首が痛い・回らない

「朝起きたら首が回らなくなっていた」「上を向くと首の後ろが痛む」「デスクワークのあと、夕方になると首が重い」——首の痛みは多くの方が経験する症状で、その大半は数日から数週間で落ち着いていきます。

ただし、首の症状の中には、早めに確かめたほうがよいものが混じっています。 分かれ目は「首だけの症状か」「腕や手にも症状が出ているか」です。このページでは、その見分け方をご説明します。

まず確かめたいこと:症状は首だけですか

首の痛みを整理するとき、最初に確認していただきたいのは次の点です。

首の痛み

① 首・肩の範囲だけに症状がある
筋肉や関節の負担によるものが多く、多くは経過とともに落ち着いていきます。

② 腕・手にしびれや痛みが広がっている
首から出た神経が圧迫されている可能性があります(神経根症)。左右どちらか片側に出るのが典型的です。

③ 手が使いにくい・脚も歩きにくい
首の中を通る脊髄そのものが圧迫されている可能性があります(脊髄症)。この場合は早めの確認が必要です。

②③に当てはまる場合、単なる寝違えや肩こりとは分けて考える必要があります。

早めに受診したほうがよいサイン

次のような症状がある場合は、様子を見ずにご相談ください。

手の使いにくさが出ているとき

  • ボタンがかけにくい、箸が使いにくい、字が書きにくい(巧緻運動障害といいます)
  • 両手にしびれがある
  • 歩きにくい、足がもつれる、階段が下りにくい
  • 尿が出にくい・回数が変わったなどの変化がある

これらは、脊髄が圧迫されているときにみられることがある症状です。進行すると回復に時間がかかることがあるため、早めに確かめておく価値があります。

そのほか、確認が必要なサイン

  • 腕や手のしびれ・痛みが2週間以上続く
  • 腕に力が入りにくい(物を落とす、腕が上がらない)
  • 首の痛みとあわせて発熱がある
  • 転倒や事故のあとから首が痛む
  • 安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める
  • がんの治療歴があり、新たに首の痛みが出た

考えられる原因

  • 首まわりの筋肉・関節の負担:長時間の同じ姿勢、寝ているときの姿勢、急な動きなどによるもの。いわゆる「寝違え」もここに含まれます。多くは数日から2週間程度で落ち着きます。
  • 頚椎症・頚椎症性神経根症:加齢に伴う頚椎の変化で、神経の通り道が狭くなるもの。首から腕にかけての痛みやしびれが出ます。詳しくは頚椎症のページをご覧ください。
  • 頚椎椎間板ヘルニア:椎間板が飛び出して神経を圧迫するもの。比較的若い方にも起こります。詳しくは頚椎椎間板ヘルニアのページをご覧ください。
  • 頚椎症性脊髄症:脊髄そのものが圧迫されるもの。手の使いにくさや歩きにくさが特徴です。詳しくは頚椎症性脊髄症のページをご覧ください。
  • むちうち(頚椎捻挫):交通事故などの衝撃によるもの。詳しくはむちうちのページをご覧ください。
  • 肩こりとして感じられるもの:首の痛みと肩こりは重なることが多く、区別しにくいことがあります。肩や首がこる・重いのページもあわせてご覧ください。

受診までの間、どう過ごせばよいですか

  • 痛む方向に無理に動かさない:「動かして治そう」と回旋を繰り返すと、かえって長引くことがあります。
  • 強く揉んだり、首を鳴らしたりしない:一時的に楽に感じても、炎症を強めることがあります。とくに腕のしびれを伴う場合は避けてください。
  • 枕の高さを見直す:高すぎる枕は首が前に曲がった姿勢を続けることになります。仰向けで顎が上がりも下がりもしない高さが目安です。
  • 画面の位置を上げる:ノートパソコンやスマートフォンを見下ろす姿勢は、首への負担が大きくなります。目線の高さに近づけてください。
  • こまめに姿勢を変える:30分から1時間に一度、肩を回す・首をゆっくり動かすだけでも違います。
  • 温めるか冷やすか:急に痛くなった直後で熱っぽさがあるときは冷やし、慢性的な張りには温めるのが一般的な目安です。

首の痛みと頭痛が一緒に出るのはなぜですか

「首が痛いときに、後頭部から頭にかけても痛くなる」というご相談は少なくありません。

首の後ろから後頭部にかけては、頭を支える筋肉と、そこを通る神経が密集しています。首まわりの筋肉が強く緊張すると、その影響が後頭部に及び、頭痛として感じられることがあります。頭の後ろから側頭部にかけて、締めつけられるような痛みが出るのが典型的です。

また、首から出る神経が刺激されることで、後頭部にピリピリとした痛みが走ることもあります。

こうした頭痛は、首の状態が落ち着くとあわせて軽くなっていくことが多いものです。ただし、次のような場合は、首以外の原因も考える必要がありますので、お伝えください。

  • 今までに経験のない、突然の激しい頭痛
  • 頭痛とあわせて、発熱・嘔吐・意識のもうろうがある
  • 片側だけの視野が欠ける、ろれつが回らない、手足が動かしにくい
  • 頭痛が日ごとに強くなっている

これらは首以外の原因を考える必要があるサインです。当てはまる場合は、脳神経内科や脳神経外科など、適切な診療科での確認が必要になりますので、まずはご相談ください。

当院での診察の流れ

いつから、どんなときに痛むか、腕や手に症状が広がっていないか、手の使いにくさや歩きにくさがないかをうかがいます。首を動かせる範囲、押して痛む場所を確認するほか、腕や手の感覚・筋力・反射を調べる神経学的な診察を行い、神経が圧迫されている可能性を確かめます。

レントゲンでは、頚椎の並び、椎間板のすり減り、骨のとげ(骨棘)の有無を確認します。首を前後に曲げた状態での撮影を行い、不安定さを確認することもあります。

神経の圧迫が疑われる場合には、MRI検査が必要になります。当院にMRIはありませんので、連携医療機関での撮影をご案内します。撮影後は、画像をもとに当院で結果をご説明します。

対応としては、痛みや炎症を抑える内服・外用、姿勢と負担のかけ方の見直し、首まわりの筋肉の緊張をやわらげるリハビリテーションを組み合わせます。脊髄症が疑われる場合や、神経症状が強い・進行している場合には、手術も含めた検討が必要になるため、専門的な治療を行う医療機関へご紹介します。

よくあるご質問

Q. 寝違えはどのくらいで治りますか?
多くは数日から2週間程度で落ち着きます。それ以上続く場合や、腕のしびれを伴う場合は、別の原因を考える必要がありますので、ご相談ください。

Q. 首を鳴らすクセがあります。よくないですか?
鳴らすこと自体で必ず悪くなるとは限りませんが、痛みやしびれがあるときに勢いよく動かすのは避けてください。神経が圧迫されている状態では、症状が強まることがあります。

Q. マッサージや整体に行ってもよいですか?
筋肉の張りによるものであれば楽になることもあります。ただし、腕のしびれや手の使いにくさがある場合は、原因を確かめてからにしていただくことをおすすめします。まず何が起きているかを確認したうえで判断されると安心です。

Q. 枕を変えれば治りますか?
姿勢の負担を減らすことは有効ですが、それだけで解決しないこともあります。症状が続く場合は、原因を確かめたうえで対応を考えましょう。

Q. 牽引(けんいん)はしてもらえますか?
症状と原因によっては選択肢になります。ただし、状態によっては適さない場合もありますので、診察のうえで判断します。

Q. 何科を受診すればよいですか?
首の痛みは整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、神経の症状の有無を確かめたうえで対応をご提案します。

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