骨が弱くなっていないか心配

「健康診断では特に何も言われないけれど、この年齢だと骨は大丈夫だろうか」「母が大腿骨を骨折したので、自分も心配になった」「気のせいか、少し背が縮んだ気がする」——こうしたはっきりした症状ではない「気がかり」で来院される方がいらっしゃいます。

骨粗鬆症のいちばん難しいところは、進行しても痛みなどの自覚症状が出ないことです。多くの方は、転んで骨折して初めて気づかれます。

つまり、症状が出るのを待っていては遅い、という性質の病気です。だからこそ、「心配だから確かめておく」という受診の仕方が、この病気には合っています。

症状がないのに受診してよいのですか

はい、それがこの病気に対する適切な向き合い方です。

骨のイメージ

私たちは普段、「症状があるから病院に行く」という考え方をしています。ところが骨粗鬆症は、骨の量が減っていく間、痛みもだるさも出ません。骨がスカスカになっていく過程は、本人にはまったく分からないのです。

そして最初に現れる「症状」が、多くの場合骨折そのものです。背骨の圧迫骨折、手首の骨折、そして大腿骨の付け根の骨折。とくに大腿骨の骨折は、それまで自立して歩けていた方の生活を大きく変えてしまうことがあります。

骨密度を測るという行為は、症状を診てもらうことではなく、今の状態を数値で知ることです。 健康診断で血圧やコレステロールを測るのと同じ感覚で受けていただければと思います。

こんなきっかけがあれば、確かめる価値があります

「なんとなく心配」でも十分な受診理由ですが、次のいずれかに当てはまる方は、一度確かめておくことをおすすめします。

年齢・性別

  • 閉経を迎えた方:女性ホルモンには骨を守る働きがあり、閉経後は骨量が急速に減ります。閉経は骨密度を測る最も分かりやすいきっかけです。
  • 65歳以上の女性
  • 70歳以上の男性:男性も骨粗鬆症になります。女性より遅れて進む傾向がありますが、骨折した場合の影響は男性のほうが大きいとされています。

家族歴・既往

  • ご家族(とくに母親)が大腿骨の付け根を骨折した
  • ご自身が、軽い転倒や尻もちで骨折したことがある:立った高さからの転倒で骨が折れるのは、骨が弱っているサインです
  • 身長が若い頃より2〜3cm以上縮んだ:背骨の圧迫骨折が、気づかないうちに起きている可能性があります
  • 背中が丸くなってきた

お薬・体質・生活

  • ステロイドを3か月以上内服している、していた:骨密度が下がる代表的な要因です
  • 関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、甲状腺の病気がある
  • やせている(BMIが低い)
  • 過度の飲酒・喫煙の習慣がある
  • 極端なダイエットの経験がある
  • 運動する習慣がほとんどない

検診で指摘された

  • 自治体の骨粗鬆症検診で「要精検」と言われた
  • 他院のレントゲンで「骨が薄い」と言われた

「背が縮む」は見過ごされやすいサインです

年齢とともに身長が減るのは自然なことだと思われがちですが、若い頃より2〜3cm以上縮んでいる場合は、背骨が潰れている(圧迫骨折)可能性があります。

背骨の圧迫骨折は、はっきりした転倒がなくても、くしゃみや重いものを持ち上げた拍子に起こることがあります。強い痛みが出ることもありますが、痛みをほとんど感じないまま潰れていることも珍しくありません(いつのまにか骨折と呼ばれます)。

そして一度背骨が潰れると、その上下の骨に負担が集中し、次の骨折が起こりやすくなります。「気づかないうちに1つ、また1つ」と連鎖していくことがあるため、身長の変化は意外に重要な手がかりなのです。

健康診断で身長を測る機会があれば、若い頃の身長と比べてみてください。

骨密度はどうやって測るのですか

骨密度の測定にはいくつかの方法がありますが、DEXA法(デキサ法・二重エネルギーX線吸収測定法)が診断の標準とされています。

当院では、GE社製のX線骨密度測定装置(PRODIGY Fuga C)を用いて、腰椎(背骨)と大腿骨(脚の付け根)を測定します。この2か所は、骨折すると生活への影響が大きい部位であり、診断の基準もこの部位の測定を前提としています。

かかとや手首だけを測る簡易的な方法との違い:健康イベントや薬局などで受けられる簡易測定は、手軽さが利点ですが、測っている部位が異なるため、診断や治療方針の決定には使えません。簡易測定で指摘を受けた方は、あらためてDEXA法での測定をご検討ください。

検査そのものは、装置のベッドに5〜10分ほど仰向けに寝ているだけです。痛みはなく、着替えも基本的に必要ありません。放射線の被ばく量はごくわずかで、胸のレントゲン1回よりも少ない程度とされています。

あわせて、骨代謝マーカー(血液検査)で骨のつくり替えの勢いを調べたり、FRAX(骨折リスク評価ツール)で今後10年間の骨折の起こりやすさを見積もったりすることもあります。なお、骨代謝マーカーは外部の検査センターで測定するため、結果のご説明は後日の再診時となります。

結果が良くなかったら、どうなりますか

「悪い結果が出たら怖い」という理由で検査をためらわれる方がいらっしゃいます。

ただ、骨粗鬆症は分かった時点でできることがある病気です。お薬による治療の選択肢は近年広がっており、骨密度を維持する、あるいは増やすことを目指せる場合があります。あわせて、食事(カルシウム・ビタミンD・たんぱく質)、日光を浴びること、そして骨に適度な負荷をかける運動が、治療の土台になります。

当院には理学療法士が常勤しており、転倒を防ぐためのバランス訓練や、下肢の筋力を保つ運動の指導を、保険診療の範囲で受けていただけます。骨を強くすることと、転ばない体をつくること。この両輪で骨折を防いでいきます。

病態やお薬の詳しい内容は骨粗鬆症のページで、当院の外来の流れは骨粗鬆症外来のページでご説明しています。

骨を守るために、今日からできること

  • カルシウムを意識してとる:乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜。
  • ビタミンDをとる・日光を浴びる:魚、きのこ類。日光を浴びると体内でも作られます。1日15分程度、手や顔に日が当たる時間があるとよいとされています。
  • たんぱく質を不足させない:骨はカルシウムだけでなく、たんぱく質の土台の上にできています。高齢になるほど不足しがちです。
  • 歩く・軽い負荷をかける:骨は負荷がかかることで強くなります。散歩、階段、かかと落としなど。
  • 転ばない環境をつくる:段差、コード類、滑りやすいマット、暗い廊下。室内での転倒は思いのほか多いものです。
  • 禁煙・節酒

よくあるご質問

Q. 何歳から測るべきですか?
女性では閉経の頃が一つの目安です。男性を含め、上に挙げたきっかけに当てはまる方は年齢を問わずご相談ください。

Q. どのくらいの間隔で測ればよいですか?
状態や治療の有無によって異なります。一般には年1回程度を目安とすることが多く、治療中の方は効果を確認するために間隔を決めてお測りします。

Q. 検査だけ受けることはできますか?
診察のうえで必要性を判断して検査を行いますので、まずは診察をお受けください。心配な点や、上に挙げたきっかけに当てはまることをお伝えいただければ結構です。

Q. 男性は関係ないのでは?
男性も骨粗鬆症になります。女性より遅れて進む傾向がありますが、骨折後の経過は男性のほうが不良とされる報告もあります。心配な方はご相談ください。

Q. 何科を受診すればよいですか?
骨密度の測定・骨粗鬆症の診療は整形外科で行っています。当院では整形外科専門医が診察のうえ、必要な検査をご案内します。

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