接触皮膚炎(かぶれ)

接触皮膚炎は、何かに触れたことが原因で起こる湿疹です。一般には「かぶれ」と呼ばれます。

この病気には、他の湿疹と決定的に違う点があります。

原因が分かれば、治せます。

多くの皮膚の病気は、体質や加齢といった変えられない要素を背景にしています。しかし接触皮膚炎は、原因になっているものを避ければ、それだけで治ります。 そして再発も防げます。

だからこそ、このページでお伝えしたいのは治療法よりも、「原因をどう探すか」です。

2つのタイプがあり、対応が変わります

接触皮膚炎には、仕組みの違う2つのタイプがあります。この違いを知っておくと、原因の探し方が変わります。

① 刺激性接触皮膚炎

誰にでも起こるタイプです。アレルギーとは関係ありません。

  • 触れた量や回数が多ければ、誰でも起こります
  • 初めて触れたときにも起こります
  • 触れてすぐ〜数時間で症状が出ます
  • 触れた範囲にきっちり一致して出ます
  • ヒリヒリ、痛みを伴うことがあります

例:洗剤、消毒液、シャンプー、漂白剤、有機溶剤、頻繁な手洗い

接触皮膚炎の大半は、こちらのタイプです。

② アレルギー性接触皮膚炎

その物質にアレルギーがある人にだけ起こるタイプです。

  • 少量でも起こります
  • 初めてでは起こりません。 何度か触れているうちに体が覚え、あるとき突然起こるようになります
  • 触れてから1〜3日後に症状が出ます(この時間差が最大の落とし穴)
  • 触れた範囲から少しはみ出して広がることがあります
  • 強いかゆみを伴います

例:金属(ニッケルなど)、毛染め剤、化粧品の成分、ゴム製品、植物、湿布や外用薬

「何年も使っていたのに、急にかぶれた」

これは診察でよくうかがう言葉です。

そして、これはアレルギー性接触皮膚炎の典型的な経過です。

アレルギーは、繰り返し触れるうちに体が覚えていくことで成立します。10年使っていた化粧品でも、10年目に突然かぶれることがあります。

ですから、「ずっと使っているから、これは原因じゃない」という考え方は成り立ちません。 むしろ、長く使っているものこそ疑う価値があります。

毛染め、化粧品、金属アクセサリー、湿布——これらは「長年大丈夫だった」方が突然かぶれる代表格です。

原因を探す3つの手がかり

手がかり① かたち

湿疹のかたちが、原因を教えてくれます。

  • 輪の形 → 指輪、腕時計、ベルトのバックル
  • 首まわりの帯状 → ネックレス、衣類のタグ、襟
  • 顔全体、まぶた → 化粧品、洗顔料、シャンプーの流れ落ち
  • 髪の生え際、耳の後ろ → 毛染め剤、シャンプー
  • 四角い形 → 湿布、絆創膏、パッチ
  • 手のひらだけ → 洗剤、仕事で扱うもの
  • 手の甲だけ → 手袋、消毒液
  • すね、腕の外側 → 植物、屋外での接触
  • 左右非対称 → 利き手側だけ、片側だけ触れるものを探す

左右差があるかどうかは、とくに重要な情報です。 体の内側から起こる湿疹は左右対称になりやすいのに対し、接触皮膚炎は触れた側だけに出ます。

手がかり② 場所と生活の重なり

湿疹の出ている場所で、普段どんなものが触れているかを、時間の流れに沿って思い出してみてください。

朝起きてから寝るまで、その部位に何が触れているか。仕事中は。家事のときは。

手がかり③ 時間差を計算に入れる

アレルギー性の場合、症状が出るのは触れてから1〜3日後です。

つまり、「今日の朝から出た」湿疹の原因は、一昨日触れたものかもしれません。

「今日は何も変わったことはしていない」と思われても、2〜3日前までさかのぼって考えてみてください。ここを見落とすと、原因にたどり着けません。

症状

  • 赤み
  • かゆみ(アレルギー性では強い)
  • ブツブツ、小さな水ぶくれ
  • じくじく
  • ヒリヒリ、痛み(刺激性で多い)
  • 慢性化すると、皮膚が厚く硬くなり、カサカサする

触れた範囲に一致して、境界がはっきりしている——これが接触皮膚炎らしさです。

診断

問診が、この病気ではもっとも重要です。

いつから、どこに出たか、症状が出る前の2〜3日に何をしたか、仕事の内容、使っている化粧品・洗剤・薬、趣味、身につけているもの、過去に同じことがあったか——詳しくうかがいます。

「そんな細かいことまで?」と思われるかもしれませんが、ここが診断の中心です。 思い当たることがあれば、どんなに些細でもお伝えください。

診察では、湿疹のかたち、境界、分布、左右差を確認します。かたちそのものが診断の手がかりになります。

パッチテスト

原因が特定できない場合、パッチテストという検査があります。疑わしい物質を背中などに貼り、数日かけて反応をみる検査です。

アレルギー性接触皮膚炎の原因を確定できる検査とされています。ただし、実施できる施設が限られること、複数回の来院が必要なこと、結果が出るまで時間がかかることから、まず問診と経過で絞り込むのが実際的です。

治療

① 原因を避ける

これが治療の本体です。 原因が分かれば、避けるだけで治っていきます。

② 塗り薬

炎症を抑えるため、ステロイド外用薬を使います。部位と程度に応じて強さを選びます。

ただし、原因に触れ続けたままでは、塗っても堂々巡りになります。 薬はあくまで、今ある炎症を鎮めるためのものです。

③ かゆみ止めの内服

かゆみが強い場合に併用します。

④ 皮膚を守る

刺激性の場合、手袋を使う、保湿するといった対応で、繰り返しを防げます。

部位別によくある原因

顔・まぶた
化粧品、洗顔料、まつ毛用品、シャンプー・トリートメントの流れ落ち、マスク。まぶたは皮膚が薄く、体の中で最もかぶれやすい部位です。手についたものを触ることで、まぶただけに出ることもあります。

頭・生え際・耳の後ろ
毛染め剤、パーマ液、シャンプー。毛染めによるかぶれは、施術の1〜2日後に出ることが多く、時間差のため原因と結びつかないことがあります。

首
ネックレス、衣類のタグ、香水、日焼け止め。

手
洗剤、消毒液、ゴム手袋、仕事で扱うもの。詳しくは手湿疹(主婦湿疹)をご覧ください。

体幹
下着のゴム、ベルトのバックル、衣類の素材や染料、湿布や貼り薬。

足
靴の素材、接着剤、サンダルのゴム。

日光が当たる部位だけ
一部の外用薬や化粧品の成分は、日光に当たることで初めてかぶれることがあります。「顔と手の甲だけ」「Vネックの範囲だけ」といった分布のときに疑います。

よくあるご質問

Q. 市販の薬でよいですか?
軽いものは市販薬で落ち着くこともあります。ただし、原因が分からないままだと繰り返します。 また、外用薬そのものにかぶれることもありますので、良くならない場合はご相談ください。

Q. 何年も使っている化粧品なので、原因ではないと思うのですが。
その考え方は成り立ちません。 アレルギーは繰り返し触れるうちに成立します。長く使っているものこそ、疑う価値があります。

Q. 毛染めでかぶれました。もう染められませんか?
成分によって異なります。どの成分でかぶれたかを確認することが先です。美容室にお使いの製品を確認していただくと、判断の助けになります。

Q. 湿布でかぶれました。
よくあることです。貼った四角い形に一致して出るのが特徴です。同じ系統の成分を含む他の湿布でも起こる可能性がありますので、次に処方を受ける際にお伝えください。

Q. パッチテストを受けたほうがよいですか?
原因が絞り込めない場合や、仕事に関わる場合には検討します。まずはご相談ください。

Q. 何科を受診すればよいですか?
皮膚科でご相談いただけます。原因を探すことが診療の中心ですので、思い当たるものがあればお持ちいただいても構いません。

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