成長期の子どもの関節の痛み
「夜になると足が痛いと言って泣くが、朝にはけろっとしている」「部活のあと、膝の下が痛いと言う」「成長痛だから様子を見ましょう、と言われたけれど本当だろうか」——お子さんの痛みは、ご本人がうまく説明できないぶん、保護者の方にとって判断が難しいものです。
「成長痛」という言葉は、実際にはかなり広く使われています。 ですが、医学的に成長痛と呼べる痛みには、いくつかの特徴があります。そして、その特徴に当てはまらない痛みには、別の原因が隠れていることがあります。
このページでは、その切り分け方をご説明します。
医学的な「成長痛」の特徴
次の特徴に当てはまる場合、いわゆる成長痛と考えられることが多くなります。
- 年齢は3〜10歳ごろ
- 夕方から夜、寝る前に痛がる
- 朝になるとけろっとしている、日中は元気に走り回っている
- 痛む場所がはっきりしない、日によって変わる
- 両脚のことが多い(膝のまわり、ふくらはぎ、太もも)
- 腫れ・赤み・熱感がない
- さすったり抱っこしたりすると落ち着く
このタイプの痛みは、はっきりした原因が分からないものの、経過とともに自然に落ち着いていくことがほとんどです。お子さんが訴える痛みは本物ですので、「気のせい」「甘え」ではありません。 さすってあげる、話を聞いてあげるといった対応が、実際に痛みを和らげます。
「成長痛ではないかもしれない」サイン
一方、次のような場合は、成長痛とは別の原因を考えます。
場所がはっきりしている
「膝のお皿の下」「かかとの後ろ」「肘の内側」というように、毎回同じ一点を痛がる場合。成長痛は場所が変わるのが特徴なので、これは当てはまりません。
片側だけ
いつも同じ側が痛む場合。
日中・運動中に痛む
成長痛は夜に多いのが特徴です。走る・跳ぶ・投げるといった動作で痛む、運動のあとに痛むという場合は、スポーツによる負担を考えます。
腫れている・押すと痛い
腫れ、赤み、熱っぽさがある。押すと痛む一点がある。
動きが制限されている
正座ができない、しゃがめない、腕が上がらない、まっすぐ歩けない、足を引きずっている。
痛みが続いている
数週間以上、同じ場所の痛みが続いている。だんだん強くなっている。
全身の症状を伴う
発熱、体重が減る、元気がない、夜間に痛みで目が覚める。
年齢が合わない
10歳を超えてからの痛みは、成長痛としては説明しにくくなります。
成長期に多いスポーツ障害
成長期の骨には、成長軟骨(骨端線)という、これから骨になっていく部分があります。ここは大人の骨に比べて弱く、繰り返しの負担で傷みやすい場所です。
- オスグッド病:膝のお皿の下が出っぱって痛む。ジャンプやダッシュの多い競技に多くみられます。詳しくはオスグッド病のページをご覧ください。
- セーバー病:かかとの後ろが痛む。10歳前後、サッカーや陸上をするお子さんに多くみられます。
- 野球肘:投球動作で肘の内側や外側が痛む。とくに肘の外側の痛みは、放置すると関節の軟骨が傷むことがあるため注意が必要です。
- 腰椎分離症:腰を反らす動作で腰が痛む。スポーツをする中高生に多く、早い段階で見つけて対応することが大切です。
- シンスプリント:すねの内側が痛む。走る量が増えた時期に多くみられます。
- 疲労骨折:繰り返しの負担で骨に亀裂が入るもの。はっきりしたケガの瞬間がないのが特徴です。
これらは、「使いすぎ」というより「回復が追いつかないうちに負担が重なった」状態です。練習量、練習の内容、休養、シューズ、体の使い方など、複数の要因が関わります。
「休ませるべきか、続けさせるべきか」
保護者の方から最も多くいただくご質問です。
痛みを我慢して続けると、傷んだ場所がさらに悪くなり、結果的にもっと長く休むことになることがあります。一方で、まったく動かない期間が長引くと、体力や筋力が落ち、復帰に時間がかかります。
大切なのは、「休むか続けるか」の二択で考えないことです。実際には次のような選択肢があります。
- 競技は休むが、痛くない部位のトレーニングは続ける
- 練習量を減らす、特定の動作だけ避ける
- フォームや体の使い方を見直す
- 柔軟性の不足している部分を改善する
どこまでやってよいかは、傷んでいる場所と程度によって変わります。「痛みが出ない範囲で、できることを続ける」という形にできるかどうかを、診察のうえでご相談します。
大会や試合が近いなど、事情がある場合も遠慮なくお話しください。状況をふまえたうえで、何ができるかを一緒に考えます。
こんなときは受診してください
- 同じ場所を繰り返し痛がる
- 片側だけ痛む
- 運動中・運動後に痛む
- 腫れ・赤み・熱感がある
- 足を引きずっている、動きが制限されている
- 痛みが数週間以上続いている、強くなっている
- 発熱・体重減少・夜間の痛みを伴う
- 10歳を超えてからの痛み
- 保護者の方が心配だと感じている
最後の項目は、医学的な基準ではありませんが大切なことです。「大したことないかもしれないが心配だ」という理由で受診されて構いません。 何もなければ、それが安心につながります。
当院での診察の流れ
いつから・どこが・どんなときに痛むのか、痛む時間帯、スポーツの種目と練習量、成長の様子(最近急に背が伸びたか)などをうかがいます。お子さんご本人にも、痛む場所を指さしてもらいます。
そのうえで、押して痛む場所を確かめ、関節の動く範囲、腫れや熱感、柔軟性、姿勢や動作を確認します。成長期は体の柔らかさが急に変わる時期でもあるため、背が伸びた時期と痛みが出た時期の関係も手がかりになります。
レントゲンでは、成長軟骨の状態や骨の変化を確認します。当院では超音波(エコー)検査を院内で行えますので、腱や付着部の炎症の程度を、お子さんに負担をかけずに観察することができます。詳しい評価が必要な場合には、MRI検査についてご案内します。
対応としては、負担の調整、痛みへの対応、そして柔軟性や体の使い方を整えるリハビリテーションを組み合わせます。当院には理学療法士が常勤しており、保険診療の範囲で受けていただけます。成長期の障害は、痛む場所だけを見るのではなく、その負担を生んでいる体の使い方に目を向けることが再発予防につながります。
よくあるご質問
Q. 「成長痛だから様子を見て」と言われましたが、心配です。
成長痛と考えられる特徴に当てはまるかどうかを、あらためて確認する価値はあります。上に挙げた「成長痛ではないかもしれないサイン」に当てはまるものがあれば、ご相談ください。
Q. 練習を休ませたほうがよいですか?
傷んでいる場所と程度によります。完全に休む必要がある場合もあれば、量や内容を調整すれば続けられる場合もあります。診察のうえでご相談しましょう。
Q. 背が伸びると治りますか?
オスグッド病など、成長が終わる頃に落ち着いていくものはあります。ただし、その間ずっと痛みを我慢する必要はありませんし、悪化させると回復に時間がかかります。
Q. 子どもが痛いと言ったり言わなかったりします。
お子さんは、練習を休みたくない、心配をかけたくない、という気持ちから痛みを言わないことがあります。動きの変化(かばう、フォームが変わった、練習量が落ちた)が手がかりになりますので、気づいた点をお伝えください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
成長期のお子さんの関節や骨の痛みは整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、原因を確かめたうえで対応をご提案します。