腰でお悩みの方
腰が痛い、急にぎっくり腰になった、足がしびれる、長く歩くと足が痛んで休みたくなる――腰の症状は、筋肉や関節の負担によるものから、椎間板や神経の通り道が関わるもの、骨の変化によるものまで、原因がさまざまです。
腰痛は日本人の多くが経験する症状で、仕事や家事、スポーツのパフォーマンスにも大きく影響します。それだけ身近な症状であるために、「そのうち治るだろう」「歳のせいだから」と受診しないまま長引かせてしまう方も少なくありません。腰痛は原因によって治療方針が大きく異なるため、まず正確な診断を受けることが大切です。当院では、整形外科専門医が診察と画像評価で原因を見きわめたうえで、理学療法士によるリハビリテーションまで含めた治療をご提案します。お気軽にご相談ください。
こんな症状はありませんか

- 急に腰が痛くなり、動くのがつらい(ぎっくり腰)
- 慢性的に腰が重い・痛い、腰痛を繰り返している
- 前かがみ・反らす動作で痛む
- お尻や足にかけてのしびれ・痛みがある
- 長く歩くと足がしびれて休みたくなる(間欠跛行)
- 足に力が入りにくい
- 尻もちをついたあと、腰や背中の痛みが続いている
ひとつでも当てはまる場合は、原因を確かめておくことをおすすめします。
腰痛の原因はひとつではありません
腰は、背骨(腰椎)とそのあいだのクッション(椎間板)、背骨をつなぐ関節や靭帯、それを支える筋肉、そして神経の通り道が組み合わさった部位です。どこに負担や変化が起きているかによって、腰痛の原因はさまざまに分かれます。
- 急性腰痛(いわゆるぎっくり腰):重い物を持ち上げた、体をひねったなどをきっかけに、急に強い腰の痛みが出るものです。
- 筋・筋膜性腰痛:姿勢や動作のくせ、筋肉の疲労によって起こる腰痛です。デスクワークなど同じ姿勢が続く方に多くみられます。
- 腰椎椎間板ヘルニア:椎間板の一部が飛び出して神経を圧迫し、腰痛に加えてお尻から足にかけてのしびれ・痛み(坐骨神経痛)が出ることがあります。
- 腰部脊柱管狭窄症:神経の通り道(脊柱管)が加齢などで狭くなり、歩くと足がしびれて休みたくなる(間欠跛行)などの症状が出ます。
- 変形性腰椎症・分離症/すべり症:背骨自体の変形やずれが腰痛の原因になることがあります。
- 骨粗鬆症による圧迫骨折:骨がもろくなっていると、尻もちなどの軽い衝撃でも背骨がつぶれるように折れることがあります。
- 内科的な病気にともなう腰痛:まれに、内臓の病気などが腰の痛みとして現れることもあります。
このように腰痛の原因は幅広く、原因によって治療方針が大きく異なります。だからこそ、最初の診断が重要です。
症状のパターンから考えられる主な原因
「どんな場面で・どのように痛むか」は、原因を考えるうえで大切な手がかりです。
急に腰が痛くなり、動けない
物を持ち上げた瞬間、くしゃみをした拍子などに急に腰が痛くなった場合は、いわゆるぎっくり腰(急性腰痛)がまず考えられます。多くは筋肉や関節への急な負担によるもので、数日から数週間で軽快に向かうことが多い症状です。ただし、足のしびれや脱力をともなう場合は椎間板ヘルニアなどが隠れていることもあります。
前かがみや座り続けると痛む・お尻から足にしびれがある
前かがみの姿勢や長い座位で痛みが強まり、お尻から太もも・ふくらはぎにかけてしびれや痛みが走る場合は、腰椎椎間板ヘルニアが考えられます。比較的若い世代にも多い病気です。→ 腰椎椎間板ヘルニア
歩くと足がしびれ、少し休むとまた歩ける
しばらく歩くと足がしびれたり痛んだりして休みたくなり、前かがみで休むとまた歩ける――この症状(間欠跛行)は、脊柱管狭窄症の特徴です。中高年の方に多くみられます。→ 脊柱管狭窄症
尻もちをついたあとから腰・背中が痛い(ご高齢の方)
ご高齢の方が尻もちをついたあと、あるいは特にきっかけがなくても腰や背中の痛みが続く場合は、骨粗鬆症による圧迫骨折の可能性があります。「打ち身だろう」と様子を見ているうちに骨のつぶれが進むこともあるため、早めのレントゲン検査をおすすめします。→ 骨粗鬆症/骨粗鬆症外来
腰の重さ・こわばりが慢性的に続く
はっきりしたきっかけがないまま、腰の重さやこわばり、鈍い痛みが続く場合は、姿勢や動作、筋肉の状態が関わる筋・筋膜性腰痛などが考えられます。長引く場合は、次にご説明する「慢性腰痛」としての取り組みが大切になります。
長引く腰痛(慢性腰痛)について
3か月以上続く腰痛は「慢性腰痛」と呼ばれます。慢性腰痛の原因としては、椎間板の変性、背骨の関節(椎間関節)の障害、筋肉・筋膜の痛み、骨盤の関節(仙腸関節)の障害などが挙げられ、レントゲンやMRIの画像だけでは痛みのすべてを説明できないことも少なくありません。
だからこそ慢性腰痛では、画像評価とあわせて、姿勢・体の使い方・筋力・体幹の安定性といった「痛みの背景」を評価し、運動療法で整えていくことが重要です。当院では理学療法士が、体幹・股関節・背骨の連動を分析し、柔軟性と体幹の安定性のバランスを整えながら、座る・立つ・前かがみになる・持ち上げるといった日常動作の再学習まで含めて、再発予防を見据えた運動療法を行います。
当院の腰の診療
当院では、腰の痛みに対して「正確な診断→保存療法→改善が不十分な場合の再評価」という段階を大切にしています。
1. 診察・画像評価で原因を見きわめる
症状の経過や生活・お仕事・スポーツの状況を丁寧にお伺いし、レントゲンや超音波で腰の状態を確認します。神経の圧迫などを詳しく調べる必要がある場合は、MRI検査を行います(連携施設での検査に対応しています)。今の痛みの原因が何であるのかを正確に評価することが、治療と同じくらい大切だと考えています。
2. 保存療法(保険診療が基本)
原因と症状に応じて、次のような治療を組み合わせます。

- 内服・外用:痛みと炎症を抑えるお薬・湿布など
- 注射:痛みの強い場合には、ブロック注射などを検討します
- 運動療法(リハビリテーション):理学療法士がマンツーマンで、姿勢・可動域・筋力を評価し、再発予防まで見据えた運動療法を行います
- 物理療法:超音波治療・ラジオ波治療・集束型体外衝撃波・牽引などの機器を、症状に合わせて選択します
- ハイドロリリース:筋肉や筋膜の重なりが痛みに関わっていると考えられる場合に、エコーで確認しながら薬液を注入し、すべりを改善させることを目的とした処置を選択肢としてご提案することがあります。→ ハイドロリリース
3. 改善が不十分な場合
保存療法を続けても改善が乏しい場合は、診断を見直したうえで治療の組み立てを再検討します。慢性腰痛のなかでも椎間板由来の腰痛など一部の状態に対しては、再生医療(PRP療法)が選択肢として検討されることがあります。ただし、すべての腰痛に有効なわけではなく、適切な診断と運動療法の併用が前提となる治療です。※自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。→ PRP療法
また、足の強いしびれや脱力が進行する場合、排尿の異常をともなう場合など、手術が望ましいと判断した場合は、専門医療機関と連携し、責任を持ってご紹介します。
ぎっくり腰になったら、安静にしているべきですか?
かつては「腰を痛めたら安静第一」と考えられていましたが、近年は、長く安静にしすぎるとかえって回復が遅れる可能性が指摘されています。痛みが強い最初の数日は無理をせず楽な姿勢で過ごし、痛みが落ち着いてきたら、痛みの出ない範囲で少しずつ体を動かしていくことが、国際的にも推奨されている考え方です。適度に動かすことは血流の改善につながり、回復を後押しします。
多くのぎっくり腰は数日から数週間で軽快に向かいますが、痛みが長引く場合や、足のしびれ・脱力をともなう場合は、別の原因が隠れていないか確認が必要です。自己判断で我慢を続けず、ご相談ください。
湿布を貼っていれば、腰痛は治りますか?
湿布は痛みをやわらげる有効な手段のひとつですが、あくまで対症療法です。湿布で痛みをしのいでいるあいだに、原因への対処(運動療法や生活動作の見直しなど)が遅れてしまうと、腰痛を繰り返す原因になります。
なお、温湿布と冷湿布は医学的にはどちらも痛みの軽減に有効で、明確な優劣はないと報告されています。ぎっくり腰直後など熱っぽさのある時期は冷湿布、慢性的な腰の重さやこわばりには温湿布が向いています。湿布を使っても痛みが続く場合は、原因の評価を受けることをおすすめします。
受診の目安(こんなときはご相談ください)
- 腰の痛みが2週間以上続いている、または何度も繰り返す
- お尻から足にかけてのしびれ・痛みをともなう
- 足に力が入りにくい、つまずきやすくなった
- 排尿・排便の異常(出にくい・感覚がない)をともなう場合は、すぐに受診が必要です
- 尻もち・転倒のあとから腰や背中の痛みが続いている(特にご高齢の方)
- 安静にしていても痛む、夜間の痛みで目が覚める、発熱をともなう
とくに太字のような症状は、神経の障害が進んでいるサインのことがあります。我慢せず、早めにご相談ください。
ご自宅でできること(セルフケア)
温める?冷やす?
ぎっくり腰の直後など、急に痛めた時期(およそ48時間)は冷やすのが向いています。一方、慢性的な腰の重さや筋肉のこわばり、朝の動き始めのつらさには、入浴や温湿布などで温めて血流を促すのが向いています。
座りっぱなしを減らす
座っている姿勢は、立っているときよりも腰への負担が大きくなります。デスクワークの方は、30分〜1時間に一度は立ち上がって少し歩く、伸びをするなど、同じ姿勢を続けない工夫が腰痛予防につながります。
持ち上げ動作のコツ
床の物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落とし、物を体に近づけてから立ち上がるようにします。膝を伸ばしたまま前かがみで持ち上げる動作は、椎間板への負担が大きくなります。
痛みのない範囲での運動
ウォーキングなどの軽い運動や、お腹まわり(体幹)の筋力維持は、腰を支える力を保つうえで有効です。どんな運動が適しているかは腰の状態によって異なるため、当院ではリハビリテーションで一人ひとりに合った運動をご案内しています。
よくあるご質問
Q. ぎっくり腰を何度も繰り返します。体質でしょうか?
A. 体質だけの問題ではありません。姿勢や体の使い方のくせ、体幹の筋力低下など、繰り返す背景に対処できる要因があることが多いです。当院では理学療法士が動作や筋力を評価し、再発予防のための運動療法を行っています。
Q. MRI検査は受けられますか?
A. 連携施設でのMRI検査に対応しています。神経の圧迫や椎間板の状態を詳しく評価したい場合にご案内します。
Q. コルセットはずっと着けていてもいいですか?
A. 痛みの強い時期に腰を支える目的で使うのは有効ですが、長期間着け続けると体幹の筋力低下につながる可能性があります。痛みの回復に合わせて外していき、運動療法で腰を支える筋力を取り戻していくことをおすすめします。
Q. 内臓の病気で腰が痛くなることもあると聞きました。
A. まれに、内科的な病気が腰の痛みとして現れることがあります。安静にしていても痛みが変わらない、発熱をともなうなどの場合は、整形外科的な原因以外も念頭に診察し、必要に応じて適切な診療科をご案内します。
この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)
このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。
- PRP療法:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回(計3回が標準)、高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円/回(いずれも税込)。料金は1部位ごとに発生します(例:両膝にPRGFを3回で660,000円)。別途、MRI評価・血液検査の費用がかかります。主なリスクは注射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血で、感染等のリスクは低いとされますがゼロではありません。治療効果には個人差があります。用いるPRP調製システムはいずれも国内で承認・認証を受けた医療機器です(Angel™ cPRP System 承認番号 30500BZX00054000/PRGF-Endoret® 認証番号 30500BZI00007000)。
- ハイドロリリース:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は 5,500円/回(税込)で、部位ごとの加算はありません。主なリスクは注射時・注射部位の痛み、内出血、腫れ、気分が悪くなる・めまい、感染(まれ)、神経や血管の損傷(まれ)、局所麻酔薬(リドカイン)に対するアレルギー(まれ)です。首から背中にかけての部位では、気胸が起こることがまれにあります。治療効果には個人差があります。用いる生理食塩水・局所麻酔薬はいずれも国内で承認を受けた医薬品ですが、筋膜のあいだに注入してすべりを改善させる使い方は、承認された効能・効果の範囲には含まれません(適応外使用)。国内の正規流通経路で入手しており、適応外使用のため、健康被害が生じた場合に医薬品副作用被害救済制度の対象とならないことがあります。
- 体外衝撃波治療:対象となる疾患・条件により、保険診療となる場合と自由診療(保険適用外)となる場合があります。自由診療の場合の標準的な費用は、初回 5,500円/2〜3回目 8,800円/4回目以降の一連治療 5,500円(いずれも税込・2026年10月改定)。一連の治療は、前回の治療から2ヶ月以内を基準とし、2ヶ月を超えて間隔があいた場合はあらためて初回からの料金となります。主なリスクは照射部位の一時的な痛み・発赤・内出血です。治療効果には個人差があります。用いる機器は国内で承認を受けた医療機器です(BTL-6000 Focus® 承認番号 30300BZX00272000)。
- 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。