巻き爪・陥入爪が痛い
「足の親指の爪の端が、皮膚に食い込んで痛い」「靴を履くと痛む」「腫れて、赤くなってきた」——
足の爪のトラブルは、歩くたびに痛むため、生活への影響が大きいものです。
このページでお伝えしたいのは、次の3点です。
① 「巻き爪」と「陥入爪」は、別のものです。 混同されがちですが、対応が変わります。
② 最も多い原因は、深爪です。 そして、痛いから端を切る → さらに食い込むという循環に入っている方が、とても多くいらっしゃいます。
③ 切り方を変えるだけで、変わることがあります。 まずそこからです。
巻き爪と陥入爪は、別のものです
| 巻き爪 | 陥入爪 | |
|---|---|---|
| 何が起きているか | 爪が横方向に、丸く巻いている | 爪の端が、横の皮膚に食い込んでいる |
| 痛み | ないこともある | 痛い。炎症を起こすと強く痛む |
| 見た目 | 爪が筒状・巻貝状に丸まる | 爪の脇が赤く腫れる、じくじくする |
| 主な原因 | 加齢、体重のかかり方、歩かないこと | 深爪、靴の圧迫、外傷 |
両方を併せ持っている方もいらっしゃいます。
痛みが強く、脇が赤く腫れているのは、陥入爪です。急いだほうがよいのは、こちらです。
深爪が、最大の引き金です
陥入爪で受診される方に、共通してみられることがあります。
「痛いから、食い込んでいる端を切っていた」
この行動が、症状を悪化させます。
なぜ悪化するのか
爪の端を短く切ると、その先の皮膚を押さえるものがなくなります。
すると、皮膚がその隙間に盛り上がってきます。
そして、伸びてきた爪が、その盛り上がった皮膚に突き刺さります。
→ 痛い → また切る → さらに皮膚が盛り上がる → もっと深く刺さる
この循環が、陥入爪の正体です。
つまり、「痛いところを切る」という、最も自然な対処が、そのまま原因になっています。
だから、まずこうしてください
痛くても、端を切らないでください。
爪が伸びて、皮膚を越えるところまで行けば、食い込みは止まります。そこまでが山場です。
正しい爪の切り方(スクエアオフ)
足の爪は、手の爪と同じように切ってはいけません。
① 長さは、指の先と同じか、わずかに長いくらい
指先から爪が見えなくなるのは、短すぎます。
② 角を切り落とさない
まっすぐ、横一直線に切る。 これをスクエアオフといいます。
③ 角は、やすりで軽く整えるだけ
とがった部分が引っかからない程度に。丸く切り込まないでください。
④ 入浴後に切る
爪がやわらかく、割れにくくなります。
⑤ 一度に切ろうとしない
少しずつ、何回かに分けて。
「短くしたほうが清潔で、楽そう」に見えますが、逆です。 足の爪は、指先を支える役割を持っています。短くしすぎると、指先の肉が持ち上がり、爪が食い込みやすくなります。
そのほかの原因
- 靴:先の細い靴、ヒール、小さすぎる靴、逆に大きすぎる靴(中で足が滑って前に詰まります)
- 歩き方・立ち方:足の指を使わずに歩いていると、爪に適切な力がかかりません
- 歩く量が少ない:爪は、下から押し返す力がないと巻いていきます
- 外傷:ぶつけた、重いものを落とした
- 爪の水虫:爪が厚く変形し、食い込みやすくなります
- スポーツ:サッカー、バスケット、ランニングなど、指先に繰り返し力がかかるもの
- 加齢:爪が硬く、厚くなります
- 体重の増加
こんなときは、早めにご相談ください
- 赤く腫れて、ズキズキ痛む
- 膿が出ている
- じくじくした、赤い盛り上がりができている
- 熱をもっている、発熱がある
- 歩くのがつらい、靴が履けない
- 糖尿病がある(足のトラブルが重くなりやすいため、早めに)
- 足の血流が悪いと言われたことがある
- 繰り返している
- 爪が厚く、変色している(爪の水虫が背景にあることがあります)
とくに、糖尿病がある方は、小さな傷から大きなトラブルに進むことがあります。 「爪くらい」と様子を見ずにご相談ください。
やらないでください
① 端を深く切る
前述のとおり、循環に入ります。
② 自分で爪を剥がそうとする
出血し、感染します。
③ 綿を無理に詰め込む
やり方によっては、かえって圧迫し、痛みが増します。
④ 化膿しているのに、市販の絆創膏で覆って放置する
蒸れて悪化します。
⑤ ネットで見た方法を自己流で試す
テープを使う方法や、器具を自分で装着する方法が出回っていますが、状態に合っていないと悪化します。
当院での診察の流れ
問診では、いつから痛むか、これまでの経過、爪の切り方、靴、仕事や運動の内容、繰り返しているか、持病(とくに糖尿病)とお薬をうかがいます。
診察では、爪の巻き方、食い込みの程度、皮膚の腫れ・膿・盛り上がりの有無、周囲の皮膚の状態、爪の水虫がないかを確認します。
必要に応じて、顕微鏡で真菌の有無を確認します。爪が厚くなっている場合、水虫が背景にあることがあり、そちらを治さないと繰り返します。
対応について
炎症を起こしている場合は、まず炎症を抑えることが優先されます。感染がある場合は抗菌薬を用います。
炎症が落ち着いてからは、爪の形と、切り方・靴・歩き方といった背景への対応を考えます。
巻き爪に対しては、爪の形を整えていく保存的な方法があります。 どの方法が適しているかは、爪の状態、厚さ、痛みの程度によって変わります。診察のうえでご説明します。
詳しくは巻き爪のページもご覧ください。
繰り返さないために
- スクエアオフで切る(前述)
- 短く切りすぎない
- 靴を見直す:夕方に、実際に履いて選ぶ(足は夕方むくみます)
- 足の指を使って歩く
- 爪の水虫があれば治す
- 足を清潔に、乾いた状態に保つ
- 体重の管理
切り方と靴——この2つを変えるだけで、繰り返しがかなり減る方がいらっしゃいます。
靴の選び方
切り方と並んで、靴が繰り返しを左右します。
サイズの考え方
- つま先に、1cm程度のゆとりがあること
- 小さすぎる靴:爪が押されて、食い込みます
- 大きすぎる靴:中で足が前に滑り、結局つま先が詰まります。 ここは見落とされがちです
- 幅が合っているか:長さだけで選ばない
選ぶタイミング
夕方に、実際に履いて選んでください。 足は夕方にむくむため、朝に合わせた靴は夕方きつくなります。
形
- 先の細い靴、ヒールの高い靴:親指に力が集中します
- 足の甲でしっかり留まるもの:ひも、ベルト。足が前に滑るのを防ぎます
- サンダル、スリッパでの長時間の歩行:指で挟んで歩くことになり、負担になります
靴下
- きつすぎるもの、小さいもの:爪を圧迫します
- 5本指の靴下:指が独立して動きやすくなります
スポーツをされる方
サッカー、バスケット、ランニング、登山——つま先に繰り返し強い力がかかる競技では、爪のトラブルが起こりやすくなります。競技用の靴のサイズも、あわせて見直してください。
歩き方も、関係しています
意外に思われるかもしれませんが、歩く量と歩き方が、爪の形に影響します。
爪は、下から地面に押し返される力を受けることで、平らな形を保っています。
ですから——
- 歩く量が少ない
- 足の指を使わずに歩いている
- 寝たきり、車椅子の生活
こうした状態では、押し返す力が減り、爪は少しずつ巻いていきます。
ご高齢の方で、歩く量が減ってから巻き爪が進んだというのは、よくある経過です。
できる範囲で、足の指を使って歩く。 大げさなことをする必要はありませんが、この意識があるだけでも違います。
足の指でタオルをたぐり寄せるといった簡単な運動も、指を使う感覚を取り戻す助けになります。
なお、痛みが強い時期に無理に歩く必要はありません。 まず痛みを抑えることが先です。
よくあるご質問
Q. 痛いのですが、切ってはいけませんか?
食い込んでいる端を切ると、その場は楽になりますが、繰り返す原因になります。 つらい場合は、切らずにご相談ください。
Q. 手術しないと治りませんか?
まず、切り方と靴の見直し、そして保存的な対応から始めます。 状態によって進め方が変わりますので、診察でご相談ください。
Q. 保険は使えますか?
炎症や感染に対する治療は保険診療です。方法によっては自費になるものもあります。診察の際にご説明します。
Q. 何度も繰り返します。
切り方、靴、爪の水虫、歩き方——背景が残っていると繰り返します。 そこへの対応が必要です。
Q. 子どもの爪が食い込んでいます。
お子さんにも起こります。深爪、靴のサイズが合っていないことが多く、そこを見直すことで改善することがあります。
Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談いただけます。赤く腫れて痛む、膿が出ている場合は、早めにお越しください。