手でお悩みの方
指の付け根が痛む、指が引っかかって伸びにくい、手指がしびれる、指の関節が変形してきた――手や指の症状は、腱・神経・関節など原因がさまざまで、原因によって適した治療が異なります。
手は、家事・育児・仕事・スマートフォンと、日常のほとんどの場面で使う場所です。足や腰とちがって「休ませる」ことがむずかしいため、痛みを我慢しながら使い続けているうちに症状が長引いてしまう方が少なくありません。「使いすぎだから仕方ない」「年齢のせいだろう」と思っていた痛みやしびれにも、それぞれ対処法のある原因が見つかることがあります。まずは整形外科専門医が診察と検査で原因を見きわめますので、お気軽にご相談ください。
こんな症状はありませんか

- 手首や指の付け根が痛む、腫れている
- 指が引っかかる・伸ばすとカクンとなる(ばね指)
- 手指がしびれる(とくに親指〜中指)、夜間や明け方にしびれで目が覚める
- 指の第一関節がふくらんできた・変形してきた
- 親指の付け根が痛くて、ふたを開ける・つまむ動作がつらい
- 朝、手や指がこわばる
- 転倒やスポーツのあと、手首の痛みが続いている
ひとつでも当てはまる場合は、手の中の腱・神経・関節に何らかの変化が起きているサインかもしれません。
症状のパターンから考えられる主な原因
手は、多くの小さな骨と関節、指を動かす腱、感覚を伝える神経が狭い場所に集まった、精密な器官です。「どこが・どんなときに」つらいのかによって、考えやすい原因が変わります。
親指の付け根・手首の親指側が痛む
タオルを絞る、フライパンを持つ、赤ちゃんを抱き上げるといった動作で手首の親指側がズキッと痛む場合は、腱の通り道の炎症である腱鞘炎(ドケルバン病)がまず考えられます。→ 腱鞘炎・ばね指
一方、びんのふたを開ける・物をつまむ動作で「親指の付け根の関節そのもの」が痛む場合は、関節の軟骨がすり減る母指CM関節症の可能性があります。中高年の方に多く、進行すると付け根の骨が出っぱって見えることもあります。両者は痛む場所が近いため、診察とレントゲンでの見きわめが大切です。
指が引っかかる・カクンとなる
指を伸ばそうとすると途中で止まり、力を入れるとばねのようにはじけて伸びる――この「ばね現象」は、指の付け根の腱鞘炎であるばね指の特徴です。朝方に症状が強い傾向があります。→ 腱鞘炎・ばね指
指の第一関節がふくらむ・変形してきた
指先にいちばん近い関節(第一関節)が腫れてふくらみ、節が太くなってきた場合は、指の変形性関節症であるヘバーデン結節が考えられます。中高年の女性に多くみられます。第二関節に起こるものはブシャール結節と呼ばれます。→ へバーデン結節
朝のこわばりが長く続く・複数の関節が腫れる
朝の手のこわばりは、腱鞘炎やヘバーデン結節でもみられる症状で、原因はさまざまです。ただし、こわばりが長く続く、左右の同じ関節が腫れる、微熱やだるさをともなう場合は、関節リウマチなどの炎症性の病気が原因のこともあるため、血液検査などで確かめておくと安心です。当院で診察・検査を行い、必要に応じて専門医療機関へご紹介します。→ 朝の関節のこわばり
手指がしびれる
親指から中指を中心としたしびれが、夜間や明け方に強く、手を振るとやわらぐ――このパターンは、手首にある神経の通り道(手根管)で神経が圧迫される手根管症候群の典型的な症状です。妊娠・出産期や更年期の女性に多くみられます。進行すると、親指の付け根の筋肉がやせて、ボタンかけや小銭をつまむ動作がしにくくなることがあります。また、手のしびれは首(頚椎)の神経の圧迫から起こることもあり、しびれの範囲や誘因から原因を見きわめる必要があります。
手首の小指側が痛む
転倒して手をついたあとや、スポーツ・ドアノブをひねる動作で手首の小指側が痛む場合は、手首のクッションであるTFCC(三角線維軟骨複合体)の損傷が考えられます。
女性のライフステージと手の症状
手の症状は、女性のライフステージと深い関係があることが知られています。
- 妊娠・出産期:抱っこや授乳で手首に負担がかかることに加え、ホルモンバランスの変化も影響し、ドケルバン病(手首の腱鞘炎)や手根管症候群が起こりやすい時期です。
- 更年期前後:ホルモンバランスの変化にともない、ばね指・ヘバーデン結節・手根管症候群といった手の病気が増える傾向があり、女性ホルモンとの関連が指摘されています。
「手を使いすぎた自分のせい」と我慢してしまう方が多いのですが、体質やホルモンの変化が背景にある、誰にでも起こりうる症状です。家事や育児は休めないからこそ、生活を続けながら症状をやわらげる工夫があります。つらい時期を我慢でやり過ごさず、早めにご相談ください。
当院の手の診療
当院では、手の症状に対して「正確な診断→保存療法→改善が不十分な場合の次の選択肢」という段階を大切にしています。
1. 診察・画像・血液検査で原因を見きわめる
症状の経過や、お仕事・家事・育児など手の使い方を丁寧にうかがい、レントゲンで骨・関節の状態を、超音波検査(エコー)で腱や腱鞘の腫れ・炎症をその場で確認します。腱の状態などをさらに詳しく調べる必要がある場合は、連携クリニックでのMRI検査もご案内できます。また、関節リウマチなど炎症性の病気との区別が必要な場合は、血液検査で炎症やリウマチ因子を評価します。
2. 保存療法(保険診療が基本)
原因に応じて、次のような治療を組み合わせます。

- 安静・使い方の工夫:痛みを起こしている動作を特定し、持ち方や作業のしかたの工夫で負担を減らします
- 装具(サポーター・シーネ):手首や指の動きを一時的に制限し、炎症部位を休ませます
- 内服・外用:炎症と痛みをやわらげる飲み薬・湿布・塗り薬
- 注射:炎症が強い場合、ステロイドの腱鞘内注射などで症状の改善をめざします
- リハビリテーション:理学療法士が、電気治療・超音波治療・ラジオ波などの物理療法と、ストレッチ・筋力トレーニングを症状に合わせて行います
3. 改善が不十分な場合の選択肢
保存療法を続けても痛みが長引く慢性の腱鞘炎などに対しては、体外衝撃波治療が選択肢となる場合があります。→ 体外衝撃波治療 また、親指の付け根(CM関節)など一部の関節では、再生医療(PRP療法)が選択肢となる場合があります。詳しくは診察でご相談ください。
※ 慢性腱鞘炎への体外衝撃波治療・PRP療法は自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。
4. 手術が望ましい場合
指が曲がったまま伸びない、神経の圧迫が進んでいるなど、手術が適していると判断した場合は、手の外科を扱う専門医療機関へ責任をもってご紹介し、術後のリハビリなどのフォローを連携して行います。
手のしびれは、放っておいて大丈夫ですか?
一時的なしびれで、すぐに消えてしまうものであれば、様子をみていただいてよい場合もあります。一方で、夜間や明け方のしびれを繰り返す、しびれの範囲が広がってきた、親指の付け根の筋肉がやせてきた、ボタンかけや小銭をつまむ動作がしにくくなってきた――という場合は、神経の圧迫が続いているサインのことがあります。神経の障害が進んでからでは、治療をしても感覚や筋力の回復に時間がかかることがあるため、しびれが続く段階での受診をおすすめします。手首(手根管)と首(頚椎)のどちらに原因があるかで治療が変わるため、原因の見きわめも大切です。
仕事や家事・育児は、休まないと治りませんか?
完全に休む必要はない場合が多いです。手の症状で受診される方の多くは、仕事・家事・育児で手を休ませることができません。当院では、その前提に立って、装具で負担のかかる動きだけを制限する、持ち方や道具を工夫する、注射やリハビリで炎症をやわらげるなど、生活を続けながら治すための現実的な方法をご提案します。手の使い方の内容を具体的にうかがうことが治療の出発点になりますので、遠慮なくお聞かせください。
受診の目安(こんなときはご相談ください)
- 手首や指の痛みが2週間以上続いている、または何度も繰り返す
- 指の引っかかり・カクンとなる感じが出てきた
- 夜間や明け方の手のしびれを繰り返す
- 指の関節の腫れ・変形が気になる、朝のこわばりが長く続く
- 転倒やスポーツのあと、手首の痛み・腫れが引かない
- 物をよく落とす、ボタンかけ・小銭つまみがしにくくなった
手の症状は「そのうち良くなる」と様子をみられがちですが、我慢しながら使い続けると炎症が慢性化したり、関節の変形や神経の障害が進んだりすることがあります。「これくらいで」と思う段階でのご相談が、結果的に回復への近道になります。
ご自宅でできること(セルフケア)
- 痛む動作を減らす工夫:スマートフォンは両手で持つ・持つ手を替える、作業に休憩をはさむなど、痛みを起こす動作を意識して減らしましょう。
- 温める・冷やすの使い分け:急に腫れて熱をもっているときは冷やすのが向いています。慢性的な痛みやこわばりには、入浴やお湯での温めが向いています。
- サポーターの活用:市販のサポーターで安静を保つのもひとつの方法です。ただし、長期間つけっぱなしにすると動きが硬くなることもあるため、使い方は診察でご相談ください。
- しびれがある方:手首を反らせたまま・曲げたままの姿勢を長時間続けると、しびれが強くなることがあります。作業の姿勢や寝るときの手の位置を見直してみましょう。
セルフケアで症状が引かない場合や、引っかかり・しびれ・変形が出てきた場合は、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 以前レントゲンで「異常なし」と言われました。それでも痛いのはなぜですか?
A. レントゲンには骨・関節は写りますが、腱鞘炎の腱や、手根管症候群の神経は写りません。当院では超音波検査(エコー)で腱や腱鞘の状態をその場で確認するなど、レントゲンだけに頼らず原因を評価します。
Q. 手の症状は何科を受診すればよいですか?
A. 骨・関節・腱・神経が原因の痛み・しびれ・変形は整形外科の領域です。皮膚の症状(湿疹・水ぶくれなど)が主体の場合は皮膚科が担当します。当院は整形外科・皮膚科の両方があるため、判断に迷う場合もまずはご相談ください。
Q. 湿布だけで様子をみていれば治りますか?
A. 軽い炎症であれば湿布や安静で軽くなることもあります。ただし、指の引っかかり・夜間のしびれ・関節の変形といった症状は、湿布だけでは原因への対応にならないことが多いため、続く場合は原因を調べたうえでの治療をおすすめします。
Q. 手のしびれは、脳の病気のことはありませんか?
A. 手だけのしびれの多くは、手首や首での神経の圧迫が原因です。ただし、突然生じた片側の手のしびれに、顔のゆがみ・ろれつが回らないなどの症状をともなう場合は、脳の病気の可能性があるため、様子を見ずにすぐに救急医療機関を受診してください。
この治療を受けられる前に(費用・リスク・自由診療について)
このページでご案内している治療のうち、次のものは自由診療(保険適用外)です。ご検討の前にご確認ください。
- PRP療法:自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は、白血球除去型PRP(PRGF-Endoret®)110,000円/回(計3回が標準)、高用量PRP(Angel™ HD-PRP)330,000円/回(いずれも税込)。料金は1部位ごとに発生します(例:両膝にPRGFを3回で660,000円)。別途、MRI評価・血液検査の費用がかかります。主なリスクは注射部位の一時的な痛み・腫れ・熱感・内出血で、感染等のリスクは低いとされますがゼロではありません。治療効果には個人差があります。用いるPRP調製システムはいずれも国内で承認・認証を受けた医療機器です(Angel™ cPRP System 承認番号 30500BZX00054000/PRGF-Endoret® 認証番号 30500BZI00007000)。
- 体外衝撃波治療:対象となる疾患・条件により、保険診療となる場合と自由診療(保険適用外)となる場合があります。自由診療の場合の標準的な費用は、初回 5,500円/2〜3回目 8,800円/4回目以降の一連治療 5,500円(いずれも税込・2026年10月改定)。一連の治療は、前回の治療から2ヶ月以内を基準とし、2ヶ月を超えて間隔があいた場合はあらためて初回からの料金となります。主なリスクは照射部位の一時的な痛み・発赤・内出血です。治療効果には個人差があります。用いる機器は国内で承認を受けた医療機器です(BTL-6000 Focus® 承認番号 30300BZX00272000)。
- 入手経路・国内の承認状況:いずれも国内の正規流通経路で導入しています。医師の個人輸入は行っておりません。くわしくは当院の自由診療についてをご覧ください。