皮膚が厚く硬くなり粉をふく

「保湿しても良くならない」「粉をふくどころか、厚い皮がボロボロはがれる」「触ると硬く、盛り上がっている」——

このような状態は、単なる乾燥とは別のものかもしれません。

乾燥は、皮膚の水分が減った状態。
角化(かくか)は、皮膚が厚くなって剥がれ落ちる状態。

この2つは違います。そして、必要な対応も違います。

保湿剤は水分を保つためのものですから、厚くなった皮膚を薄くする力はありません。 「保湿しているのに良くならない」という方は、そもそも別の対応が必要な状態であることがあります。

乾燥と、どこが違うのか

乾燥(皮脂欠乏)厚く硬くなる(角化)
触った感じカサカサ、ざらつく盛り上がって、硬い
はがれ方細かい粉厚い皮が、はがれ落ちる
境界はっきりしないはっきりしていることが多い
赤み軽い赤みを伴うことが多い
保湿の効果効きます保湿だけでは足りません

「厚い」「硬い」「境界がはっきりしている」——この3つがそろえば、乾燥とは別の状態を考えます。

乾燥そのものについては、皮膚が乾燥して粉をふく・かゆいのページをご覧ください。

考えられるもの

乾癬(かんせん)

厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)が付いた、境界のはっきりした赤い盛り上がりが特徴です。

  • ひじ、ひざ、腰、頭に出やすい
  • こすれる場所、刺激を受ける場所に出る傾向
  • かゆみは、あることもないことも
  • 爪の変化(小さなくぼみ、厚くなる、剥がれる)を伴うことがあります
  • 関節の痛み、腫れ、朝のこわばりを伴うことがあります

名前に「せん」とありますが、うつる病気ではありません。 これは非常によくある誤解です。

詳しくは乾癬(かんせん)をご覧ください。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらと足の裏に、小さな膿のような粒が繰り返しでき、皮がむけて厚くなります。

  • 左右両方に出ることが多い
  • 爪の変化を伴うことがあります
  • 胸や鎖骨のあたりの痛みを伴うことがあります
  • 喫煙、扁桃や歯の慢性的な炎症が関わることがあります

詳しくは掌蹠膿疱症をご覧ください。

慢性の湿疹(苔癬化)

長く掻き続けた場所が、防御反応として厚く硬くなったものです。皮膚の線が深くなり、革のように見えます。詳しくは痒疹(ようしん)をご覧ください。

手足の水虫(角化型)

足の裏全体が、厚く硬くなり、粉をふくタイプの水虫です。かゆみが乏しいため、水虫と思われていないことがよくあります。

片方の手のひらだけが厚くなっている場合も、水虫のことがあります。

この場合、ステロイドを塗ると悪化します。 顕微鏡で確認すれば区別できますので、ご相談ください。

たこ・魚の目

繰り返し圧迫される場所に、限局してできます。靴や歩き方が関わります。

生まれつき、皮膚が乾燥しやすい体質のもの

子どもの頃から、季節を問わず全身が粉をふく場合、体質的なものであることがあります。

「治らない」と言われた方へ

このページをご覧の方の中には、すでに診断を受けていて、「治らない」「一生付き合う」と言われた方がおられるかもしれません。

その説明は、半分は正確で、半分は誤解を招きます。

正確な部分:乾癬や掌蹠膿疱症は、完全に消し去る治療は今のところありません。 良くなったり悪くなったりを繰り返す性質があります。

誤解を招く部分:「だから何もできない」わけではありません。

症状がほとんど出ない状態を、長く保つことは可能です。そして、そのための選択肢は、この10年ほどで大きく増えました。

考え方を、こう置き換えてください

「治す」ではなく、「良い状態を保つ」。

高血圧や糖尿病と同じです。「完全になくすこと」を目標にすると、うまくいっていても失敗に感じてしまいます。

目標は、日常生活で困らないこと。 人目が気にならないこと、痛みやかゆみで眠れる、着たい服が着られる——そこを目指します。

「以前に治療をあきらめた」という方も、あらためてご相談いただければと思います。

あわせて確認していただきたいこと

皮膚の症状に加えて、次のことがあればお伝えください。皮膚だけの問題ではないことがあります。

① 関節の痛み・腫れ・朝のこわばり
指、手首、膝、足首、腰など。皮膚の症状より先に、関節の症状が出ることもあります。

② 爪の変化
小さなくぼみ、厚くなる、濁る、剥がれる、変形する。

③ 胸や鎖骨のあたりの痛み

④ 喫煙、歯や扁桃の慢性的な炎症

⑤ 飲んでいるお薬
薬によって、皮膚の症状が誘発されることがあります。

関節の症状は、とくに重要です。 早めに把握できれば、対応の幅が変わります。「皮膚科だから関節の話は関係ない」ということはありません。 当院は整形外科も併設しており、必要に応じて連携できます。

こんなときはご相談ください

  • 保湿を続けても良くならない
  • 厚く盛り上がり、境界がはっきりしている
  • 皮がボロボロと厚くはがれる
  • 手のひら・足の裏に、膿のような粒ができる
  • 爪の変化を伴う
  • 関節の痛み、こわばりを伴う
  • 市販薬で悪化した
  • 範囲が広がってきた
  • 人目が気になり、生活に影響している

当院での診察の流れ

いつから、どこに、どのように出ているか、季節による変動、かゆみの有無、これまでの治療、ご家族の状況、喫煙、歯や扁桃の状態、関節の症状、飲んでいるお薬をうかがいます。

診察では、皮疹の分布、厚さ、鱗屑の性状、境界、爪と関節を確認します。

必要に応じて、顕微鏡で真菌の有無を確認します。水虫であればまったく別の治療になり、ステロイドは逆効果になるため、この確認は重要です。

判断が難しい場合には、組織を採って調べる検査や、血液検査を行うことがあります。

治療は、何であるかによって大きく異なります。 診察でご説明します。

日常で気をつけること

  • こすらない:ナイロンタオル、ゴシゴシ洗い。刺激を受けた場所に症状が出やすいという性質があります
  • 無理にはがさない:厚い皮を剥くと、その下から悪化します
  • 保湿は続けてください:それだけでは足りませんが、土台としては有効です
  • 掻かない工夫を:爪を短く、覆う
  • 乾燥する季節は、とくに丁寧に
  • 禁煙:掌蹠膿疱症では、経過に関わることがあります
  • お酒を控える
  • お風呂は、熱すぎない温度で

季節と、生活の中の悪化要因

厚く硬くなるタイプの皮膚の病気には、共通した悪化のパターンがあります。ご自身に当てはまるものがないか、確かめてみてください。

季節
秋から冬にかけて悪化する方が多くいらっしゃいます。空気の乾燥、暖房、日照時間の減少が重なります。逆に、夏は軽くなる方が多いのですが、これは日光の影響と考えられています。

ただし、日焼けするほど浴びるのは逆効果です。やけどをした部分に、新たに症状が出ることがあります。

こすれる場所に出る
ベルトのライン、下着のゴム、かばんのストラップ、正座をする方の膝、肘をつく癖のある方の肘——繰り返し刺激を受ける場所に、症状が出やすいという性質があります。

心当たりがあれば、その刺激を減らすだけで変わることがあります。

のどの炎症のあと
扁桃炎などのあとに、皮膚の症状が出たり悪化したりすることがあります。

お薬
飲み始めた薬をきっかけに、症状が出たり悪化したりすることがあります。心当たりがあれば、必ずお伝えください。

体重、お酒、たばこ
いずれも経過に関わることが知られています。すべてを一度に変える必要はありませんが、悪化が続いているときは、思い出してみてください。

心身の疲れ
これも要因のひとつですが、「ストレスが原因だから治らない」という話ではありません。 生活を責める必要はありません。

人目が気になっている方へ

厚く盛り上がって、粉が落ちる——この見た目は、日常生活に具体的な影響を与えます。

  • 黒い服を着られない
  • 電車で肩に落ちた粉が気になる
  • 半袖、スカートを避けている
  • 温泉、プール、ジムに行けない
  • 人に「うつるのでは」と思われていないか気になる

これらは「気にしすぎ」ではありません。 実際に生活が制限されているのですから、医学的な重症度とは別に、対応すべき問題です。

そして、はっきり申し上げます。乾癬も掌蹠膿疱症も、人にうつりません。 温泉もプールも、本来なんの問題もありません。

「うつると思われるのが怖くて行けない」——このお気持ちは、多くの方が抱えておられます。必要であれば、周囲への説明の仕方についても診察でご相談ください。

症状を抑えることで、こうした制限が外れていくこと。 それが治療の目的です。

よくあるご質問

Q. 人にうつりますか?
乾癬も掌蹠膿疱症も、うつりません。 「乾癬」という名前から誤解されやすいのですが、感染症ではありません。プールも温泉も、問題ありません。

Q. 保湿だけではだめですか?
厚くなっている状態には、保湿だけでは足りません。 ただし、保湿をやめる必要はありません。土台として続けてください。

Q. 市販薬でよいですか?
水虫の場合、ステロイドが入った市販薬は悪化させます。 また、何であるかによって必要な薬が違います。良くならない場合はご相談ください。

Q. 食事は関係ありますか?
食事だけで治る病気ではありません。ただし、お酒、喫煙、体重は経過に関わることがあります。

Q. 一生続きますか?
良くなったり悪くなったりを繰り返す性質があります。 ただし、症状が出ない状態を長く保つことを目標にできます。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談ください。関節の症状を伴う場合は、そのこともお伝えください。

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