腰が痛い
「けさ起きたら腰が痛い」「物を持ち上げた瞬間にぎっくり腰になった」「数日前から腰の痛みが引かない」――いま腰の痛みでお困りの方に向けて、このページでは、すぐに受診したほうがよい危険なサインの見分け方、ぎっくり腰になった直後の過ごし方、症状のパターンごとの考えられる原因と詳しいページへのご案内、そして受診までの過ごし方と当院での診察の流れをまとめています。
腰の痛みの多くは、心配のいらない経過をたどります。一方で、なかには早めの対応が大切なものも含まれます。まずは落ち着いて、ご自身の状態を順番に確認していきましょう。
まず確認:こんなサインがあれば早めに受診してください
腰の痛みそのものは、多くの場合すぐに危険なものではありません。ただし、次のようなサインをともなう場合は、神経の障害や骨折、腰以外の病気が関わっている可能性があるため、様子を見ずに早めの受診をおすすめします。

- 排尿・排便の異常がある(尿が出にくい、感覚がにぶい、漏れてしまう)、お尻まわり(股のあたり)の感覚がおかしい
→ 神経の束が強く圧迫されているサインのことがあります。できるだけ早く受診してください。
- 脚の力がどんどん入りにくくなっている(つま先やかかとで立てない、脚に力が入らず歩きにくい、日ごとに悪化している)
→ 神経の障害が進んでいる可能性があります。早めの受診が大切です。
- 安静にしていても強い痛みが続く、夜間の痛みで目が覚める
→ 動きと関係なく痛む腰痛は、通常の腰痛とは別の原因を確認しておきたいサインです。
- 発熱をともなう
→ 感染など、整形外科的な腰痛以外の原因も念頭に診察が必要です。
- ご高齢の方が尻もち・転倒のあとから腰や背中を痛がっている(はっきりしたきっかけがない場合も含む)
→ 骨がもろくなっていると、軽い衝撃でも背骨がつぶれるように折れること(圧迫骨折)があります。「打ち身だろう」と様子を見ず、レントゲンでの確認をおすすめします。
これらに当てはまらなければ、多くの場合、あわてる必要はありません。次の項目に進んでください。
ぎっくり腰になったら:最初の数日の過ごし方
物を持ち上げた瞬間、体をひねった拍子、くしゃみをしたときなどに急に腰が痛くなる、いわゆる「ぎっくり腰(急性腰痛)」。多くは筋肉や関節への急な負担によるもので、適切に過ごせば数日から数週間で軽快に向かうことがほとんどです。直後の過ごし方のポイントは次のとおりです。
1. 最初の1〜2日:楽な姿勢で、熱っぽければ冷やす
痛めた直後(およそ48時間)は、患部に炎症が起きている時期です。横向きで軽く膝を曲げるなど、ご自身が楽に感じる姿勢で過ごしましょう。腰に熱っぽさを感じる場合は、氷や保冷剤をタオル越しに当てて冷やすと、痛みがやわらぎやすくなります。冷やしすぎ(長時間当て続けること)には注意してください。
2. 「動ける範囲で動く」ことが回復を早めます
「ぎっくり腰=絶対安静」と思われがちですが、実はここが大切なポイントです。近年の国際的なスポーツ医学・整形外科の考え方では、長く寝込んで安静にしすぎると、かえって回復が遅れる可能性が指摘されています。痛みの強い最初の1〜2日を過ぎたら、痛みの出ない範囲で立つ・歩くなど、少しずつ体を動かしていきましょう。適度に動かすことは血流の改善につながり、回復を後押しします。
3. 数日たっても痛みが強い・脚に症状が出てきたら受診を
多くのぎっくり腰は日ごとに楽になっていきます。逆に、数日たっても痛みが強いまま変わらない、むしろ悪化している、お尻や脚のしびれ・脱力が出てきた――という場合は、椎間板や神経が関わる別の原因が隠れていることがあります。我慢を続けず、ご相談ください。
症状のパターン別:考えられる原因と詳しいページ
「どんな場面で・どのように痛むか」は、原因を考えるうえで大きな手がかりになります。当てはまるパターンから、詳しい解説ページへお進みください(診断は診察のうえで行いますので、あくまで目安としてご覧ください)。
前かがみや長い座位で痛む、お尻から脚にしびれ・痛みが走る
前かがみの姿勢やデスクワークなどの長い座位で痛みが強まり、お尻から太もも・ふくらはぎにかけてしびれや痛み(坐骨神経痛)がある場合は、腰椎椎間板ヘルニアが考えられます。比較的若い世代にも多くみられます。 → 詳しくは腰椎椎間板ヘルニアへ
歩くと脚がしびれて休みたくなり、少し休むとまた歩ける
しばらく歩くとお尻から脚にしびれや痛みが出て、前かがみで少し休むとまた歩ける――この症状(間欠性跛行)は、脊柱管狭窄症の特徴で、中高年の方に多くみられます。 → 詳しくは脊柱管狭窄症へ
腰の重さ・痛みが3か月以上続いている、何度も繰り返す
はっきりしたきっかけがないまま腰の重さや鈍い痛みが長く続く場合や、ぎっくり腰を繰り返す場合は、姿勢・体の使い方・筋力など「痛みの背景」まで含めた評価と治療が大切になります。腰の病気の全体像・当院の腰診療・セルフケアは、腰の総合ページにまとめています。 → 詳しくは腰でお悩みの方へ
尻もち・転倒のあとから痛む(ご高齢の方)
前述のとおり、骨粗鬆症による圧迫骨折の可能性があります。早めのレントゲン検査をおすすめします。 → 詳しくは骨粗鬆症へ
受診までの間、どう過ごせばいいですか?
受診までの数日間は、次の点を意識して過ごすと安心です。
- 冷やす?温める?:急に痛めて熱っぽさがある時期(およそ48時間)は冷やすのが向いています。それを過ぎた時期や、慢性的な重だるさ・こわばりには、温めて血流を促すのが向いています。なお、温湿布と冷湿布はどちらも痛みの軽減に有効で、医学的に明確な優劣はないとされています。心地よく感じるほうを選んで問題ありません。
- 楽な姿勢を見つける:横向きで膝を軽く曲げる、あお向けで膝の下にクッションを入れるなど、腰が楽な姿勢で休みましょう。
- 同じ姿勢を続けない:座りっぱなし・立ちっぱなしは腰への負担が続きます。こまめに姿勢を変えましょう。
- できる範囲でふだんの生活を続ける:痛みの出ない範囲での家事や散歩は、回復の妨げになりません。むしろ動ける範囲で動くほうが経過が良いとされています。
- 重い物を持つ・強くひねる動作は避ける:痛みが落ち着くまでは、腰に大きな負担のかかる動作は控えましょう。
何日くらい様子を見てもいいですか?(受診の目安)
冒頭の「早めに受診したいサイン」がなければ、数日はセルフケアで様子を見ていただいて構いません。そのうえで、次のような場合は受診をおすすめします。
- 痛みが1〜2週間たっても良くならない、または悪化している
- お尻や脚のしびれ・痛みをともなう
- 脚に力が入りにくい、つまずきやすくなった
- 腰痛を何度も繰り返している
- 痛みで仕事・家事・睡眠に支障が出ている
「これくらいで受診していいのかな」と迷う程度の痛みでも、原因を確認しておくこと自体に意味があります。腰痛は原因によって対処が大きく異なるため、早めに原因がわかれば、対処もセルフケアも的確になります。
当院での診察の流れ
- 問診:いつから・どんなきっかけで・どんな場面で痛むか、しびれの有無、お仕事や生活の状況などを丁寧にうかがいます。
- 診察:腰の動き・押さえて痛む場所・神経の働き(脚の感覚・筋力・反射)などを確認します。
- 検査:レントゲンや超音波で腰の状態を確認します。神経の圧迫などを詳しく調べる必要がある場合は、連携施設でのMRI検査をご案内します。
- ご説明と治療方針:現在の状態と考えられる原因をわかりやすくご説明し、お薬・リハビリテーションなど、状態に合った治療をご提案します。治療の詳しい内容は、原因ごとの各ページ(上記)をご覧ください。
よくあるご質問
Q. コルセットは買ったほうがいいですか?
A. 痛みの強い時期に一時的に使うと、腰が支えられて動作が楽になることがあります。一方で、長期間頼り続けると体幹の筋力低下につながる可能性があるため、「痛い時期だけ使い、回復に合わせて外していく」のが基本です。市販品を購入する前に、まず診察で状態に合った使い方をご確認いただくことをおすすめします。
Q. 寝るときは、どんな姿勢が楽ですか?
A. 横向きになり、膝を軽く曲げて休む姿勢は、腰への負担が少なく楽に感じる方が多い姿勢です。あお向けの場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを入れると腰の反りがやわらぎます。うつ伏せは腰が反りやすいため、痛みの強い時期は避けたほうが無難です。いずれも「ご自身が楽に感じる姿勢」を優先して構いません。
Q. お風呂に入ってもいいですか?
A. 痛めた直後で腰に熱っぽさがある時期(およそ48時間)は、長い入浴で温めすぎると痛みが強まることがあるため、シャワーか短めの入浴にとどめるのが無難です。熱っぽさが落ち着いてからは、入浴で温めて血流を促すことはむしろ回復の助けになります。
Q. 仕事は休むべきですか?
A. 痛みで動けない最初の数日は無理をする必要はありませんが、完全に治るまで休み続ける必要はありません。動ける範囲でふだんの活動を続けるほうが回復が早いとされています。デスクワークであれば、こまめに立ち上がるなどの工夫をしながら続けられることが多いです。重い物を扱うお仕事の場合は、復帰の時期や作業の工夫について診察のうえでご相談ください。
Q. 痛み止めの市販薬を飲んでもいいですか?
A. 数日間の一時的な使用であれば、市販の痛み止めで痛みをしのぐこと自体は問題ないことが多いです。ただし、飲み続けないと過ごせない状態が続く場合は、原因の評価が必要なサインです。持病やほかのお薬との兼ね合いが心配な方も、遠慮なくご相談ください。
お仕事中・通勤中のけがの場合は、労災保険での治療になります。くわしくは労災(お仕事中・通勤中のけが)をご覧ください。