肩が上がらない

「腕が上がらない」「肩を動かすと痛い」という症状は、五十肩(肩関節周囲炎)や腱板の傷み、腱への石灰の沈着、首からくる神経の症状など、原因によって適した治療が異なります。自然によくなるものもあれば、早めの対応が必要なものもあり、まず大切なのは「いま、どう動けばよいか」を知ることです。

このページでは、すぐに受診していただきたいサイン、「上がらない」のパターンから考えられる原因、受診までのご自宅での過ごし方、受診されたときの診察の流れをまとめました。原因ごとのくわしい解説は、それぞれの病気のページでご覧いただけます。

まず確認してください:こんなときは早めの受診をおすすめします

次のような場合は、様子を見ずに早めに整形外科を受診してください。

肩の痛み
  • 転倒・けがのあとから、急に腕が上がらなくなった:肩を支える腱(腱板)が切れている、骨や関節を傷めているなどの可能性があります。
  • 腕に力がまったく入らない・支えられない:腱や神経の傷みが背景にあることがあります。
  • 夜、眠れないほどの激しい痛みがある:強い炎症が起きているサインです。痛みをやわらげる治療を早く始めることが、その後の回復にも大切です。
  • 肩から腕にかけてのしびれをともなう:肩ではなく首(頸椎)の神経が関わっている可能性があります。
  • 発熱をともなって肩が激しく痛む:まれですが、関節の感染など急いで対応すべき病気のことがあります。

これらに当てはまらない場合でも、痛みや上がりにくさが続くときは、がまんを重ねる前にご相談ください。

「上がらない」のパターンから考えられる原因

ひとくちに「肩が上がらない」といっても、上がらなくなり方にはいくつかのパターンがあり、それぞれ考えられる原因が異なります。ご自身の症状に近いものからご覧ください。

痛くて上がらない・夜も痛む・だんだん固くなってきた

腕を上げようとすると痛みが走る、夜に肩がうずいて目が覚める、後ろに手が回らなくなってきた――40〜60代でこのパターンの場合、まず考えられるのは五十肩(肩関節周囲炎)です。時期によって症状と治療の優先順位が変わる病気で、時期に合った対応が大切です。 → くわしくは五十肩(肩関節周囲炎)へ

力が入らず上がらない・支えてもらえば上がる

腕を上げる途中で痛む、自分では上げにくいが支えてもらえば上がる、力が入らない――このような場合は、肩を動かし支える腱の傷み、腱板損傷(腱板断裂)が考えられます。転倒などのけがで起こるほか、はっきりしたきっかけなく加齢とともに傷んでいくこともあります。 → くわしくは腱板損傷へ

ある日突然、激痛でまったく動かせなくなった

前ぶれなく夜も眠れないほどの激痛が出て、腕をほとんど動かせない場合は、腱にたまったカルシウムの沈着が急に強い炎症を起こす石灰沈着性腱板炎の可能性があります。見た目には分かりませんが、レントゲンや超音波で確認できます。 → 肩の病気の全体像は肩でお悩みの方へ

しびれをともなう・首を動かすと肩や腕に響く

肩から腕、手にかけてのしびれがある、首の向きを変えると痛みが強くなる場合は、肩そのものではなく首(頸椎)からくる神経の症状の可能性があります。この場合は首側からの評価が必要です。 → くわしくは首でお悩みの方へ

実際には、これらが合併していることや、症状だけでは見分けがつきにくいことも少なくありません。パターンはあくまで目安として、最終的には診察と画像検査で原因を確認します。

「そのうち治る」と様子を見ていて大丈夫ですか?

肩の症状は、「五十肩は自然に治ると聞いたから」「歳のせいだから」と、受診せずに様子を見られがちな症状です。たしかに、時間の経過とともに改善していくものもあります。

一方で、注意したい点が2つあります。ひとつは、痛みをかばって肩を動かさない期間が長くなると、関節を包む膜が縮んで肩が固まってしまう(拘縮)ことがあり、固まってからの回復には時間がかかりやすいことです。もうひとつは、五十肩だと思っていた症状が、実は腱板の傷みなど別の原因だったというケースがあることです。原因が違えば、適した対応も変わります。

不安をあおる意図ではありませんが、早い段階で原因が分かれば、痛みの期間を短くし、固まるのを防ぐ対応をとりやすくなります。2週間ほど様子を見ても痛みや上がりにくさが変わらない場合は、一度ご相談ください。

受診までのご自宅での過ごし方

受診までのあいだは、次の点を心がけてください。

  • 無理に回さない・がまんして動かさない:「動かさないと固まる」と聞いて、痛みをこらえて腕をぶんぶん回す方がいらっしゃいますが、炎症が強い時期に無理に動かすと、かえって痛みが強まることがあります。痛みのない範囲で日常の動作をする程度にとどめ、本格的な体操は原因が分かってからにしましょう。
  • 温める・冷やすの使い分け:けがの直後や、急に強く痛んで熱っぽいときは、冷やすほうが向いています。慢性的な痛みやこわばりには、入浴や蒸しタオルで温めて血流をよくするほうが向いています。医学的には温・冷どちらも痛みの軽減に有効とされており、症状とタイミングで使い分けます。
  • 湿布は手持ちのもので構いません:温湿布・冷湿布に明確な優劣はないと報告されています。使い心地のよいほうをお使いください。
  • 重いものを持つ・高い場所の作業は控えめに:肩に強い負担のかかる動作は、受診まではできるだけ避けてください。

受診されたときの診察の流れ

当院では、次のような流れで原因を確認します。

  1. 問診:いつから・きっかけの有無・どの動きで痛むか・夜間の痛みやしびれの有無・お仕事やスポーツの状況をうかがいます。
  2. 診察:肩の動く範囲、力の入り方、痛みの出る方向を確認します。自分で上げた場合と支えた場合の違いなども、原因を見分ける手がかりになります。
  3. 画像検査:レントゲンで骨や石灰沈着の有無を、超音波(エコー)で腱や炎症の状態をその場で確認します。より詳しい評価が必要な場合は、MRI検査をご案内します。
  4. 治療のご提案:原因と時期に応じて、お薬・注射・理学療法士によるリハビリテーションなどの保存療法(保険診療)を基本にご提案します。保存療法を続けても改善が不十分な場合の選択肢(体外衝撃波治療や再生医療など)については、それぞれの病気のページでご説明しています。

※ 再生医療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。

受診の際は、「いつから・どんなきっかけで・どの動きがつらいか・夜眠れるか」をメモしてお持ちいただくと、診察がスムーズです。服用中のお薬がある方は、お薬手帳もお持ちください。

よくあるご質問

Q. 動かしたほうがいいですか? 安静にしたほうがいいですか?
A. 原因と時期によって答えが変わります。強い痛みや夜間の痛みがある時期は、無理に動かすと炎症が強まることがあるため、痛みのない範囲の日常動作にとどめるのが原則です。一方、痛みが落ち着いた時期には、動かして固まりを防ぐことが大切になります。自己判断が難しいところですので、診察で「いまはどちらの時期か」を確認したうえでご案内します。

Q. 着替えがつらいです。コツはありますか?
A. 前開きの服を選び、着るときは痛いほうの腕から袖を通し、脱ぐときは痛くないほうの腕から抜くのが基本です。かぶりの服より、ボタンやファスナーの服のほうが肩への負担が少なくなります。エプロンや下着など後ろで留めるものは、前で留めてから回すと楽になります。

Q. 夜、肩が痛くて眠れません。寝る姿勢の工夫はありますか?
A. 痛いほうの肩を下にしないで休みましょう。あお向けの場合はひじの下にたたんだタオルやクッションを入れて腕を少し支える、横向きの場合は抱き枕を抱えるようにすると、肩が楽な位置に保たれ、眠りやすくなることがあります。夜の痛みが続く場合は、治療で炎症をおさえたほうがよい状態のことが多いため、早めにご相談ください。

Q. まずマッサージや整骨院で様子を見てもいいですか?
A. 筋肉の疲れによる症状であれば楽になることもありますが、「腕が上がらない」「力が入らない」「夜も痛む」といった症状は、関節や腱そのものに原因があることが多く、まず原因を確認しておくことをおすすめします。整形外科ではレントゲンや超音波などの画像検査で原因を評価できます。

Q. どのくらい続いたら受診すべきですか?
A. けがのあとに急に上がらなくなった場合や、力が入らない・激痛・しびれ・発熱をともなう場合は、期間を待たずに受診してください。それ以外でも、2週間ほど様子を見て痛みや上がりにくさが変わらない場合は、一度受診をおすすめします。

この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)

このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。

  • 体外衝撃波治療:対象となる疾患・条件により、保険診療となる場合と自由診療(保険適用外)となる場合があります。自由診療の場合の標準的な費用は、初回 5,500円/2〜3回目 8,800円/4回目以降の一連治療 5,500円(いずれも税込・2026年10月改定)。一連の治療は、前回の治療から2ヶ月以内を基準とし、2ヶ月を超えて間隔があいた場合はあらためて初回からの料金となります。主なリスクは照射部位の一時的な痛み・発赤・内出血です。治療効果には個人差があります。用いる機器は国内で承認を受けた医療機器です(BTL-6000 Focus® 承認番号 30300BZX00272000)。
  • 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。

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