足首の再生医療(捻挫後の慢性痛・変形性足関節症)
捻挫を繰り返す、捻挫のあとの足首の痛みが長引いている、歩くと足首が痛む――足首の痛みで、手術以外の選択肢を探している方へ。当院では、整形外科専門医が画像評価にもとづいて足首の状態を見きわめたうえで、お一人おひとりに応じた再生医療をご提案します。
このページでわかること
- 足首の痛みで再生医療を検討する場面はどんなときか
- 足首・足で検討できる主な治療(PRP療法・体外衝撃波との組み合わせなど)
- 適応の考え方(痛みの原因・進行度による判断)
- 足首の場合の治療の流れと、スポーツ復帰との関係
足首の痛みで再生医療を考えるのはどんなとき
足首の痛みの原因には、捻挫のあとに残る靭帯のトラブルや慢性的な痛み、軟骨のすり減り(変形性足関節症)、アキレス腱症(アキレス腱の慢性的な痛み)、足底腱膜炎(かかと・足の裏の痛み)などがあります。これらの多くは、まず保険診療(内服・外用・装具・運動療法・リハビリ)で対応できる場合があります。
再生医療を検討するのは、おもに次のような場面です。
- 捻挫を何度も繰り返し、そのたびに足首の痛みや腫れが長引いている
- 捻挫のあと数か月たっても、歩行や運動で足首の痛みが続いている
- 変形性足関節症と診断され、保存療法を続けているが改善が物足りない
- アキレス腱や足の裏の痛みが慢性化し、リハビリや投薬でもなかなか治らない
- 痛みで運動や仕事に支障があるが、手術はできれば避けたい
再生医療は、これらのうち「保存療法で改善が不十分なときの、手術以外の次の選択肢」として検討できる場合があります。まずは診察・レントゲン・超音波・MRI(連携施設での検査に対応)で、痛みの原因がどこにあるのかを見きわめることが出発点です。
※ 足首の再生医療は、保険診療にとって代わるものではありません。保存療法で改善が不十分なときの選択肢という位置づけです。
足首・足で検討できる主な選択肢
足首・足に対しては、状態に応じて次のような治療を検討します。それぞれの治療の詳しい内容(しくみ・製剤・リスクなど)は各詳細ページでご説明しています。
- PRP療法(多血小板血漿):ご自身の血液から血小板を濃縮して用いる治療です。足首では、変形性足関節症に対して関節の中へ注射する方法と、足首の靭帯損傷・アキレス腱症・足底腱膜炎などに対して腱や靭帯の周囲へ注射する方法があります。→ PRP療法
- Bio-Mechano Therapy(体外衝撃波×PRP):保存療法でなかなか改善しない難治性の腱の痛み(アキレス腱症・足底腱膜炎など)に対し、体外衝撃波とPRP療法を組み合わせて対応する考え方です。→ Bio-Mechano Therapy
- 幹細胞治療(MFAT):ご自身の脂肪組織を用いる治療です。進行した変形性足関節症で、より積極的な関節内環境の改善をめざす場合の選択肢となり得ます。培養して幹細胞を増やす培養幹細胞治療(ADSCs)(第2種再生医療等:培養脂肪由来幹細胞(ADSC)PB7250015)も選択肢となり得ます。→ 幹細胞治療(MFAT・培養幹細胞ADSCs)
※ どの治療が適しているかは、損傷の程度・痛みの原因・症状をもとに、整形外科専門医が画像評価のうえで判断します。治療効果には個人差があります。
捻挫は治ったはずなのに、足首の痛みが続くのはなぜですか?
捻挫は「よくあるケガ」と思われがちですが、その実態は足首の靭帯の損傷です。受傷直後の痛みや腫れがいったん落ち着いても、靭帯の傷が十分に治りきらないまま運動を再開すると、足首が不安定なままになり、捻挫を繰り返しやすくなります。そして、不安定な足首で体重や運動の負荷を受け続けるうちに、靭帯や関節の慢性的な痛みにつながったり、長い年月のなかで軟骨を傷めて変形性足関節症へ進んだりすることがあります。
こうした「捻挫のあとの長引く痛み」に対しても、まずは装具やリハビリなどの保存療法が基本です。そのうえで改善が不十分な場合に、傷んだ靭帯やその周囲に対するPRP療法を、手術以外の選択肢として検討できる場合があります。※自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。
足首の痛みの原因の見分け方や受診の目安については、足でお悩みの方もあわせてご覧ください。
適応の考え方(痛みの原因と進行度で判断します)
再生医療は、どんな足首にも同じように適しているわけではありません。適応の判断では、おもに次の点を確認します。
- 痛みの発生源:痛みのもとが関節そのもの(軟骨・滑膜)にあるのか、腱・靭帯(アキレス腱・足首の靭帯・足底腱膜)にあるのか。発生源によって、注射する場所や適した治療が変わります。
- 変形・損傷の程度:レントゲンで関節のすき間や変形の進み具合を、超音波やMRIで腱・靭帯・軟骨の状態を評価します。
- これまでの治療歴:装具・リハビリ・投薬など、保存療法への反応を確認します。
変形が非常に高度で日常生活への支障が大きい場合は、再生医療よりも手術が適していることもあります。その際は無理に自由診療をおすすめすることはなく、必要に応じて専門医療機関と連携・ご紹介します。足首の状態を正しく見きわめ、その方に合った選択肢をご提案することを大切にしています。
アキレス腱や足の裏の長引く痛みにも、再生医療はありますか?
はい、検討できる場合があります。アキレス腱症や足底腱膜炎のような「使いすぎによる腱の慢性的な痛み」は、負担をかけ続けると慢性化・難治化しやすいことが知られています。保存療法で十分な効果が得られない場合、当院では次のような選択肢をご提案できることがあります。
- 体外衝撃波治療:体の外から衝撃波を患部に照射し、血流の改善や組織の修復を促す治療です。難治性足底腱膜炎(診断から6か月以上経過し、保存療法で十分な効果が得られない場合)に限り保険適用となり、それ以外は自費診療です。→ 体外衝撃波治療
- Bio-Mechano Therapy(体外衝撃波×PRP):体外衝撃波の力学的な刺激で組織修復が起こりやすい環境を整えたうえで、PRPの成長因子による修復のサポートを組み合わせる考え方です。症状の経過が長い難治性の腱の痛みで、単独の治療では改善が物足りない場合に検討されます。※自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。→ Bio-Mechano Therapy
※ 組み合わせ治療はすべての方に必要なものではありません。診察・画像評価のうえで、医師が適応を慎重に判断してご提案します。
治療の流れ(足首の場合)
足首の再生医療は、いずれも入院不要の日帰りで行える治療です。おおまかな流れは次のとおりです(詳しい手順・所要時間は各治療の詳細ページや料金・治療の流れをご覧ください)。
- 診察・画像評価:症状・受傷歴・治療歴をお伺いし、レントゲン・超音波・MRIなどで足首の状態と痛みの原因を評価します。
- 適応と治療法の判断:整形外科専門医が、足首の状態に応じて適した治療(PRP・体外衝撃波との組み合わせなど)を判断し、ご提案します。
- ご説明・ご同意:治療内容・費用・リスクについて丁寧にご説明し、ご納得のうえで日程を決めます。
- 採取・準備:PRPは採血のうえ、院内で調製します。
- 足首への注射:超音波で確認しながら、関節の中、あるいは腱・靭帯の周囲に注射します。日帰りで当日帰宅できます。
- 経過観察・運動療法:治療後の経過を確認し、理学療法士と連携した運動療法を組み合わせてサポートします。
スポーツ復帰との関係
足首は、ジャンプの着地や方向転換など、スポーツで大きな負担がかかる部位です。足首の捻挫(靭帯損傷)やアキレス腱の痛みを抱えたまま競技を続けると、再発やほかの部位の故障につながることがあります。
当院では、スポーツによる足首のケガ・障害に対して、保存療法から再生医療まで、症状と競技の状況に応じた治療をご提案しています。競技・年代を問わずご相談いただけます。再生医療を行う場合も、治療そのものだけで終わりにはせず、理学療法士と連携して、可動域の回復から筋力・バランス、競技の動作へと段階を追ったリハビリを組み合わせ、復帰と再発予防までをサポートします。
復帰までの進め方の詳細はスポーツ復帰サポートを、スポーツのケガ・障害に対する再生医療の全体像はスポーツ障害の再生医療をご覧ください。
※ 復帰の時期や運動の内容は、足首の状態に応じて医師・理学療法士が判断します。効果には個人差があります。
保険診療(整形外科)との使い分け
足首の痛みは、まず保険診療(内服・外用・装具・運動療法・リハビリ)で対応できる場合があります。これらで改善が不十分なときに、手術以外の次の選択肢として再生医療を検討する、という順序が基本です。
→ 足でお悩みの方(整形外科) → 再生医療について(総合案内)
よくあるご質問
Q. 足首を捻挫した直後ですが、再生医療を受けられますか?
捻挫の直後は、まず診察と画像検査で靭帯や骨の損傷の程度を評価し、固定・装具・リハビリといった保険診療で対応するのが基本です。そのうえで痛みが長引く場合や捻挫を繰り返す場合に、再生医療を選択肢としてご検討いただけることがあります。まずは足首の状態の評価にお越しください。
Q. 足首のPRP療法は、どこに注射するのですか?
痛みの原因によって異なります。変形性足関節症のように関節そのものが痛みの原因の場合は関節の中に、足首の靭帯やアキレス腱・足底腱膜が原因の場合はその周囲に、超音波で確認しながら注射します。どちらが適しているかは、画像評価のうえで整形外科専門医が判断します。
Q. 変形がかなり進んだ足首でも受けられますか?
変形が非常に高度な場合は、再生医療よりも手術が適していることがあります。足首の状態を評価したうえで、無理のない選択肢をご提案し、必要に応じて専門医療機関へご紹介します。
Q. 治療のあと、いつからスポーツを再開できますか?
PRP療法のあと数日間は、激しい運動を控えることをおすすめしています。その後の再開時期は、足首の状態・競技・ポジションによって異なるため、医師・理学療法士と相談しながら段階的に進めます。効果の現れ方には個人差があります。
Q. 体外衝撃波治療は保険でできますか?
難治性足底腱膜炎(診断から6か月以上経過し、保存療法で十分な効果が得られない場合)に限り保険適用となります。それ以外の足底腱膜炎や、アキレス腱症などに対しては自費診療です。また、PRP療法と組み合わせるBio-Mechano TherapyはPRPが保険適用外のため自費診療となります。詳しくは体外衝撃波治療をご覧ください。
費用
| 治療 | 料金(税込) | 回数 |
|---|---|---|
| 白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®) | 110,000円/回 | 3回(7〜10日間隔) |
| 高用量PRP(Angel™ HD-PRP) | 330,000円 | 1回 |
| MFAT 1部位 | 600,000円 | 1回(当日完結) |
| MFAT 2部位 | 990,000円 | 1回(当日完結) |
| 培養幹細胞(ADSCs) | 2,200,000円 | 採取→2〜4週間培養→投与 |
いずれも自由診療(保険適用外)です。初診・再診料、MRI評価の費用は別途かかります。くわしくは再生医療の料金・治療の流れをご覧ください。日本国外にお住まいの方は料金が異なります。
この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)
足首に対する再生医療(PRP療法・Bio-Mechano Therapy・幹細胞治療)は、いずれも自由診療(保険適用外)です(体外衝撃波単独は一部疾患で保険適用の場合があります)。当院の再生医療は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、再生医療等提供計画が受理されたうえで提供しています(第2種再生医療等:多血小板血漿(PRP)PB7250013/第3種再生医療等:多血小板血漿(PRP)PC7250005/第2種再生医療等:微小細断脂肪組織(MFAT)PB7250025/第2種再生医療等:培養脂肪由来幹細胞(ADSC)PB7250015)。
- ① 自由診療である旨と標準的な費用:各治療は自由診療で、全額自己負担となります。標準的な費用は再生医療の料金・治療の流れをご覧ください。別途、画像評価(MRI等)や検査の費用が必要になる場合があります。
- ② 主なリスク・副作用:注射・照射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血などが生じることがあります。脂肪を採取する治療では、採取部位の皮下出血などが生じることがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同様の効果が得られるわけではありません。
- ③ 未承認の医薬品・医療機器を用いる場合がある旨:治療によっては、国内で承認されていない医薬品・医療機器・資材を用いる場合があります。該当の有無は各詳細ページに記載します。
- ④ 入手経路・国内の承認状況・諸外国での承認状況等:使用する製剤・機器の入手経路、国内での承認の有無、諸外国での承認状況等は、各詳細ページおよび当院の自由診療についてに記載します。