スポーツ復帰サポート
スポーツによるケガや障害からの復帰には、痛みを取るだけでなく、段階的なリハビリで「再びパフォーマンスを発揮できる体」「再発しにくい体」をつくることが大切です。当院では、理学療法士が整形外科の診療と連携しながら、復帰までの道のりを一人ひとりの競技・目標に合わせて設計し、練習への部分参加から完全復帰、その後の再発予防までをサポートします。競技の種類や年代を問わず、部活動や市民ランナーなどアマチュアの方からご相談いただけます。
「痛みが消えた」=「復帰してよい」ではありません
スポーツのケガで最も注意したいのが、「痛みがなくなったから、もう大丈夫」と自己判断で練習に戻ってしまうことです。
痛みは回復の一つの目安にすぎません。痛みが引いた時点では、ケガをした組織の強度が十分に戻っていなかったり、安静にしていた期間の筋力低下や関節の硬さ、バランス能力の低下が残っていたりすることが少なくありません。その状態で受傷前と同じ強度の練習に戻ると、同じ場所を再び痛める(再受傷)、あるいはかばう動きによって別の場所を痛める、ということが起こりえます。
「ケガ → 不十分な状態での復帰 → 再受傷 → さらに長い離脱」という悪循環に入ってしまうと、結果的に競技から離れる期間はかえって長くなります。遠回りに見えても、体の状態を客観的に評価しながら段階を追って復帰することが、早く・長く競技を続けるための近道です。
段階的復帰の考え方
当院では、医師の診断のもと、理学療法士がおおむね次のような段階を追ってリハビリを進めます。各段階で「次に進んでよい状態か」を評価しながら進めることがポイントです。
- 評価:ケガの状態に加えて、関節の動き・筋力・柔軟性・動作のくせなどを評価し、復帰までの計画を立てます。
- 可動域と痛みの管理:まず関節の曲げ伸ばしの範囲(可動域)を取り戻し、腫れや痛みをコントロールします。
- 筋力・バランスの回復:患部とその周囲の筋力、片脚立ちなどのバランス能力を、左右差が小さくなることを目安に鍛え直します。
- 競技動作のトレーニング:走る・跳ぶ・切り返す・投げる・泳ぐなど、競技に必要な動作を、強度を上げながら段階的に再開します。
- 部分復帰 → 完全復帰:まずは制限つきの練習参加(部分復帰)から始め、問題がないことを確認しながら、試合を含めた完全復帰へ進みます。
どの段階からどのくらいのペースで進められるかは、ケガの種類・程度や競技によって一人ひとり異なります。「次に何をすればよいか」が常に明確な状態でリハビリを進められるよう、計画を共有しながらサポートします。
競技・部位別の復帰のポイント
競技によって体にかかる負担は異なるため、復帰のときに確認すべきポイントも変わります。一般的な考え方の例をご紹介します。
- ランニング(マラソン・陸上長距離):着地の衝撃が繰り返し積み重なる競技です。復帰時にいきなり受傷前の距離・ペースに戻すと再発しやすいため、距離やペースを少しずつ段階的に戻すこと、フォームや靴・練習環境の見直しをあわせて行うことが大切です。
- 球技(サッカー・バスケットボール・バレーボールなど):ダッシュ・ジャンプ・急な方向転換が多く、膝や足首のケガの再発が起こりやすい競技です。直線的に走れることと、切り返しやジャンプの着地が安定して行えることは別の段階として確認します。
- 野球・テニスなどの投球・スイング動作:肩・肘に繰り返しの負担がかかります。患部だけでなく、下半身や体幹から力を伝えるフォーム全体を見直すことが、再発予防につながります。投球数や練習量の管理も重要です。
- 水泳:関節への衝撃が少ない一方、肩などに繰り返しの負担がかかります。泳ぐ距離や種目を調整しながらの段階的な再開が基本です。関節に体重がかかりにくい運動として、他競技のケガからの回復期に取り入れられることもあります。
再発予防の体づくり
ケガの背景には、体の使い方や柔軟性の課題が隠れていることが少なくありません。同じ練習環境に戻る以上、患部を治すだけでは、同じケガを繰り返す可能性が残ります。当院のリハビリでは、復帰後を見すえて次のような点に取り組みます。
- フォーム・動作のくせの修正:理学療法士が動作を分析し、特定の部位に負担が集中する使い方を修正します。
- 柔軟性の改善:硬くなっている筋肉・関節を見つけ、ご自宅でも続けられるストレッチを指導します。
- 体幹・股関節まわりの機能強化:手足の土台となる体幹や股関節の安定性を高めることは、多くの競技でケガの予防につながると考えられています。
- セルフケアの習慣づくり:練習前後のウォームアップ・クールダウンなど、ご自身で続けられるコンディショニングの方法をお伝えします。
当院のサポート体制
- 医師と理学療法士の連携:整形外科専門医の診断・治療方針にもとづき、理学療法士が個別にリハビリを行います。回復の状況は医師と理学療法士が共有し、復帰の各段階を判断します。当院は日本水泳ドクター会議に所属する医師が在籍しており、スポーツ医療に継続して取り組んでいます。
- 体成分分析(InBody)による評価:筋肉量などを測定できる体成分分析装置を導入しており、動作の評価とあわせて、トレーニングによる体の変化を客観的に確認しながらリハビリを進められます。
- 栄養面からのサポート:当院の理学療法士はアスリートフードアドバイザーの資格を持ち、ケガからの回復やコンディション維持を食事・栄養の面からもアドバイスします。
- 治療選択肢との組み合わせ:難治性の腱の痛みには体外衝撃波を、組織の修復を後押しする選択肢としては再生医療(PRP療法)を、医師の判断のもとご提案することがあります。再生医療を行う場合も、その後の段階的な運動療法とあわせて計画することを大切にしています。 ※ 再生医療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。 → スポーツ障害の再生医療/体外衝撃波治療
成長期のアスリートの方へ
成長期のお子さんの体は、骨の端に「成長軟骨(骨端線)」というやわらかい部分があり、大人と同じ感覚で負荷をかけると、野球肘やオスグッド病など成長期特有の障害につながることがあります。
この時期のケガや痛みで大切なのは、「試合が近いから」と無理をさせないことです。痛みをがまんして練習を続けると、障害が進行して離脱期間がかえって長くなることがあります。当院では、成長期の体の特徴をふまえて、休むべき期間と「その間にもできるトレーニング」を具体的にお伝えし、練習量の調整について保護者の方や、必要に応じて指導者の方とも相談しながら進めます。
いつから走ってもいいですか?
リハビリの中で最も多いご質問の一つですが、答えは「ケガの種類・程度と、体の回復の状態によって異なります」となります。大切なのは、経過した日数だけで判断しないことです。
一般的には、①日常生活で痛みがない、②関節の可動域が戻っている、③筋力の左右差が小さくなっている、といった条件を確認したうえで、速歩き → 軽いジョギング → ランニング → ダッシュ、と強度を段階的に上げていきます。当院では、この「次の段階に進んでよいか」の判断を、評価にもとづいてお伝えしますので、自己判断で強度を上げる前にご相談ください。
保険診療と自費診療の区分
保険診療で対応できる範囲は、保険診療で行います。医師の診察と指示にもとづき、理学療法士がリハビリテーションを担当します。
一方、PRP療法など、保険診療ではカバーしきれない自費の治療とあわせて進める場合は、リハビリも自費診療のパーソナルトレーニングとしての対応になります。この場合は保険診療と異なり、部位を限定せず全身を通して見られるという違いがあります。
どちらに該当するかは、診察のうえでご説明します。保険診療のリハビリについては保険診療のリハビリをご覧ください。
よくあるご質問
Q. どのくらいの期間で競技に復帰できますか?
ケガの種類・程度、競技、リハビリの進み具合によって大きく異なるため、一律にはお答えできません。診察と評価のうえで、目安となる見通しと段階ごとの目標をお伝えし、経過に応じて調整していきます。復帰時期には個人差があります。
Q. 部活動レベルでも診てもらえますか?プロを目指す学生ですが対応できますか?
はい。競技の種類・年代・競技レベルを問わずご相談いただけます。部活動や市民ランナー、趣味でスポーツを楽しむ方も、それぞれの目標に合わせてサポートします。
Q. リハビリにはどのくらいの頻度で通う必要がありますか?
状態と目標によって異なります。通院でのリハビリに加えて、ご自宅や練習で行うセルフトレーニングを指導し、通院と自主練習を組み合わせて進めるのが基本です。
Q. チーム練習に部分的に参加しながらリハビリできますか?
はい。回復の段階に応じて「参加してよい練習内容」と「まだ控える内容」を具体的にお伝えし、部分参加から完全復帰へ段階的に進める形をおすすめしています。
Q. 今はケガをしていませんが、再発予防のために相談できますか?
過去のケガの再発が不安な方や、痛みが出やすい部位がある方もご相談いただけます。まず診察で状態を確認したうえで、必要な運動療法をご提案します。
この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)
このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。
- PRP療法:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回(計3回が標準)、高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円/回(いずれも税込)。料金は1部位ごとに発生します(例:両膝にPRGFを3回で660,000円)。別途、MRI評価・血液検査の費用がかかります。主なリスクは注射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血で、感染等のリスクは低いとされますがゼロではありません。治療効果には個人差があります。用いるPRP調製システムはいずれも国内で承認・認証を受けた医療機器です(Angel™ cPRP System 承認番号 30500BZX00054000/PRGF-Endoret® 認証番号 30500BZI00007000)。
- 体外衝撃波治療:対象となる疾患・条件により、保険診療となる場合と自由診療(保険適用外)となる場合があります。自由診療の場合の標準的な費用は、初回 5,500円/2〜3回目 8,800円/4回目以降の一連治療 5,500円(いずれも税込・2026年10月改定)。一連の治療は、前回の治療から2ヶ月以内を基準とし、2ヶ月を超えて間隔があいた場合はあらためて初回からの料金となります。主なリスクは照射部位の一時的な痛み・発赤・内出血です。治療効果には個人差があります。用いる機器は国内で承認を受けた医療機器です(BTL-6000 Focus® 承認番号 30300BZX00272000)。
- 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。