関節リウマチ外来
朝、手の指がこわばる。関節が腫れて痛む。左右の同じ関節に症状が出る――こうした症状が続くとき、その原因のひとつとして関節リウマチが考えられます。関節リウマチは、早期に診断し、適切に治療を始めることが大切な病気です。
当院では、関節リウマチの診療に携わってきた整形外科専門医が、問診・診察・検査から診断、抗リウマチ薬による標準的な保険診療までを担当します。より高度な治療が必要な場合や、診断・治療方針に専門的な判断を要する場合は、専門医療機関と連携し、適切にご紹介します。「リウマチかどうかわからないけれど、気になる症状がある」という段階からのご相談も承ります。
こんな症状はご相談ください
次のような症状に心あたりがある場合は、一度ご相談ください。
- 朝、手の指などの関節がこわばる:起きてすぐ手が握りにくい、動かし始めがぎこちない、といった感覚が、しばらく(目安として30分〜1時間以上)続く
- 関節が腫れて痛む:手の指のつけ根や第二関節、手首などが腫れぼったく、押すと痛い
- 左右の同じ関節に症状が出る:右手だけでなく左手にも、というように対称に近いかたちで症状が出る
- 微熱・だるさ・食欲低下が続く:関節の症状とあわせて、体全体の不調を感じる
- 症状が数週間以上続いている:日によって波はあるものの、なかなかすっきりしない
これらはいずれも関節リウマチでみられることのある症状ですが、同じような症状は、変形性関節症・腱鞘炎・使いすぎなど、リウマチ以外の原因でも起こります。原因によって対応は異なりますので、自己判断で様子をみるよりも、診察と検査で確かめておくと安心です。
→ 症状そのものについて詳しくは朝の関節のこわばり(症状から探す)もご覧ください。
関節リウマチとは
関節リウマチは、本来は体を守るはずの免疫のはたらきに異常が起こり、関節を包む膜(滑膜)に炎症が生じる病気です。炎症が続くと関節の腫れや痛みが起こり、経過が長くなると、関節の変形につながることがあります。手の指や手首など小さな関節から始まることが多く、30〜50代の女性に比較的多くみられますが、男性やご高齢の方に発症することもあります。
病気の仕組みや原因、症状の詳しい解説は、関節リウマチ(疾患の解説)のページにまとめています。本ページでは、当院での診療の流れと、できること・連携することをご案内します。
関節リウマチの診療体制
関節リウマチは、症状の現れ方や進み方に個人差が大きく、変形性関節症や腱鞘炎など他の関節の病気と見分けが難しい場合がある病気です。当院では、問診・診察所見・血液検査・画像検査を総合的に評価しながら、診断から治療方針の決定まで一貫して担当します。
保険診療の範囲でできる治療(抗リウマチ薬による内科的な治療)は当院で行い、中等症以上で生物学的製剤やJAK阻害薬など、より専門的な設備・体制が必要な治療が望ましいと判断した場合は、必要に応じて専門医療機関と連携しながら治療を進めます。「まずは身近なクリニックで、正確な診断を受けたい」という方に、安心してご相談いただける診療体制を整えています。
早めの診断と治療開始が大切な理由
関節リウマチの治療は、この20〜30年で大きく進歩しました。かつては「痛みをやわらげながら付き合っていく病気」というイメージがありましたが、現在は、有効な薬を早い段階から適切に使うことで、炎症をしっかり抑え、関節の変形が進む前に病気の勢いをコントロールすることを目指せるようになっています。
関節の炎症は、症状が出てからの比較的早い時期に治療を始めるほど、抑えやすいと考えられています。「歳のせいかもしれない」「使いすぎだろう」と考えて受診が遅れてしまうことは少なくありませんが、気になる症状が続くときは、早めに一度診察を受けていただくことをおすすめします。検査の結果、リウマチではないとわかれば、それはそれで安心につながりますし、別の原因があればそちらの治療を進められます。
当院での診療の流れ
1. 問診・診察
いつから、どの関節に、どんな症状があるか、朝のこわばりの有無や続く時間、日常生活で困っていることなどを丁寧にお伺いします。そのうえで、関節の腫れ・熱感・押したときの痛み・動かせる範囲などを、一つひとつの関節について診察で確認します。
2. 血液検査・画像検査
診察の結果、関節リウマチが疑われる場合は、血液検査と画像検査を行います。
- 血液検査:リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体といったリウマチに関連する項目、炎症の程度を示す項目(CRP・血沈など)を調べます。
- 画像検査:レントゲンや関節エコー(超音波検査)などで、関節の腫れ・炎症の状態を確認します。必要に応じて、より詳しい画像検査を追加することがあります。
関節リウマチの診断は、どれかひとつの検査だけで決まるものではありません。症状の経過・診察所見・血液検査・画像検査の結果を組み合わせて、医師が総合的に判断します。
3. 治療(抗リウマチ薬による標準的な保険診療)
関節リウマチと診断された場合は、抗リウマチ薬(メトトレキサート〔MTX〕など)による治療を保険診療で行います。抗リウマチ薬は、免疫の異常なはたらきを調整し、関節の炎症を抑えることを目的としたお薬で、現在の関節リウマチ治療の基本となっています。症状の強い時期には、痛みや炎症をやわらげる補助的なお薬を併用することもあります。
4. 定期的なモニタリング
抗リウマチ薬による治療中は、効果の確認と副作用の早期発見のために、定期的な診察と血液検査を行います。関節の症状の変化とあわせて、肝臓や腎臓のはたらき、血球の数などを確認しながら、お薬の量や内容を調整していきます。「薬を出して終わり」ではなく、経過を継続的に確認しながら治療を続けることが、関節リウマチ診療ではとくに大切です。
※ 治療内容・効果には個人差があります。治療方針は診察のうえで決定します。
専門医療機関との連携
関節リウマチの治療薬には、抗リウマチ薬のほかに、生物学的製剤やJAK阻害薬といった選択肢があります。これらの薬剤は効果が期待できる一方、導入前に感染症などの詳しい精査が必要となるため、当院では、こうした治療が望ましいと判断した場合は、対応可能な専門医療機関へご紹介しています。
また、次のような場合も、無理に当院で抱え込まず、専門医療機関と連携します。
- 生物学的製剤・JAK阻害薬などの導入が必要と考えられる場合
- 検査を重ねても診断の確定が難しい場合
- 肺などの合併症の評価・治療が必要な場合
- 妊娠・出産を予定していて、専門的な治療調整が望ましい場合
紹介にあたっては、それまでの経過・検査結果を診療情報提供書にまとめてお渡ししますので、紹介先で一から検査をやり直す負担を減らせます。紹介先での治療が安定したあと、経過観察を当院で続けるといった形の連携も可能です。「まずは身近なクリニックで相談し、必要なときは適切な専門医療機関へ」という流れを、安心してご利用ください。
リウマチかどうか心配です。どんな検査でわかりますか?
「健康番組でリウマチの症状を見て不安になった」「家族にリウマチの人がいるので心配」というご相談は少なくありません。
上でご説明したとおり、関節リウマチの診断には、血液検査(リウマトイド因子・抗CCP抗体・炎症反応など)と画像検査を用います。ただし、注意していただきたいのは、血液検査だけでリウマチかどうかが確定するわけではないという点です。リウマトイド因子は、リウマチでない健康な方でも陽性になることがあり、逆に、関節リウマチの方でも陰性のことがあります。抗CCP抗体はリウマチとの関連がより強い項目ですが、これも単独で診断が決まるものではありません。
だからこそ、検査の数値だけでなく、症状の経過と関節の診察所見をあわせて、医師が総合的に判断することが大切です。健康診断などで「リウマトイド因子が陽性」と言われて不安な方も、症状とあわせて評価いたしますので、結果の用紙をお持ちのうえご相談ください。
関節リウマチは治る病気ですか?
現在の医学では、関節リウマチを完全に「治す(原因ごとなくす)」ことはまだ難しいとされています。一方で、治療の進歩により、「寛解(かんかい)」=炎症が抑えられ、痛みや腫れがほとんどない状態を目指せるようになりました。
寛解を維持できれば、関節の変形の進行を抑え、発症前と大きく変わらない日常生活を送ることも十分に期待できます。実際、現在の関節リウマチ治療は「症状を我慢しながら付き合う」ことではなく、「寛解を目指し、それを保つ」ことを目標に組み立てられています。
そのために大切なのが、早めに治療を始めること、そして自己判断で治療を中断せず、定期的な診察と検査を続けることです。症状が落ち着くと「もう薬はいらないのでは」と感じることもありますが、お薬の減量・中止は、炎症の状態を確認しながら慎重に判断する必要があります。気になることがあれば、診察の際に遠慮なくご相談ください。
通院の目安
- 治療開始後しばらくの間:お薬の効果と副作用を確認するため、比較的短い間隔(数週間に1回程度)で診察・血液検査を行います。
- 症状が安定してきたら:間隔をあけながら、定期的な診察・血液検査で経過を確認します。
- 通院の間に症状が強くなったとき:予約を待たずにご相談ください。関節の腫れ・痛みの悪化、発熱、咳が続くなどの場合は、早めの受診をおすすめします。
通院間隔は、病状やお薬の内容によって一人ひとり異なります。診察のうえで、無理なく続けられるペースをご提案します。
よくあるご質問
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 関節の症状は整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、専門的な治療が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介しますので、「どこに行けばいいかわからない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
Q. かかりつけのクリニックで診てもらうメリットは何ですか?
A. 関節リウマチは、他の関節の病気と症状が似ていることがあり、検査結果の解釈や治療方針の判断に専門的な知識を要します。同じ医師が、診断から抗リウマチ薬による治療、その後の経過管理までを一貫して担当することで、通院のたびに方針が変わるといった負担を減らせます。
Q. 薬はずっと飲み続けるのですか?
A. 関節リウマチの治療は、炎症を抑えた状態(寛解)を保つことが目標のため、基本的には継続的な内服が必要です。ただし、経過が良好な場合に、お薬の量を減らしていけることもあります。自己判断で中止すると症状がぶり返すことがあるため、減量・中止は必ず診察のうえで判断します。
Q. メトトレキサート(MTX)の副作用が心配です。
A. 口内炎・吐き気・肝機能の変化・血球の減少などが起こることがありますが、定期的な血液検査でこうした変化を早めに確認しながら治療を進めます。また、副作用をやわらげる目的で葉酸というビタミンを併用するのが一般的です。気になる症状が出たときは、次の予約を待たずにご連絡ください。
Q. 関節リウマチは遺伝しますか?
A. 関節リウマチは、体質(遺伝的な要因)と、喫煙などの環境要因が組み合わさって発症すると考えられています。ご家族にリウマチの方がいると発症の可能性がやや高くなるとされますが、必ず遺伝する病気ではありません。ご家族に患者さんがいて症状が心配な方は、お気軽にご相談ください。
Q. 症状はないのですが、健康診断でリウマトイド因子が陽性と言われました。
A. リウマトイド因子は、関節リウマチでない方でも陽性になることがある検査です。症状がなければすぐに治療が必要とは限りませんが、関節の症状が出てきたときに早く対応できるよう、一度診察で評価しておくと安心です。結果の用紙をお持ちのうえご相談ください。