歩くと脚がしびれる・休むとまた歩ける(間欠性跛行)
「買い物の途中で脚がしびれて、ベンチで休むとまた歩ける」「以前より続けて歩ける距離が短くなった」——歩くと症状が出て、休むと戻り、また歩ける。この繰り返しを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。
よく知られているのは腰の病気ですが、原因はそれだけではありません。脚の血管が細くなって起こることもあり、こちらは見逃すと足に深刻な影響が及ぶことがあります。 このページでは、2つの原因の見分け方と、受診の目安をご説明します。
間欠性跛行とは
歩いているうちに、お尻から脚にかけてしびれ・痛み・重だるさが出てきて、歩き続けられなくなる。少し休むと症状が引いて、また歩けるようになる。この繰り返しを間欠性跛行と呼びます。
進むと、続けて歩ける距離(歩行距離)が少しずつ短くなっていきます。「以前は駅まで歩けたのに、今は途中で2回休む」といった変化は、経過を知るうえで大切な情報です。受診の際は、どのくらいの距離・時間で症状が出るかをお伝えください。
原因は大きく2つ。見分け方があります
① 腰が原因のもの(腰部脊柱管狭窄症など)
背骨の中で神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、歩行中に神経が圧迫されて症状が出ます。中高年以降に多くみられます。
② 血管が原因のもの(下肢閉塞性動脈硬化症)
脚の動脈が動脈硬化で細くなり、歩行時に筋肉へ届く血流が不足して症状が出ます。糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙習慣のある方に多くみられます。
見分けの手がかり
| 腰が原因(脊柱管狭窄症) | 血管が原因(動脈硬化) | |
|---|---|---|
| 前かがみになると | 楽になる(カートを押すと歩きやすい) | 姿勢では変わらない |
| 自転車は | 長く乗れることが多い | こいでいるとやはりつらくなる |
| 症状の中心 | しびれ・だるさ(感覚の異常) | ふくらはぎの締めつけられる痛み |
| 休むとき | 座る・前かがみで楽になる | 立ち止まるだけで楽になる |
| 足の冷え・色 | 変わらないことが多い | 足が冷たい・皮膚の色が悪い |
| 足の脈 | ふれる | ふれにくい・ふれない |
この表は目安です。両方が重なっている方もいらっしゃいますし、症状の出かたには個人差があります。自己判断せず、診察で確かめることをおすすめします。
こんなサインがあれば、早めに受診してください
血管の病気を疑うサイン(放置しないでください)
- じっとしていても足が痛む(とくに夜間、足を下げると楽になる)
- 足の指や足先の色が悪い、冷たい
- 足に治りにくい傷・潰瘍がある、黒くなっている部分がある
- 糖尿病があり、足のしびれが続いている
これらは血流が足りていないことを示すサインで、進行すると足の組織が壊れてしまうことがあります。 当てはまる場合は、様子を見ずにご相談ください。当院で血管の病気が疑われた場合は、血管の専門医療機関へご紹介します。
腰の病気で早めの受診が必要なサイン
- 尿が出にくい・尿もれがある・排便のコントロールがしにくい
- 股間やお尻まわりの感覚が鈍い
- 足首やつま先が上がらない、脚に力が入らない
糖尿病がある方は、とくに注意が必要です
糖尿病があると、血管が細くなりやすいことに加えて、神経の障害で痛みを感じにくくなることがあります。そのため、症状に気づくのが遅れ、足の傷や潰瘍が進んでから見つかることがあります。
糖尿病で通院中の方は、脚のしびれや歩行時の症状について、かかりつけの先生にもお伝えください。当院を受診される場合も、通院中の病気とお薬を必ずお知らせください。
受診までの間、どう過ごせばよいですか
- 痛みが出たら立ち止まって休む。 我慢して歩き続ける必要はありません。
- 歩くこと自体はやめない。 症状が出ない範囲で歩くことは、どちらの原因でも大切です。とくに血管が原因の場合、無理のない範囲で歩くことが勧められています。
- 前かがみで楽になるかどうかを覚えておく。 診察のときの手がかりになります。
- 足の傷に気をつける。 とくに血流の心配がある方は、小さな傷でも治りにくいことがあります。深爪や、合わない靴による靴ずれを避けてください。
- 喫煙されている方へ。 血管が原因の場合、禁煙は治療の柱のひとつです。ご相談ください。
当院での診察の流れ
- 問診:どのくらいの距離・時間で症状が出るか、前かがみで楽になるか、休み方、糖尿病などの持病、喫煙歴をうかがいます。
- 診察:脚の筋力・感覚・反射を確認し、あわせて足の脈がふれるか、足の冷たさや皮膚の色を確認します。
- 画像評価:腰が原因と考えられる場合は、レントゲンで骨の並びを確認し、神経の圧迫をくわしく見る必要があれば、MRIによる評価をご提案します。
- 方針のご提案:腰が原因と考えられる場合は、内服・外用、リハビリテーション(運動療法)などの保存療法を基本にご提案します。手術が望ましい場合は、連携する専門医療機関へご紹介します。血管が原因と疑われる場合は、当院での確定検査は行っていないため、血管を専門とする医療機関へご紹介します。
「歩くと脚がしびれる」という同じ訴えでも、行き先が変わります。 どちらなのかを見きわめることが、当院での最初の仕事です。
よくあるご質問
Q. 歩く距離が短くなってきましたが、年齢のせいでしょうか?
加齢による体力の低下と、間欠性跛行は区別が必要です。休むと回復してまた歩けるというパターンがあるなら、腰か血管に原因がある可能性があります。一度ご相談ください。
Q. 腰の病気か血管の病気か、自分で分かりますか?
上の表は手がかりになりますが、確実な区別はできません。両方が重なっている方もいらっしゃいます。診察では足の脈の確認も行いますので、判断はお任せください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
まずは整形外科で差し支えありません。腰が原因であればそのまま治療に進めますし、血管が原因と考えられる場合は、適切な医療機関へご紹介します。
Q. 歩いたほうがよいのですか、休んだほうがよいのですか?
症状が出たら休んでいただいて構いません。そのうえで、症状の出ない範囲で歩く習慣は続けることをおすすめします。どの程度が適切かは、原因と状態によって変わりますので、診察のうえでご案内します。
Q. 手術しないと治りませんか?
腰が原因の場合、多くの方は保存療法で経過をみることができます。歩ける距離が極端に短い、排尿・排便の障害があるといった場合には手術が検討されます。当院では適応があると判断した場合、連携する専門医療機関へご紹介します。