モートン病(足の指の付け根のしびれ・痛み)
「歩いていると足の指の付け根がジンジンする」「小石を踏んでいるような違和感がある」「靴を脱いで足をもむと楽になる」——こうした症状は、モートン病のことがあります。
足の指のあいだを通る神経が、繰り返し圧迫されて起こります。痛みよりも「しびれ」「灼けるような感じ」「何か挟まっている感じ」として自覚されることが多く、そのため受診が遅れがちです。
外反母趾や疲労骨折と間違われることもあります。 同じ「足の指の付け根が痛い」でも、対応が変わります。
何が起きているのか
足の指の付け根には、指へ向かう神経が通っています。この神経が、指の骨と骨のあいだで圧迫されると、神経のまわりが厚くなり、さらに圧迫を受けやすくなります。
もっとも起こりやすいのは、3番目と4番目の指のあいだです。次いで2番目と3番目のあいだにみられます。
親指の付け根の痛みとは別の病気です。 親指の付け根が痛む場合は、外反母趾・痛風・種子骨障害などを考えます。
症状の特徴
- 足の指の付け根(足の裏側)がしびれる、ジンジンする
- 小石やビー玉を踏んでいるような違和感
- 指先まで電気が走るような感じ
- 灼けるような痛み
- 靴を脱ぐ、足をもむと楽になる
- 裸足では症状が出にくい
- 指のあいだの感覚が鈍い
「靴を脱ぐと楽になる」は、この病気を強く疑う手がかりです。 骨や関節の問題であれば、靴を脱いでも痛みは残ります。
こんな方に起こりやすい
- つま先が細い靴・かかとの高い靴をよく履く
- 立ち仕事・長時間の歩行
- 開張足(足の横のアーチが低く、足の幅が広がった状態)
- ランニング・ダンスなど、足の指の付け根に繰り返し負担がかかる運動
- 中年以降の女性に多いとされています
開張足があると、指の骨のあいだが狭くなり、神経が挟まれやすくなります。 外反母趾と背景が共通しているため、両方をお持ちの方もいらっしゃいます。
似た症状との見分け
| モートン病 | 疲労骨折 | 外反母趾 | |
|---|---|---|---|
| 主な症状 | しびれ・違和感 | 痛み | 痛み・変形 |
| 場所 | 指のあいだ(多くは3-4趾) | 骨の上を押すと一点が痛む | 親指の付け根 |
| 靴を脱ぐと | 楽になる | 変わらない | 当たらなくなるので楽 |
| 腫れ | 目立たない | あることがある | 付け根が出っぱる |
| きっかけ | 靴・立ち仕事 | 運動量を急に増やした | じわじわ進行 |
運動量を急に増やしたあとの痛みで、押すと一点が強く痛む場合は疲労骨折を考えます。 レントゲンで初期には写らないことがあるため、経過を見て撮り直すことがあります。
靴を選ぶときに見るところ
モートン病では、靴の見直しがそのまま治療になります。 選ぶときは次の順に確認してください。
- 幅:足のいちばん広い部分(親指と小指の付け根)が、靴の広い部分と重なっているか。ここがずれていると、歩くたびに指の付け根が締めつけられます。
- つま先の高さ:指が上下に動く余地があるか。上から押さえられると、指が広がれません。
- 甲の固定:ひもや面ファスナーで締められるか。固定できないと、歩くたびに足が前へ滑り、つま先に体重が集中します。
- かかとの硬さ:後ろから押してへこまないか。かかとが安定しないと、足全体が不安定になります。
- 靴底の曲がる位置:指の付け根で曲がるか。真ん中で曲がる靴は、足の動きと合いません。
試し履きは夕方に。 足は夕方にむくむため、朝に合わせた靴は夕方きつくなります。
「幅広」と表示された靴が合うとは限りません。 幅だけ広くて甲が固定できない靴は、なかで足が動いてかえって圧迫が増えることがあります。
当院での診察
- 問診:症状の出る場面(靴・歩行時間)、しびれか痛みか、脱ぐと楽になるか、運動と靴の変化をうかがいます。
- 診察:指のあいだを押したときの症状、足を横から挟んだときに響くか、指の感覚、足のアーチの状態、足裏のタコの位置を確認します。
- レントゲン:骨の変形や疲労骨折の有無を確認します。モートン病そのものはレントゲンには写りません。
- 画像による評価:神経のまわりの状態を確認する必要がある場合は、追加の検査をご提案します。
治療の考え方
まずは、神経への圧迫を減らすことから進めます。手術に至る方は多くありません。
靴の見直し
もっとも効果が期待できるところです。
- つま先の幅にゆとりがある(指が広がる余地があること)
- かかとが高すぎない(前足部に体重が集中しないこと)
- ひもや面ファスナーで甲を固定できる(靴のなかで足が前に滑らない)
- サイズが合っているか。大きすぎる靴も、なかで足が動いて圧迫の原因になります
装具(インソール・足底板)
低くなった横のアーチを支え、指の骨のあいだを広げることをねらいます。神経の手前にパッドを入れて圧を分散させる方法もあります。足の形に合わせて作るほうが効果を得やすいとされています。
運動療法
足の指を使う筋肉を働かせ、アーチを支える力を戻していきます。理学療法士が状態に合わせてご提案します。
痛みへの対応・注射
内服・外用で症状を抑えながら、靴と装具の調整を進めます。改善が乏しい場合は、あらためて状態を確認したうえで、次の選択肢をご相談します。
改善しないとき
保存療法を十分に続けても症状が強く、日常生活に支障がある場合は手術が検討されます。当院で手術が望ましいと判断した場合は、連携する専門医療機関へご紹介します。
ご自宅でできること
- 家のなかでも足を締めつけない。
- 足の指を広げる・動かす習慣を。 手で指のあいだを広げる、指をグーパーする動きから始められます。
- 症状が出たら靴を脱いで休む。 我慢して歩き続けると、圧迫が続きます。
- タコを削らない。 体重のかかり方が変わらなければ戻ります。
- 靴を履く時間を分散する。 同じ靴を1日中履き続けない、履き替える日をつくる。
よくあるご質問
Q. しびれだけですが、受診したほうがよいですか?
モートン病は痛みよりしびれ・違和感が先に出ることが多く、そのため様子を見られがちです。圧迫が続くと症状が強くなることがあるため、繰り返している段階でご相談ください。
Q. 靴を替えれば治りますか?
靴の見直しで症状が軽くなる方は多くいらっしゃいます。ただ、開張足など足の形が背景にある場合は、装具や運動療法をあわせたほうが安定します。
Q. 手術が必要になりますか?
多くの方は保存療法で経過をみることができます。手術が検討されるのは、十分な保存療法を行っても日常に支障が残る場合です。
Q. 市販のインソールでもよいですか?
症状が軽ければ役に立つことがあります。ただしパッドを入れる位置がずれると、かえって圧迫が強まることがあります。効果が乏しい場合はご相談ください。
Q. 何科を受診すればよいですか?
足のしびれは整形外科が専門です。当院では整形外科専門医が診察し、レントゲンで他の病気の可能性を確かめたうえで方針をご提案します。