膝が痛い
「膝が痛いけれど、すぐに病院へ行くべき?」「冷やしたほうがいい?温めたほうがいい?」――いま膝の痛みでお困りの方のために、このページでは、急いで受診したほうがよいサイン、様子を見てもよい場合の目安、受診までのご自宅での過ごし方、そして受診したら実際に何をするのかを、順番にご説明します。
膝の痛みは、軟骨・半月板・靭帯・腱・滑膜(関節を包む膜)など、いろいろな組織が原因となって起こります。痛む場面や腫れの有無によって考えられる原因が異なるため、原因の見きわめが治療の第一歩です。それぞれの病気の詳しい解説は、ページ内からご案内する各ページをご覧ください。
このページでわかること

- すぐに受診したほうがよい膝の痛みのサイン
- 様子を見てもよい場合と、受診に切り替える期間の目安
- 痛み方・場面別に考えられる主な原因(詳しい解説ページへのご案内)
- 受診までのご自宅での応急対応(冷やす?温める?湿布は?)
- 受診したら何をするのか(問診・検査・治療方針の流れ)
すぐに受診をおすすめするサイン
次のような症状がある場合は、様子を見ずに、できるだけ早く整形外科を受診してください。放置すると悪化したり、治療が難しくなったりする可能性がある状態です。
- 膝が大きく腫れて、熱をもっている:関節の中で強い炎症が起きているサインです。出血や感染が隠れていることもあります。
- 発熱(からだの熱)を伴う膝の痛み・腫れ:関節の中に細菌が入って炎症を起こす化膿性関節炎など、急いで治療が必要な病気の可能性があります。
- 見た目に変形している・ケガの直後で強く痛む:骨折や脱臼が疑われる状態です。無理に動かさず、早急に受診してください。
- まったく体重をかけられない・一歩も歩けない:骨や靭帯、半月板に大きな損傷がある可能性があります。
- 膝が急に伸ばせなくなった(引っかかって動かない):断裂した半月板が関節に挟まり込む「ロッキング」という状態の可能性があります。
- スポーツや転倒で膝をひねった直後、「ブチッ」という感覚があり、急に腫れてきた:靭帯の損傷が疑われます。
これらは、いずれも早めの診断と対応が大切な状態です。当日の受診が難しい場合も、できるだけ間をあけずにご相談ください。
様子を見てもよい場合と、期間の目安
一方で、次のような場合は、まずはご自宅でのケアで数日ほど様子を見ていただいても差し支えないことが多いです。
- 腫れや熱っぽさがなく、痛みが軽い
- 体重をかけて歩くことができる
- 運動や長歩きのあとなど、痛みのきっかけに心当たりがあり、休むと楽になる
ただし、目安として2週間たっても痛みが続く場合、または一度よくなっても何度も繰り返す場合は、受診をおすすめします。「休めば治る痛み」を繰り返している背景に、軟骨のすり減りや半月板の傷みが隠れていることがあるためです。また、様子を見ている間に腫れ・熱感・ロッキングなど上記のサインが現れた場合は、期間にかかわらず早めに受診してください。
痛み方・場面から考えられる主な原因
「どんなときに・どのように痛むか」は、原因を推測する大きな手がかりになります。ここでは概観のみご紹介します。詳しい症状・診断・治療は、それぞれのページをご覧ください。
立ち上がり・歩き始め・階段で痛む
動き始めに痛み、少し歩くと楽になる。階段(とくに下り)がつらい。中高年の方でこのパターンが続く場合、膝の軟骨が少しずつすり減る変形性膝関節症がまず考えられます。→ 変形性膝関節症
曲げ伸ばしで引っかかる・急に伸びなくなる
曲げ伸ばしのたびに引っかかる感じや音がある、ときどき膝が動かなくなる。膝のクッションである半月板の損傷が考えられます。スポーツのケガだけでなく、中高年では加齢による変性でも起こります。→ 半月板損傷
ひねったあとから痛む・ぐらつく
ジャンプの着地や急な方向転換で膝をひねり、そのあと不安定な感じやぐらつきが残る。靭帯損傷(前十字靭帯など)の可能性があります。放置すると半月板や軟骨を傷めることにつながるため、早めの評価が大切です。→ 靭帯損傷
走ったあと・スポーツで使いすぎて痛む
ランニングやジャンプ動作のあとに、お皿の下や膝の外側が痛む場合は、腱や周囲の組織の使いすぎによる炎症(スポーツ障害)が考えられます。→ スポーツによるケガ・障害
きっかけなく急に腫れて痛む
思い当たるきっかけがないのに膝が急に腫れて熱をもつ場合、痛風・偽痛風や、まれに細菌感染などが原因のことがあります。この場合は様子を見ず、早めに受診してください。
膝の症状とお悩み全般のご案内は、膝でお悩みの方のページにまとめています。
受診までの過ごし方(応急対応)
受診までの間、ご自宅では次のような対応がおすすめです。
冷やす?温める?
外来でとても多いご質問です。症状とタイミングで使い分けます。
- 冷やすのが向いているとき:ひねった・ぶつけた直後、腫れて熱っぽい急性期(受傷からおよそ48時間)、ズキズキする痛み。氷や保冷剤をタオル越しに当て、冷やしすぎには注意してください。
- 温めるのが向いているとき:慢性的な膝の痛みやこわばり、朝の動き始めがつらいとき。血流をよくして筋肉のこわばりをやわらげます。
湿布はどちらを選ぶ?
温湿布と冷湿布は、医学的にはどちらも痛みの軽減に有効で、明確な優劣はないと報告されています。腫れ・熱感がある急性期は冷湿布、慢性的な痛みには温湿布が向いていますが、使い心地の好みで選んでいただいても差し支えありません。
ケガの直後は
膝をひねった・ぶつけた直後は、患部を保護して安静にし、冷却・圧迫を行い、足を心臓より高く上げて腫れを抑えるのが基本です(RICE処置)。ただし、冷やしすぎや長すぎる安静はかえって回復を遅らせる可能性が指摘されています。応急処置はあくまで受診までのつなぎと考え、早めに状態を確認してもらいましょう。
サポーターは使ってもいい?
市販のサポーターを受診までの一時的な支えとして使うことは差し支えありません。歩くときの不安感がやわらぐことがあります。ただし、長期間頼り続けると膝を支える筋力の低下につながることがあるため、受診の際にサポーター使用中であることをお伝えいただき、続けるかどうかを含めてご相談ください。
受診したら、何をしますか(診察の流れ)
「病院で何をされるのかわからない」という不安も、受診をためらう理由のひとつだと思います。当院での一般的な流れをご紹介します。
1. 問診(お話をうかがいます)
いつから・どんなきっかけで痛み始めたか、どんな場面で痛むか(立ち上がり・階段・スポーツなど)、引っかかりやぐらつきの有無、過去の膝のケガ、お仕事や運動の習慣などをうかがいます。受診前に「いつから・どんなときに・どのように痛むか」を簡単にメモしておくと、診察がスムーズです。服用中のお薬がわかるもの(お薬手帳など)もあればお持ちください。
2. 診察
膝の腫れや熱感、押して痛む場所、曲げ伸ばしの範囲、ぐらつき(不安定性)などを確認します。膝を出しやすい服装(ゆったりしたズボンなど)でお越しいただくと診察しやすくなります。
3. レントゲン検査
骨の状態や関節のすき間を確認します。変形の程度や骨折の有無を評価する基本の検査です。
4. 必要に応じてMRI検査
軟骨・半月板・靭帯はレントゲンには写りません。詳しい評価が必要な場合は、MRI検査をご案内します(連携施設での検査に対応しています)。
5. 治療方針のご説明
診察と検査の結果から、いまの痛みの原因が何であるのかをご説明し、治療方針をご相談します。多くの場合、お薬・リハビリテーション・注射などの保存療法(保険診療)から始めます。原因ごとの治療の詳しい内容は、各疾患のページをご覧ください。保存療法を続けても改善が不十分な場合には、手術以外の選択肢(再生医療)や、手術が適している場合の専門医療機関へのご紹介についてもご説明します。
※ 再生医療は自由診療(保険適用外)です。治療効果には個人差があります。
病院に行くほどではない気がします。受診してもいいですか?
はい、迷っている段階でのご相談こそおすすめします。「これくらいで受診していいのだろうか」とためらっているうちに、膝をかばう歩き方がくせになり、筋力が落ちてさらに膝に負担がかかる、という悪循環に入ってしまう方は少なくありません。診察と検査で「大きな問題はない」と確認できること自体にも、大きな意味があります。原因がわかれば、悪化を防ぐための生活の工夫や運動もご案内できます。結果的に、早めの受診が回復への近道になります。
よくあるご質問
Q. 夜、寝ているときにも膝が痛みます。大丈夫でしょうか?
A. 動いていないのに痛む「安静時痛」や夜間の痛みは、関節の中の炎症が強いときや、変形性膝関節症が進行してきたときにみられることがあるサインです。様子を見ずに、早めの受診をおすすめします。
Q. 正座ができなくなりました。受診したほうがいいですか?
A. 正座ができない・深く曲げられないのは、膝の曲がる範囲(可動域)が狭くなっているサインで、変形性膝関節症や半月板損傷などが背景にあることがあります。痛みが軽くても、続くようであれば一度ご相談ください。
Q. 体重と膝の痛みは関係ありますか?
A. 関係があります。歩くとき、膝には体重の数倍の負担がかかるとされ、体重が増えると膝への負担も大きくなります。逆に、少しの減量でも膝の負担は軽くなるため、体重の管理は膝の痛みへの根本的な対策のひとつです。
Q. 受診する前に、市販の痛み止めや湿布を使ってもいいですか?
A. 差し支えありません。我慢せず、用法・用量を守ってお使いください。ただし、診察の際に「何を・いつから使っているか」をお伝えいただけると、痛みの経過を正確に評価できます。
Q. 膝が痛いとき、何科を受診すればよいですか?
A. 整形外科をご受診ください。骨・関節・筋肉・靭帯の状態は、診察とレントゲン・MRIなどの画像検査を組み合わせて診断します。原因の診断がついてはじめて、その膝に合った治療を選ぶことができます。
この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)
このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。
- PRP療法:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回(計3回が標準)、高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円/回(いずれも税込)。料金は1部位ごとに発生します(例:両膝にPRGFを3回で660,000円)。別途、MRI評価・血液検査の費用がかかります。主なリスクは注射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血で、感染等のリスクは低いとされますがゼロではありません。治療効果には個人差があります。用いるPRP調製システムはいずれも国内で承認・認証を受けた医療機器です(Angel™ cPRP System 承認番号 30500BZX00054000/PRGF-Endoret® 認証番号 30500BZI00007000)。
- 幹細胞治療(MFAT・培養幹細胞):自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、MFAT 600,000円(1部位)/990,000円(2部位)、培養幹細胞治療 総額 2,200,000円(いずれも税込)。培養幹細胞治療は上記が総額で、MFATは別途、診察・検査の費用がかかります。症例によって追加の検査費用が必要となる場合がございます。主なリスクは脂肪採取部位の痛み・腫れ・皮下出血、関節投与後の腫れ・熱感、麻酔によるアレルギー(まれ)、培養工程での資材に伴うアレルギー(まれ)です。治療効果には個人差があります。MFATの調製には国内で承認を受けた高度管理医療機器「LIPOGEMS O キット」(承認番号 30400BZX00092000)を用います。なお、培養に用いる資材には国内承認を受けていないものを使用する場合があります。
- 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。