突き指・打撲・ねんざ

「ボールが指に当たって腫れてきた」「階段を踏み外して足をひねった」「ぶつけたところが青くなってきた」——日常のなかで起こるこうしたケガは、多くの場合、数日から数週間で落ち着いていきます。

ただし、「軽いケガ」と思っていたものが、実は骨折や靭帯の断裂だったということは珍しくありません。とくに指のケガは、初期の対応を誤ると、あとから曲がりにくさや変形が残ることがあります。

このページでは、受傷直後にご自身でできることと、受診したほうがよいサインをご説明します。

突き指を引っ張ってはいけません

まず、最も広く信じられている誤りからお伝えします。

突き指をしたときに、指を引っ張るのは避けてください。

「突き指は引っ張って治す」という言い伝えは、いまも根強く残っています。ですが、突き指の中には、次のような状態が含まれています。

  • 骨折(指の骨が折れている)
  • 脱臼(関節がずれている)
  • 腱の断裂(指を伸ばす腱が切れている)
  • 靭帯の損傷

これらの状態で引っ張ると、ずれを大きくしたり、断裂を広げたりすることになります。とくに、指を伸ばす腱が切れている場合(マレット指)、引っ張ることで治療が難しくなることがあります。

正しい対応は、引っ張らず、動かさず、冷やして固定し、確かめることです。

受傷直後にできる応急処置

ケガをした直後の対応は、その後の回復に影響します。次の4つを覚えておいてください。

① 安静にする(Rest)

痛む動作をやめ、患部を動かさないようにします。無理に動かして「大丈夫か確かめる」ことはしないでください。

② 冷やす(Icing)

保冷剤や氷嚢をタオルで包み、15〜20分を目安に当てます。感覚が鈍くなってきたら一度外し、1〜2時間おきに繰り返します。

  • 直接肌に当てないでください(凍傷の危険があります)
  • 温めるのは受傷直後には行わないでください。血流が増えて腫れが強まります
  • お風呂で温める、揉む、湿布を貼って動かす、といった対応も、受傷直後は避けてください

③ 圧迫する(Compression)

包帯や弾性テープで軽く圧迫すると、腫れが広がりにくくなります。きつく巻きすぎないでください。指先の色が悪くなる、しびれる、といった場合はすぐにゆるめてください。

④ 挙上する(Elevation)

患部を心臓より高い位置に保ちます。手であればクッションの上に載せる、足であれば横になって足の下に枕を入れる。腫れの広がりを抑える効果があります。

この4つの頭文字をとってRICE(ライス)処置と呼ばれます。受傷から48時間程度は、この考え方で過ごしてください。

こんなときは受診してください

「これくらいなら大丈夫」と判断される前に、次のいずれかに当てはまらないか確認してください。

骨折・脱臼・腱の断裂を疑うサイン

  • 見た目が変形している、指や関節が曲がった方向を向いている
  • 体重をかけられない、その指・手足が使えない
  • 自分の力で伸ばせない・曲げられない(腱が切れている可能性があります)
  • 押すと一点だけ、強く痛む場所がある
  • 急速に強く腫れた
  • 指の爪の下が黒く内出血している
  • しびれや、感覚が鈍い部分がある
  • 皮膚が切れていて、傷が深い

そのほか受診の目安

  • 腫れや痛みが数日たっても引かない・強くなる
  • 1週間たっても元のように動かせない
  • 同じ場所を繰り返しひねる・突き指する
  • お子さんのケガで、痛がって使わない

「軽いはず」が見落としにつながりやすい理由

打撲・捻挫・突き指は、いずれも日常的で、経験があるがゆえに自己判断されやすいケガです。

ですが、レントゲンを撮ってみると骨折が見つかることは珍しくありません。とくに、次のような場合は要注意です。

  • 指の骨折:小さくずれた骨折は、腫れているだけに見えることがあります。放っておくと曲がったまま固まることがあります。
  • 足首の靭帯損傷:捻挫として様子を見た結果、靭帯が緩んだまま治り、繰り返しひねるようになることがあります。詳しくは足首をひねった・繰り返すのページをご覧ください。
  • お子さんの骨折:成長期の骨には軟骨の部分(成長軟骨)があり、大人とは異なる折れ方をします。レントゲンで分かりにくいこともあります。
  • 高齢の方の転倒:骨がもろくなっていると、軽い転倒でも骨折することがあります。

「大したことはないと思うが、念のため」という受診の仕方で構いません。確かめて何もなければ、それが安心につながります。

部位ごとの注意点

同じ「軽いケガ」でも、部位によって気をつけたい点が異なります。

指

突き指で最も注意したいのは、自分の力で指を伸ばせるかどうかです。第一関節が曲がったまま伸ばせない場合、指を伸ばす腱が切れている(マレット指)可能性があります。この場合、適切な期間の固定が必要で、対応が遅れると変形が残ることがあります。腫れているだけに見えても、伸ばせるかどうかは必ず確かめてください。

足首

外側のくるぶしの下あたりが腫れて痛むのが典型的な捻挫です。ただし、くるぶしの骨そのものを押して強く痛む場合や、体重をかけて4歩以上歩けない場合は、骨折の可能性が高まります。「歩けるから骨折ではない」とは限りませんのでご注意ください。

膝

膝をひねったあと、受傷直後から短時間で急速に腫れた場合は、関節の中で出血している可能性があり、靭帯や半月板の損傷が疑われます。詳しくは膝に水がたまる・腫れるのページもご覧ください。

肩

転倒して手をついたあと、腕が上がらない・力が入らない場合は、腱板の損傷や骨折の可能性があります。「打ち身だろう」と数週間様子を見られる方が多い部位です。

胸・肋骨

深呼吸や咳、寝返りで痛む場合は、肋骨の骨折が疑われます。肋骨は固定が難しく、レントゲンでも初期には分かりにくいことがあります。痛みが強い場合はご相談ください。

当院での診察の流れ

いつ・どのような状況で・どこをどうしたのかをうかがいます。受傷のしかた(どの方向に力がかかったか)は、どこを傷めたかを推測するうえで重要な情報ですので、覚えている範囲でお伝えください。

そのうえで、腫れ・変形・内出血の範囲を確認し、押して痛む場所を特定します。自分の力で動かせるか、他人が動かしたときはどうか、関節のぐらつきがないかを確かめます。

レントゲンでは骨折や脱臼の有無を確認します。当院では超音波(エコー)検査を院内で行えますので、レントゲンにうつらない腱や靭帯の状態を、その場で観察することができます。骨折が疑われるもののレントゲンでははっきりしない場合や、靭帯・腱の損傷を詳しく調べる必要がある場合には、MRI検査についてご案内します。

対応としては、必要に応じて固定(テーピング、シーネ、装具)を行い、痛みへの対応をご提案します。指の腱の断裂や、ずれのある骨折など、専門的な処置が必要な場合には、適切な医療機関へご紹介します。 固定を外したあとに動きが戻りにくい場合には、リハビリテーションで段階的に回復を図ります。当院には理学療法士が常勤しており、保険診療の範囲で受けていただけます。

よくあるご質問

Q. 湿布を貼っておけば大丈夫ですか?
湿布は痛みを和らげる助けにはなりますが、骨折や腱の断裂を治すものではありません。上に挙げたサインに当てはまる場合は、湿布で様子を見ずにご相談ください。

Q. どのくらい冷やせばよいですか?
1回15〜20分を目安に、1〜2時間おきに繰り返します。受傷から48時間程度が目安です。それ以降で腫れが引いてきたら、温めることで血流を促す段階に移ります。

Q. 腫れが引いたら治ったということですか?
腫れが引いても、靭帯や腱の修復は続いていることがあります。動かしたときの痛みや、力の入りにくさが残っている場合は、ご相談ください。

Q. スポーツはいつから再開できますか?
ケガの種類と程度によって異なります。痛みが引いたからと早く戻ると、同じ場所を再び傷めやすくなります。段階的な復帰の目安を診察でご案内します。

Q. 子どもが転んで手をつき、痛がっています。
お子さんは痛みをうまく言葉にできないことがあります。その手を使わない・かばっている場合は、骨折の可能性がありますので、受診をおすすめします。

Q. 何科を受診すればよいですか?
突き指・打撲・捻挫は整形外科でご相談いただけます。当院では整形外科専門医が診察・検査を行い、骨や靭帯の状態を確かめたうえで対応します。

お仕事中・通勤中のけがの場合は、労災保険での治療になります。くわしくは労災(お仕事中・通勤中のけが)をご覧ください。

関連ページ