化が乏しい時期があると、「もう意味がない」と感じられるかもしれません。しかし、進み方を確認しておくこと自体に意味があります。 広がっている時期なのか、止まっているのか、生え始めているのか——これは診察で分かります。
うまくいかない時期こそ、一人で判断せずお越しください。
よくあるご質問
Q. また生えてきますか?
髪をつくる組織そのものは、多くの場合失われていません。 範囲や経過によりますが、回復する方は多くいらっしゃいます。ただし、時間がかかることがあり、経過には個人差があります。
Q. 保険は使えますか?
円形脱毛症は保険診療の対象です。自費の薄毛治療とは別のものです。
Q. 人にうつりますか?
うつりません。
Q. 遺伝しますか?
ご家族に同じ病気の方がいることはありますが、必ず遺伝するというものではありません。
Q. 子どもにできました。
お子さんにも起こります。学校生活でのご心配もあると思います。 進み方をみながら、対応をご相談します。
Q. 育毛剤やサプリメントは効きますか?
円形脱毛症は、いわゆる薄毛とは仕組みが違います。 薄毛向けの製品で期待した効果が出ないことが多く、まずは診察をおすすめします。
Q. ウィッグを使ってもよいですか?
もちろんです。 生活の負担を減らすことは、治療の妨げにはなりません。
Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談いただけます。