いぼ・水いぼ

「いぼ」と「水いぼ」は、どちらも子どもから大人まで見られる皮膚の症状ですが、原因となるウイルスも、できやすい場所も、治療の考え方も異なる別の病気です。どちらもウイルスによって起こるため、人にうつることがあり、放っておくと数が増えたり、家族やお友だちにうつしてしまったりすることもあります。一方で、時間の経過とともに自然に治ることがあるのも共通した特徴です。「様子を見ていいのか、治療を受けたほうがいいのか」で迷われる方が多くいらっしゃいます。このページでは、いぼと水いぼのちがい、それぞれの経過、保険診療でできる治療についてご説明します。

いぼ(ウイルス性疣贅)とは

いぼは、医学的には「ウイルス性疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが皮膚の小さな傷などから入り込むことで生じます。手や指、足の裏(足底)にできやすく、表面がザラザラとして硬く盛り上がるのが特徴です。足の裏にできたいぼは、体重がかかる刺激で内側に厚くなり、たこ・うおのめと見た目が似ることがありますが、原因も治療もまったく異なるため、自己判断せずに皮膚科でご相談いただくことをおすすめします。

いぼは、ウイルスが皮膚の深い部分にまで及んでいることが多く、放置すると徐々に大きくなったり、数が増えたりすることがあります。また、触れた手で別の場所を触ることで自分の体の中で広がったり(自家接種)、ご家族など周囲の方にうつったりすることもあります。気になる場合は、早めのご相談をおすすめします。

水いぼ(伝染性軟属腫)とは

水いぼは、医学的には「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と呼ばれ、いぼとは別のウイルス(伝染性軟属腫ウイルス)による感染症です。乳幼児から小学校低学年頃までのお子さまに多く見られ、体幹(胴体)や手足、わきの下などに、表面がつやつやとした小さな盛り上がりが多発するのが特徴です。中心が少しくぼんで見えることもあります。

水いぼは、プールでのビート板やタオルの共用、お友だちやきょうだいとの直接の触れ合いなどによって広がることがあるため、「プールでうつる病気」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。かゆみを伴うことがあり、かいた手で他の部位に触れることで、体の中でどんどん広がってしまうこともあります。

いぼと水いぼのちがい

いぼと水いぼは、どちらも「ウイルスによる皮膚のできもの」という点は共通していますが、原因ウイルス、好発年齢、できやすい場所、治療の考え方が異なります。

  • 原因:いぼ=ヒトパピローマウイルス(HPV)/水いぼ=伝染性軟属腫ウイルス
  • かかりやすい年齢:いぼ=子どもから大人まで幅広い/水いぼ=乳幼児〜学童期のお子さまに多い
  • できやすい場所:いぼ=手指・足底など/水いぼ=体幹・手足・わきの下など
  • 見た目:いぼ=表面がザラザラと硬い/水いぼ=表面がつるっとして光沢があり、やわらかい
  • 治療の中心:いぼ=液体窒素による凍結療法/水いぼ=摘除処置(経過観察を選ぶ場合もあります)

同じように見えても対応が異なるため、まずは診察でどちらの状態か、あるいは他の皮膚症状ではないかを確認することが大切です。

いぼ・水いぼはうつりますか?

はい、どちらもウイルスによる感染症のため、人にうつる可能性があります。いぼは、皮膚の小さな傷などを通じてウイルスが入り込むことで生じ、直接の接触によってうつることがあります。水いぼは、直接肌が触れ合うことのほか、タオルやビート板など肌に触れるものの共用によっても広がることがあります。

ご家族やきょうだい、集団生活を送るお子さま同士では、知らないうちにうつってしまうこともあります。過度に心配しすぎる必要はありませんが、患部を必要以上に触らない、タオルなどを共用しない、といった基本的な注意を心がけることが、広がりを防ぐうえで大切です。

いぼ・水いぼは自然に治りますか?

水いぼについては、体の免疫のはたらきによって、数か月から1〜2年ほどかけて自然に治っていくことがあると言われています。そのため、症状や年齢によっては、あえて処置をせず、経過をみるという選択肢を取ることもあります。ただし、自然に治るまでの間に数が増えたり、周囲のお子さまにうつしてしまったりする可能性があるため、経過観察が適しているかどうかは、お子さまの状態を見ながらご相談のうえで判断していきます。

いぼについても、体質やウイルスへの免疫のはたらきによって自然に治ることはありますが、水いぼに比べると時間がかかりやすく、放置しているうちに大きくなったり数が増えたりするケースも少なくありません。「そのうち治るだろう」とそのままにせず、気になる場合は一度ご相談いただくことをおすすめします。なお、症状の経過には個人差があり、治療を行った場合でも効果の出方には個人差があります。

保険診療でできる治療

いぼ・水いぼは、いずれも保険診療の範囲で治療を行うことができます。

いぼの液体窒素凍結療法

いぼの治療の中心となるのが、液体窒素を用いた凍結療法です。マイナス196度前後に冷却した液体窒素を、綿棒などを使っていぼの部分に押し当て、組織を凍結させることでいぼの縮小・脱落を促す処置です。処置の際にピリッとした痛みを感じることがあります。処置後は水ぶくれのようになったり、かさぶたになったりしながら、少しずつ小さくなっていきます。

水いぼの摘除処置

水いぼに対しては、専用のピンセットでつまんで直接取り除く「摘除」という処置を行う方法があります。処置の際に痛みを伴うことがあるため、お子さまの年齢や状態、水いぼの数や場所に応じて、どのように進めるか、痛みへの配慮も含めてご相談しながら方法を検討します。数が少ない場合や、様子を見ることが可能と判断される場合には、経過観察を選ぶこともあります。摘除を行うか、経過をみるかは一律に決まったものではなく、お子さま一人ひとりの状態に合わせて皮膚科専門医がご説明し、保護者の方とご相談しながら方針を決めていきます。

治療にはなぜ何度も通院が必要なのですか?

いぼも水いぼも、1回の処置ですべてが治療しきれるとは限りません。いぼは皮膚の奥にウイルスが及んでいることが多く、液体窒素による凍結療法は、1〜2週間程度の間隔で数回から、場合によってはそれ以上繰り返すことで、少しずつ小さくしていく治療です。1回で見た目に変化がなくても、根気よく治療を続けることで改善が期待できます。

水いぼも、一度にすべてを摘除できないことや、処置の時点ではまだ目に見えていない小さな水いぼが後から出てくることがあるため、複数回の通院が必要になる場合があります。どちらも「治療を始めたのに治らない」というわけではなく、ウイルスによる皮膚の病気の性質上、繰り返しの通院が前提となる治療であることをご理解いただければと思います。通院のペースや治療の進み方については、診察のたびにご説明します。

ご家庭でうつさない・広げないための注意(セルフケア)

いぼ・水いぼは、ご家庭での日々の心がけによって、広がりをある程度防ぐことができます。無理のない範囲で、次のことを心がけてみてください。

  • こすらない・かかない:気になっても、患部を強くこすったり、かき壊したりしないようにしましょう。かき壊すと、自分の体の他の部位や周囲の方にうつりやすくなります。
  • 患部を清潔に保つ:入浴時は患部を強く洗わず、やさしく洗い流す程度にとどめます。
  • タオル・衣類を共用しない:とくに水いぼは、タオルや衣類の共用によって広がることがあるため、ご家族間でも専用のタオルを用意すると安心です。
  • 爪を短く整える:かいてしまったときに、皮膚を傷つけにくくするためにも、お子さまの爪は短く整えておきましょう。
  • 絆創膏などで保護する:患部が衣類や物と擦れやすい場合は、絆創膏などで保護すると、こすれによる悪化やウイルスの拡散を防ぎやすくなります。

保育園・幼稚園・学校での対応(プールの可否や患部の保護方法など)は、園や学校ごとの方針によって異なることがあります。集団生活の中での配慮が必要かどうかは、診察時にお子さまの状態を確認しながらご相談ください。

受診の目安(こんなときはご相談ください)

次のような場合は、様子を見すぎずに一度ご相談ください。

  • 手足などに、表面がザラザラした硬いできものができ、大きくなってきた・増えてきた
  • 体や手足に、つやのある小さな盛り上がりが次々と増えている
  • かゆみが強く、かき壊してしまう
  • 患部が赤く腫れる、膿が出るなど、とびひのような症状を伴ってきた
  • 保育園・幼稚園・学校で集団生活上の対応が必要か知りたい
  • どちらの症状か自分では判断がつかず、たこ・うおのめなど他の皮膚症状と見分けたい

いぼ・水いぼは見た目が似た皮膚症状と間違われることもあるため、気になる場合は自己判断せず、皮膚科での診察をおすすめします。

よくあるご質問

Q. いぼは自分でつぶしたり、市販薬で治したりしてもよいですか?
自己判断で無理に取ろうとすると、周囲の皮膚を傷つけて悪化させたり、かえって広がったりすることがあります。市販薬で改善しない場合や、大きくなってきた場合は、皮膚科でのご相談をおすすめします。

Q. 水いぼはプールに入ってはいけませんか?
水いぼがあるからといって、一律にプールに入れないと決まっているわけではありません。園や学校によって考え方が異なることもありますので、集団生活での対応については診察時にご相談ください。

Q. 水いぼをつぶしても大丈夫ですか?
ご家庭で無理につぶすことはおすすめできません。中身に触れた手や器具を介して、他の部位や周囲の方にうつる可能性があります。処置が必要かどうかは、診察のうえでご相談しながら判断します。

Q. 凍結療法は痛いですか?
液体窒素を当てる際に、ピリッとした痛みや、処置後にヒリヒリした感覚を伴うことがあります。痛みの感じ方には個人差があります。お子さまの場合は、状態に応じて進め方をご相談しながら治療を行います。

Q. どのくらい通院すれば治りますか?
いぼ・水いぼの数や大きさ、できている場所によって個人差があります。数回の通院で落ち着く場合もあれば、根気よく繰り返し通院いただく場合もあります。経過を見ながら、通院のペースについてもご説明します。

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