肩の再生医療(腱板の痛み・PRP療法)

「腕を上げると肩が痛む状態が長引いている」「リハビリや注射を続けているが、腱の痛みがなかなか取れない」「できれば手術は避けたい」――肩の痛みで、保存療法と手術のあいだの選択肢を探している方へ。当院では、整形外科専門医が診察と画像評価にもとづいて肩の状態を見きわめたうえで、お一人おひとりに応じた再生医療をご提案します。

このページでわかること

  • 肩の痛みで再生医療を検討する場面はどんなときか
  • 肩で検討できる主な治療(PRP療法など)と、その考え方
  • 適応の判断(画像評価・断裂の程度による考え方)
  • 肩の場合の治療の流れと、運動療法との組み合わせ

肩の痛みで再生医療を考えるのはどんなとき

肩の痛みの原因は、腱板(けんばん・肩を動かし支える4つの筋肉の腱)の炎症や部分的な傷み、加齢による腱の変性など、人によってさまざまです。こうした肩の痛みは、まず保険診療(内服・外用・注射・運動療法・リハビリ)で対応できる場合が多くあります。腱板の病態や保存療法の詳しい内容については、腱板損傷・肩でお悩みの方のページをご覧ください。

再生医療を検討するのは、おもに次のような場面です。

  • リハビリや注射を続けているが、腱の痛みの改善が物足りない
  • 腱板の部分的な傷み(部分断裂)による痛みが長引いている
  • 痛みで日常生活や運動に支障があるが、手術はできれば避けたい

再生医療は、これらのうち「手術以外の次の選択肢」として検討できる場合があります。まずは診察・レントゲン・超音波(エコー)・MRIなどで痛みの原因と腱の状態を見きわめ、適応を判断することが出発点となります。

※ 肩の再生医療は、保険診療にとって代わるものではありません。保存療法で改善が不十分なときの選択肢という位置づけです。

肩で検討できる主な選択肢

肩に対しては、状態に応じて次のような再生医療を検討します。それぞれの治療の詳しい内容(しくみ・製剤・リスクなど)は各詳細ページでご説明しています。

  • PRP療法(多血小板血漿):ご自身の血液から血小板を濃縮して用いる治療です。血小板に含まれる成長因子のはたらきにより、傷んだ組織の修復が起こりやすい環境を整えることをめざします。腱板の炎症・部分的な傷み、慢性的な肩の痛みなどに検討されます。→ PRP療法
  • Bio-Mechano Therapy(体外衝撃波×PRP):なかなか改善しにくい腱の痛みや、腱にカルシウムがたまる石灰沈着性腱板炎などに対し、組み合わせで対応する考え方です。→ Bio-Mechano Therapy
  • 幹細胞治療(MFAT):ご自身の脂肪組織を用いる治療です。変形性肩関節症など、関節そのものの変化を伴う場合に、より積極的な関節内環境の改善をめざして検討される選択肢です。培養して幹細胞を増やす培養幹細胞治療(ADSCs)(第2種再生医療等:培養脂肪由来幹細胞(ADSC)PB7250015)も選択肢となり得ます。→ 幹細胞治療

※ どの治療が適しているかは、腱板の傷みの程度・石灰沈着の有無・関節の状態・症状などをもとに、整形外科専門医が判断します。治療効果には個人差があります。

肩の再生医療のなかでも、当院では腱の痛みに対するPRP療法を中心にご提案しています。腱や靭帯といった血流の乏しい組織は、傷んでも自然な修復が起こりにくい部位です。PRP療法は、こうした腱の慢性的な痛みに対して、修復が起こりやすい環境づくりをめざす治療として検討されます。

※ 肩の再生医療(PRP療法・Bio-Mechano Therapy・幹細胞治療)は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。

肩の状態と腱の傷みで、適応はどう決まりますか

再生医療は、どんな肩にも同じように適しているわけではありません。適応の判断では、おもに次の点を確認します。

  • 腱の傷みの程度:腱板が全層で切れている(完全断裂)のか、一部が傷んでいる(部分断裂)のか。超音波やMRIで、腱の連続性や断裂の範囲を確認します。
  • 石灰沈着の有無:腱にカルシウムの沈着がないかを、レントゲンなどで確認します。
  • 関節そのものの状態:変形性肩関節症など、関節の軟骨の変化を伴っていないか。
  • これまでの治療歴:リハビリや注射での反応。

腱板が大きく完全に断裂している場合や、腕に力が入らず日常生活への支障が大きい場合は、再生医療よりも手術(腱板修復術など)が適していることがあります。その際は無理に自由診療をおすすめすることはなく、必要に応じて専門医療機関と連携・ご紹介します。肩の状態を正しく見きわめ、その方に合った選択肢をご提案することを大切にしています。

治療の流れ(肩の場合)

肩の再生医療は、いずれも入院不要の日帰りで行える治療です。おおまかな流れは次のとおりです(詳しい手順・所要時間は各治療の詳細ページや再生医療の料金・治療の流れをご覧ください)。

  1. 診察・画像評価:症状・治療歴をお伺いし、レントゲン・超音波・MRIなどで肩と腱板の状態を評価します。
  2. 適応と治療法の判断:整形外科専門医が、肩の状態に応じて適した治療(PRPなど)を判断し、ご提案します。
  3. ご説明・ご同意:治療内容・費用・リスクについて丁寧にご説明し、ご納得のうえで日程を決めます。
  4. 採取・準備:PRP療法では採血を行い、院内で調製します。
  5. 肩への注射:超音波などで確認しながら、傷んだ部位に注射します。
  6. 経過観察・運動療法:治療後の経過を確認し、理学療法士と連携した運動療法を組み合わせてサポートします。

肩の再生医療は、受ければ動かさずにいればよいのですか?

いいえ、再生医療を受けたあとの過ごし方も、肩の回復にとって大切です。

PRP療法などは、成長因子のはたらきによって「修復が起こりやすい環境」を整えることをめざす治療です。一方で、肩の最終的な機能の回復には、適切な運動によって腱や筋肉のはたらきを取り戻していくことが欠かせないと考えられています。再生医療で「修復のための環境」を整え、運動療法で「肩を正しく動かす力」を育てる、という組み合わせが重要になります。

治療後に痛みをおそれて肩を動かさないでいると、関節が固まったり、肩甲骨まわりの筋肉が弱ったりして、かえって回復に時間がかかることがあります。当院では理学療法士と連携し、肩の状態に合わせて段階的な運動療法を組み合わせることで、整えた環境を活かすことをめざします。

※ 再生医療の効果や運動療法の進め方には個人差があります。運動の開始時期や内容は、肩の状態に応じて医師・理学療法士が判断します。

再生医療を受ければ、肩の手術を避けられますか?

肩の再生医療は、すべての方が手術を避けられることを保証するものではありません。

腱板の部分的な傷みや、加齢による腱の変性で痛みが長引いている段階の方にとって、再生医療は「保存療法では物足りないが、手術にはまだ踏み切れない」ときの選択肢の一つになり得ます。一方で、腱板が大きく完全に断裂している場合や、腕に力が入らないほど機能が落ちている場合には、再生医療よりも手術が適していることがあります。

大切なのは、肩の状態を正しく評価したうえで、その方に合った選択肢を選ぶことです。当院では、まず診察と画像評価で腱の傷みの程度を見きわめ、再生医療・保存療法・手術それぞれの見通しを誠実にご説明します。手術が適していると判断した場合は、連携する専門医療機関へ責任を持ってご紹介します。「手術を避けたい」というお気持ちを大切にしながらも、無理のない選択肢をご一緒に考えていきます。

※ 肩の再生医療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があり、手術が不要になることを保証するものではありません。

保険診療(整形外科)との使い分け

肩の痛みは、まず保険診療(内服・外用・注射・運動療法・リハビリ)で対応できる場合があります。これらで改善が不十分なときに、手術以外の次の選択肢として再生医療を検討する、という順序が基本です。なお、体外衝撃波治療の保険適用は難治性足底腱膜炎に限られ、肩(石灰沈着性腱板炎等)に対する体外衝撃波治療は自由診療となります(詳細は受付にてご確認ください)。

→ 肩でお悩みの方(整形外科) → 腱板損傷(疾患の解説) → 再生医療について(総合案内)

よくあるご質問

Q. 腱板が「部分的に切れている」と言われました。再生医療は受けられますか?
腱板の部分的な傷み(部分断裂)による痛みが長引いている場合は、手術以外の選択肢として肩の再生医療をご検討いただける場合があります。まずは超音波やMRIで腱の状態を評価したうえでご相談ください。断裂が大きい場合は手術が適していることもあります。

Q. 五十肩でも再生医療を受けられますか?
五十肩(肩関節周囲炎)は、多くの場合、時期に応じた保存療法(薬・注射・リハビリ)で改善に向かう病気です。当院の肩の再生医療は、おもに腱板の傷みなど腱の痛みを対象としています。まずは診察で肩の痛みの原因を見きわめることが大切です。五十肩について詳しくは五十肩(肩関節周囲炎)をご覧ください。

Q. 治療後、いつ頃から肩が楽になりますか?
効果の現れ方や持続には個人差があります。治療後しばらくしてから変化を感じ始める方が多いとされますが、一定の期間をおいて経過を見ながら評価していきます。

Q. 治療後、リハビリは必要ですか?
肩の機能の回復には、治療後の運動療法が重要と考えられています。当院では理学療法士と連携し、肩の状態に合わせた運動療法を組み合わせてサポートします。

Q. 肩の再生医療は保険が使えますか?
PRP療法・Bio-Mechano Therapy・幹細胞治療はいずれも自由診療(保険適用外)で、全額自己負担となります。体外衝撃波治療の保険適用は難治性足底腱膜炎に限られ、石灰沈着性腱板炎など肩に対する体外衝撃波治療は自由診療です(詳細は受付にてご確認ください)。

費用

治療料金(税込)回数
白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回3回(7〜10日間隔)
高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円1回
MFAT 1部位600,000円1回(当日完結)
MFAT 2部位990,000円1回(当日完結)
培養幹細胞(ADSCs)2,200,000円採取→2〜4週間培養→投与

いずれも自由診療(保険適用外)です。初診・再診料、MRI評価の費用は別途かかります。くわしくは再生医療の料金・治療の流れをご覧ください。日本国外にお住まいの方は料金が異なります。

この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)

肩に対する再生医療(PRP療法・Bio-Mechano Therapy・幹細胞治療)は、いずれも自由診療(保険適用外)です(体外衝撃波単独の保険適用は難治性足底腱膜炎に限られ、肩に対しては自由診療となります)。

  • ① 自由診療である旨と標準的な費用:各治療は自由診療で、全額自己負担となります。標準的な費用は再生医療の料金・治療の流れをご覧ください。別途、画像評価(MRI等)や検査の費用が必要になる場合があります。
  • ② 主なリスク・副作用:注射・照射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血などが生じることがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同様の効果が得られるわけではありません。
  • ③ 未承認の医薬品・医療機器を用いる場合がある旨:治療によっては、国内で承認されていない医薬品・医療機器・資材を用いる場合があります。該当の有無は各詳細ページに記載します。
  • ④ 入手経路・国内の承認状況・諸外国での承認状況等:使用する製剤・機器の入手経路、国内での承認の有無、諸外国での承認状況等は、各詳細ページおよび当院の自由診療についてに記載します。

※ 当院の再生医療は、再生医療等提供計画が受理されたうえで提供しています(第2種再生医療等:多血小板血漿(PRP)PB7250013/第3種再生医療等:多血小板血漿(PRP)PC7250005/第2種再生医療等:微小細断脂肪組織(MFAT)PB7250025/第2種再生医療等:培養脂肪由来幹細胞(ADSC)PB7250015)。

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