皮膚が赤く腫れて熱をもつ・痛い
「足が赤く腫れて、触ると熱い」「押すと痛い」「昨日より範囲が広がっている気がする」——
このような症状は、皮膚の深い部分に細菌が入り込んで炎症を起こしている状態(蜂窩織炎など)の可能性があります。
この状態には、他の皮膚のトラブルと違う点があります。
進行が速いことがあり、時間が経つほど治療が大がかりになるという点です。
多くは適切な治療で改善しますが、放っておくと熱が出て全身に影響が及び、入院が必要になることもあります。
このページでは、どこまで様子を見てよくて、どこからは急ぐべきかを、できるだけはっきりお伝えします。
すぐに受診してください
次のいずれかに当てはまる場合は、時間外であっても、救急対応が可能な医療機関へご相談ください。
- 38度以上の発熱がある
- 寒気・震えがある
- 赤みが急速に広がっている(数時間で目に見えて広がる)
- 痛みが非常に強い、見た目の腫れに比べて痛みが強すぎる
- 皮膚が紫色・黒っぽく変色している
- 水ぶくれができている
- 意識がぼんやりする、ふらつく
- 糖尿病がある方で、足に赤みと腫れが出た
- 免疫を抑えるお薬を使っている方
- 透析を受けている方
とくに、見た目に比べて痛みが強すぎる場合と、皮膚が黒っぽく変色している場合は、深い部分まで炎症が及んでいる可能性があり、急ぐ必要があります。
糖尿病がある方は、痛みを感じにくいことがあり、気づいたときには進行していることがあります。 足の赤みと腫れには、とくに注意してください。
当日〜翌日にご相談ください
上の項目に当てはまらないものの、次のような場合は、その日か翌日には受診してください。様子を見る期間を長く取らないことが大切です。
- 皮膚が赤く腫れて、熱をもっている
- 押すと痛い、じんじんする
- 範囲が少しずつ広がっている
- 足の付け根やわきのリンパ節が腫れている
- 虫刺されや小さな傷から始まって、腫れが強くなってきた
- 片方の足だけが腫れている
「明日まで様子を見よう」と思った時点で、一度電話でご相談いただくのでも構いません。
様子を見てよい場合
次のような場合は、緊急性は高くありません。
- 虫刺されの跡が赤く腫れているが、熱感・発熱がなく、範囲が広がらない
- かぶれ(接触皮膚炎)で、触れた範囲に一致して赤くなっている
- かゆみが主体で、痛みや熱感がない
- 湿疹を掻いたあとの赤み
ただし、翌日以降に「広がってきた」「熱をもってきた」「痛みが出てきた」場合は、上の項目に切り替わります。 範囲がどこまでか、ペンで印をつけておくと、広がりが分かりやすくなります。
なぜ赤く腫れて熱をもつのか
皮膚の表面には、常に細菌がいます。健康な皮膚はバリアとして働き、細菌が中に入るのを防いでいます。
ところが、次のようなきっかけでバリアが破られると、細菌が皮膚の深い部分に入り込むことがあります。
- 小さな傷・すり傷
- 虫刺され(掻いたところから)
- 水虫:足の指の間の皮むけが、細菌の入口になります
- ひび割れ・乾燥
- 巻き爪、陥入爪
- むくみ:皮膚が伸びて弱くなります
入り込んだ細菌に対して体が戦うことで、赤み・腫れ・熱・痛みという4つの反応が起こります。これが炎症です。
起こりやすい方
- 足にむくみがある方
- 水虫がある方
- 糖尿病のある方
- 免疫が低下している方
- 同じ場所に繰り返し起こしたことがある方
水虫が入口になっていることがあります
意外に思われるかもしれませんが、足の蜂窩織炎の原因として、水虫はよく知られています。
足の指の間がふやけて皮がむけていると、そこから細菌が入ります。水虫そのものは緊急の病気ではありませんが、細菌感染の入口になるという点で、放置しないほうがよいのです。
繰り返し足が腫れる方は、足の指の間を確認してみてください。 水虫の治療をすることが、再発予防につながることがあります。
受診までの間にできること
- 患部を高くする:足であれば、横になって足の下にクッションを入れる。腫れが引きやすくなります
- 安静にする:歩き回ると悪化することがあります
- 範囲に印をつける:赤みの縁をペンでなぞっておくと、広がっているかどうかが分かります。受診の際に医師が判断する助けにもなります
- 患部を清潔に保つ
- 体温を測っておく
やらないでください
- 温める・お風呂で長く温める:炎症が広がることがあります
- 揉む・マッサージする:炎症を広げる可能性があります
- 市販のステロイド外用薬を塗る:細菌感染では、かえって悪化することがあります
- 「そのうち引くだろう」と数日待つ
当院での診察の流れ
いつから、どこが、どのように腫れてきたか、きっかけ(傷、虫刺され、水虫など)、発熱の有無、これまでに同じことがあったか、持病とお薬をうかがいます。「昨日と比べてどうか」という変化の速さが、判断の重要な材料です。
診察では、赤みの範囲、熱感、圧痛、境界のはっきりさ、リンパ節の腫れを確認します。足の指の間に水虫がないかも、あわせて確認します。
必要に応じて血液検査で炎症の程度を確認します。ほかの病気(血栓、痛風、深部の感染など)との区別が必要な場合には、追加の検査や、専門的な医療機関へのご紹介を行います。
治療は抗菌薬が中心です。範囲や全身の状態によっては、内服ではなく点滴が必要になることがあり、その場合は入院可能な医療機関へご紹介します。詳しくは蜂窩織炎のページをご覧ください。
似た症状で、別の原因のこともあります
赤み・腫れ・熱感・痛みという組み合わせは、細菌感染以外でも起こります。診察では次のような病気との区別を行います。
痛風・偽痛風
足の親指の付け根が、急に赤く腫れて激しく痛む場合は痛風を考えます。膝や手首に急に起こる場合は偽痛風のことがあります。いずれも関節そのものが痛むのが特徴です。
深部静脈血栓症(血栓)
片方のふくらはぎが腫れて痛む、熱感を伴う——という場合、脚の深い静脈に血の塊ができている可能性があります。息苦しさ、胸の痛みを伴う場合は急を要します。 長時間の移動や、手術・入院のあとに起こりやすいことが知られています。
接触皮膚炎(かぶれ)
触れたものに一致した範囲に、赤みとかゆみが出ます。かゆみが主体で、熱感や発熱を伴わないのが細菌感染との違いです。
帯状疱疹
体の片側に、帯状に赤みと水ぶくれが出て、痛みを伴います。痛みが先に出ることが多いのが特徴です。
うっ滞性皮膚炎
足のむくみが長く続いている方で、すねの内側が赤黒く変色し、皮膚が硬くなるもの。両足に出ることが多く、急な発症ではありません。
虫刺され
刺された中心が分かる、かゆみが主体、熱感がない——といった場合。
「急に始まったか」「熱をもっているか」「発熱があるか」「片側か両側か」——この4点が、区別の手がかりになります。診察でお伝えください。
繰り返す方へ
同じ場所に何度も蜂窩織炎を起こす方がいらっしゃいます。この場合、背景に必ず理由があります。
- 足のむくみ:皮膚が伸びて薄くなり、細菌が入りやすくなります
- 水虫:足の指の間の皮むけが入口になります
- 爪のトラブル:巻き爪、陥入爪
- 乾燥・ひび割れ
- リンパの流れの問題:手術やがん治療の影響でリンパの流れが悪くなっている場合
- 糖尿病
繰り返すたびに、その部位のリンパの流れがさらに悪くなり、次が起こりやすくなるという循環に入ることがあります。
症状が落ち着いている時期に、背景への対応をしておくことが再発予防になります。 足の指の間を清潔に保つ、水虫を治療する、むくみへの対応をする、保湿する——地道ですが、これらが効きます。
「また腫れた」を繰り返しておられる方は、落ち着いている時期に一度ご相談ください。
よくあるご質問
Q. 虫刺されが腫れているだけかもしれません。
虫刺されの跡が赤く腫れることはよくあります。熱感がなく、範囲が広がらず、かゆみが主体であれば、様子を見ていただいて構いません。ただし、痛みや熱をもってきた、範囲が広がった場合は受診してください。
Q. 冷やしたほうがよいですか、温めたほうがよいですか?
温めないでください。 炎症が広がることがあります。冷やすことで楽になる場合は、保冷剤をタオルで包んで軽く当てる程度にとどめてください。
Q. 市販の塗り薬を使ってもよいですか?
細菌感染が疑われる状態では、市販のステロイド外用薬は避けてください。 かえって悪化することがあります。
Q. 片足だけ腫れています。
片側だけの腫れは、細菌感染のほか、血管の問題(血栓)でも起こります。ふくらはぎの痛みや、息苦しさを伴う場合は急ぐ必要があります。 ご相談ください。
Q. 繰り返しています。
むくみ、水虫、傷ができやすい状態など、繰り返す背景があることが多くあります。再発を防ぐには、その背景に対応する必要があります。 落ち着いている時期にご相談ください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚の赤み・腫れは皮膚科でご相談いただけます。発熱を伴う場合や、急速に広がっている場合は、時間帯を問わず救急対応が可能な医療機関へご相談ください。