赤ら顔・酒さ

「顔がすぐ赤くなる」「ほてった感じがする」「乾燥してヒリヒリする」――そんなお悩みで受診される方は少なくありません。しかし、顔の赤みの原因は一つではありません。酒さ、湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、毛細血管拡張症、ニキビ・ニキビ跡など、同じ「赤み」に見えても、背景にある病態はまったく異なります。自己判断でスキンケアを続けてしまい、かえって悪化してしまうケースも少なくありません。赤み治療でもっとも大切なのは、まず正確な診断を行うことです。このページでは、顔の赤みの主な原因と、皮膚科(保険診療)でできる治療、外用薬だけでは改善しにくい赤みへの選択肢までをご説明します。

顔の赤みの原因はひとつではありません

顔の赤みというと、多くの方が「レーザーなどの機器で治療するもの」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、赤みの原因を確かめないまま治療を始めると、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。

顔の赤みの背景には、酒さ、湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、口囲皮膚炎、毛細血管拡張症、ニキビ・ニキビ跡など、さまざまな皮膚の状態が関わっています。それぞれ原因も治療の方向性も異なるため、同じ「赤み」であっても、実際に必要なケアはまったく違うことがあります。

たとえば、ニキビ由来の赤みだと思い込んで市販のニキビ用スキンケアを続けていたら、実は酒さだった、というように、自己判断のケアが誤った方向に進んでしまうケースも少なくありません。誤った判断のまま様子を見てしまうと、赤みが長引いてしまうこともあります。だからこそ、赤み治療でもっとも重要なのは、皮膚科専門医による正確な診断です。当院では、まず顔の赤みがどのタイプに当てはまるのかを丁寧に見極めたうえで、治療の方針を決めていきます。

「酒さ」とは?ニキビと間違えられやすい理由

酒さ(しゅさ)は、頬や鼻を中心に赤み・ほてり・毛細血管の拡張がみられ、ニキビのようなぷつぷつとした丘疹や膿疱を繰り返す慢性の皮膚疾患です。赤み・ぷつぷつ・膿疱・ほてりを伴うことがあるため、見た目だけではニキビと区別がつきにくく、実際に誤診されることもある疾患です。

しかし、酒さとニキビでは治療の考え方が異なります。ニキビの治療で用いる薬剤の中には、酒さの症状を悪化させてしまうものもあるため、治療の順序を誤ると、かえって症状が長引いてしまうことがあります。当院では、赤みの状態を丁寧に確認したうえで正確な診断を行い、段階を踏みながら治療を進めています。

酒さは、紫外線、飲酒、温泉やサウナなどによる急激な体温変化、香辛料の効いた食事、激しい運動、暖かい室内と寒い屋外の行き来、刺激の強いスキンケア、自己判断でのステロイド外用薬の使用などによって悪化することが知られています。治療とあわせて、こうした悪化因子を避けることも、症状を落ち着かせるために大切です。

顔の赤みのおもな原因(鑑別)

  • 酒さ:頬・鼻を中心とした赤み・ほてり・毛細血管拡張に、ぷつぷつとした丘疹や膿疱を伴うことがある慢性の皮膚疾患です。
  • 湿疹・アトピー性皮膚炎:かゆみを伴う赤みやカサつきが繰り返し起こります。乾燥や刺激、体質などが関わります。
  • 脂漏性皮膚炎:皮脂の分泌が多い部位(額・眉間・小鼻のまわりなど)に赤みやフケのような落屑がみられます。
  • 口囲皮膚炎:口のまわりに小さなぶつぶつと赤みが集まって生じます。ステロイド外用薬の使用が関わっていることもあります。
  • 毛細血管拡張症:小鼻や頬に、細い血管が透けて見えるような赤みが生じます。外用薬やスキンケアだけでは改善しにくいタイプです。
  • ニキビ・ニキビ跡:炎症を起こしたニキビや、その跡に残る赤みです。ニキビについて詳しくはニキビ(尋常性ざ瘡)のページもご覧ください。

このように、顔の赤みにはいくつものタイプがあり、複数が合わさって起きていることもあります。ご自身でどのタイプに当てはまるかを判断するのは難しいため、まずは皮膚科でのご相談をおすすめします。

保険診療でできる酒さ・赤ら顔の治療

酒さ・赤ら顔に対して、当院ではまず保険診療での治療をご提案しています。

外用薬(塗り薬)

酒さの赤みや炎症を抑える目的で、メトロニダゾールという成分を含む外用薬(ゲル状の塗り薬)を用いることがあります。毎日継続して使用することで、赤みやぷつぷつとした症状の改善が期待できます。効果の出方には個人差があり、使い始めは変化を感じにくいこともありますが、自己判断で中止せず、根気よく続けることが大切です。

内服薬(飲み薬)

炎症が強い場合には、抗菌作用と抗炎症作用をあわせ持つ抗生物質を、一定期間内服していただくことがあります。ニキビの治療で長期に抗生物質を使うのとは目的や使い方が異なり、酒さでは炎症を落ち着かせるための期間限定的な使用が基本です。

漢方薬

体質やほてりの状態に応じて、漢方薬を組み合わせることもあります。顔がほてりやすい、のぼせやすいといった体質面のご相談にも対応します。

悪化因子を避ける生活指導

お薬による治療とあわせて、紫外線対策や、悪化因子(飲酒・香辛料の効いた食事・急激な温度変化など)を避ける生活面のアドバイスも行います。

このように、酒さ・赤ら顔の治療は、外用薬・内服薬・漢方・生活指導を組み合わせながら、段階的に症状の改善を目指していきます。

このほか、海外では抗炎症作用のある外用薬(イベルメクチンを含む製剤など)が酒さの治療に用いられることもあります。国内での承認状況は薬剤によって異なり、使用する場合は自由診療(保険適用外)となることがあります。効果には個人差があります。当院での対応については、診察時にご相談ください。

外用薬だけでは改善しにくい赤み(毛細血管拡張症)について

酒さ・赤ら顔の治療を続けても、小鼻や頬にチリチリと血管が透けて見えるタイプの赤みは、外用薬やスキンケアだけでは改善しにくいことがあります。これは、拡張した毛細血管そのものが赤みの原因になっているためです。

このようなタイプの赤みには、美容診療(自由診療)でのIPL(光治療)による選択肢があります。当院では、赤みや血管の状態にアプローチする光治療機器として、厚生労働省の薬事承認を取得したNordlysを美容皮膚科で導入しています。不要な波長をカットしながら赤みや血管にアプローチする設計で、刺激や悪化が気になる方にもご検討いただきやすい治療です。詳しくはNordlys(光治療)のページをご覧ください。

※Nordlysによる治療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。

また、酒さ・赤ら顔の方向けに、刺激の少ない治療選択肢としてメソナJという美容メニューも取り入れています。痛みやダウンタイムがほとんどなく、保険診療での治療と並行したサポートとして選ばれることもあります。

※メソナJによる治療は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。

保険診療での治療を基本としながら、外用薬だけでは改善しにくい赤みについては、美容皮膚科の赤ら顔(酒さ)でお悩みの方へのページもあわせてご覧いただくと、治療の選択肢をより具体的にイメージしていただけます。

酒さは治りますか?

酒さは、体質や環境要因が重なって起こりやすい慢性の経過をたどる疾患で、「一度治療すれば完全に元通りになる」と言い切れるものではありません。ただし、正確な診断のもとで適切な治療を続けることで、赤みやぷつぷつとした症状の改善が期待できます。

治療を始めてすぐに変化を感じにくいこともありますが、悪化因子を避けながら根気よく治療を続けることが、症状を落ち着いた状態に保つことにつながります。自己判断で治療を中断せず、経過を見ながら治療内容を調整していくことが大切です。

赤ら顔・酒さは何科を受診すればいいですか?

顔の赤みは皮膚科が専門です。市販の赤み用化粧品やスキンケアだけで様子を見て、かえって悪化してしまうケースも少なくありません。「何をしても治らなかった」「どこに相談すればいいかわからない」という場合も、まずは皮膚科(保険診療)にご相談ください。当院では、皮膚科専門医が赤みのタイプを見極めたうえで、保険診療のお薬から、必要に応じて美容診療の選択肢まで、一人ひとりに合った治療をご提案します。

市販の赤み用スキンケアだけで様子を見てもいいですか?

赤みが気になると、まず市販の赤み用化粧品やスキンケアで様子を見たくなる気持ちはよくわかります。しかし、赤みの原因によっては、自己判断のケアを続けることでかえって悪化してしまうことがあります。とくに、ステロイド外用薬を自己判断で使い続けると、口囲皮膚炎のように赤みが悪化するタイプの皮膚炎につながることもあります。市販のケアで改善しない、あるいは悪化している場合は、早めに皮膚科でご相談ください。

ご自宅でできること(セルフケア)

治療とあわせて、日々のスキンケアも赤みの改善を支えます。無理のない範囲で、次のことを心がけてみてください。

  • とにかくこすらない:洗顔やタオルでの拭き取りでゴシゴシこすると、刺激で赤みが悪化しやすくなります。よく泡立てた洗顔料でやさしく洗い、タオルは押さえるように使いましょう。
  • 悪化因子を避ける:紫外線対策を行い、飲酒・香辛料の効いた食事・激しい運動・温泉やサウナなど、体が熱くなる状況を控えめにしましょう。冷暖房による急激な温度変化にも注意が必要です。
  • 刺激の少ないスキンケアを選ぶ:アルコールや香料の多い化粧品、スクラブ入りの洗顔料は刺激になることがあります。当院では、赤みに配慮した医療機関専売のスキンケアもご案内しています。
  • 自己判断でステロイド外用薬を使わない:市販薬や以前処方された薬を自己判断で使い続けると、かえって赤みが悪化することがあります。
  • 保湿を続ける:肌のバリア機能を保つことは、悪化因子への抵抗力にもつながります。刺激の少ない保湿剤を選びましょう。

セルフケアだけで改善しない、あるいは悪化してきたというときは、我慢せず医療機関にご相談ください。

受診の目安(こんなときはご相談ください)

  • 顔の赤みやほてりが続いている
  • 頬や鼻にぷつぷつとした発疹や膿疱を繰り返す
  • 市販の化粧品やスキンケアで様子を見ても改善しない、あるいは悪化している
  • 小鼻や頬に血管が透けて見えるような赤みが気になる
  • 赤みが人目に触れることが気になり、外出や対人関係に影響している

上記のような状態が続く場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに皮膚科でご相談ください。

よくあるご質問

Q. 酒さとニキビはどう違いますか?
どちらも赤みやぷつぷつとした発疹がみられることがありますが、原因となる病態が異なります。ニキビは毛穴の詰まりとアクネ菌の増殖が中心ですが、酒さは毛細血管の拡張や炎症が関わる別の疾患です。ニキビの治療薬の中には酒さを悪化させるものもあるため、まず正確な診断を受けることが大切です。

Q. 赤み用の化粧品だけでケアしていても大丈夫ですか?
一時的に赤みが目立たなくなることはあっても、根本的な改善にはつながらないことがあります。原因によっては自己判断のケアがかえって悪化を招くこともあるため、改善がみられない場合は皮膚科でのご相談をおすすめします。

Q. ステロイドを自分で使ってはいけませんか?
ステロイド外用薬は炎症を抑える効果がありますが、自己判断で漫然と使い続けると、口囲皮膚炎のように赤みが悪化するタイプの皮膚炎につながることがあります。使用する場合は、医師の指示のもとで適切な期間・部位に用いることが大切です。

Q. 保険診療と美容診療、どちらを受診すればいいですか?
まずは保険診療の皮膚科で、赤みの原因を確認することをおすすめします。診断の結果、外用薬や内服薬などの保険診療で改善が期待できる場合はそちらを中心に、外用薬だけでは改善しにくい毛細血管拡張などがある場合には、美容診療の選択肢もあわせてご案内します。

Q. 毛細血管拡張による赤みはなくなりますか?
光治療などにより赤みの軽減が期待できますが、効果には個人差があり、すべての血管が完全になくなるとは言い切れません。状態を確認しながら、必要に応じて複数回の治療を検討することもあります。

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